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孤独の骨め

いろんな呼び名をしりました

クライドは、あれから任務を着々とこなしている。


どこかに潜入したり、情報収集したり、

既に潜入している別のメンバーから

伝言やブツを受け取ったり

街や城に噂話をまき散らしたり。


噂話をまき散らすというのは、

嘘の情報や敵国の情報を流すことで民衆を不安にさせたり、

軍の構成員(騎士)らの君主への忠誠心を下げたり

君主が特定の部下の裏切りを疑うようにしむけたり

そんなことを行うのだ。


他にも裏切りそうな者を内通者へ引き込む活動したり。


わざと泥棒や無法者のふりをして騒動を引き起こしたり。


騒動を起こす理由は治安部隊を何度も何度も

出撃させることで疲弊させたり街の治安そのものを下げる

目的がある。


他にも特定の建物にナグル族と合同で火をつける

といった破壊工作もした。


本当にナグル族が、破壊工作してるんで

それを実際に見てちょっと感動した。

ちなみにワズムの爺さんは元気だそうだ。

名前を出すとナグル族の若者が非常に恐縮したので

悪いことしちゃったな、なんて思ったり。



それらのあらゆる任務を行ったり、それらのサポートを

やったりもする。



その対象は主にドーガ家に対してだが、ごくまれに

全然違う相手の時もある。

魔王軍の大方針としてはドーガ家の攻略だが、

諜報活動や工作活動は全ての国に対してやむことなく

行われているということだ。



色んな諜報活動や破壊工作を行っているが

たまに、これは何のためにやるんだ?なんて任務もある。

シックスに聞くと、一つの任務を成功させるための任務、

任務のための任務というのが何のためにやるんだ?

的な内容になりやすいらしい。



この任務のための任務に関してはシックスに色々と

聞いたことがある。


任務のための任務も魔王軍からくるのか?と。



シックスの答えは


「屁理屈を言えば、全ての任務は、魔王軍の勝利という

任務のための任務でしかないが、お前が疑問に思う

任務の大半は、魔王軍からではない。

まず魔王軍から大きな任務がくる。それを遂行するための

任務をワシが考えて配分してる」


ということであった。


大将、意外と頭使ってるのでびっくりした。


イコン族のエイトさんやナグル族のワズム爺さんもだけど

グループの頭になると、

やっぱ全体見なきゃいけないんだねぇ~。

そりゃ相談相手として軍師の一人ぐらいは欲しくなるわな。


なんて思い

「大将、一人で任務の割り振りとか考えてるの?」


「そうだ」


「大将、俺手伝おう・・」


「いらん」


「か」



即答で断られた。

少しくらい考えたって良いじゃないかよ。


残念そうな顔をしているクライドの顔を見てシックスは


「お前には今は何より実務だよ。いろんな場数踏むべきだ。

もちろんオマエが優秀で後ろに引っ込めるのが

もったいないという理由もあるがね。

だけど、そんなこと言ってくれるヤツは

うちの連中にはいないから気持はうれしいぞ、

うははははは」







そんなこんなでチームによる任務をこなしていると

ある日、大将から呼び出された。


クライドは気を引き締めてシックスの部屋に向かう。


いつもの任務ならパックスの連中が

たむろってるところに大将がやってきて

任務の話をするため、部屋に呼び出されることはない。


シックスから呼び出される時は、極秘任務や重要任務等

あまり大ぴらにできないことが多いのだ。

ゆえに気を引き締める。



ノックして部屋に入る。


「おう」


といつものように出迎えるシックス。


「なんだよ緊張すんなよ、ワシが部屋に呼び出した時は

ろくなことがないってか?うはははは。あたりだ」


シックスは、ひとしき笑った後、まじめな顔になる。



「今回から、単独任務もやってもらう」


単独任務?


「そうだ、今まではチームでの任務しかしてなかった。

もっと言えば、オメーに任務中の臨機応変な

自己判断が必要となるようなことはさせてなかった」



確かにそういわれればそうだ。

チームの一員としてでリーダーの指示に

従うことがほとんどだった。

もちろん、チームの和を大事にするためにチーム員として

影に徹するということも重要なのはわかっているが

自分ではバリバリ任務をこなしてるつもりだった。

実はシックスたちに気を使われていたのだ、

と気が付くクライドであった。



「でだ、もうそろそろ大丈夫だろう。ということで

単独任務をやってもらう。つまり一人で任務をこなし

臨機応変に対応してもらうということだな」



独り立ちしていないという現実をつきつけられ

急激に不安になったクライドは

単独任務、うわぁ大丈夫か。と、心配になってきた。


その表情を察してか


「実力に関してはオメーなら大丈夫だよ。

あとは自信と経験だけだな。

ワシが見るところ、オメーはどうかした時、

自信なさげに自分をひっこめるときがある。

それはもったいねーぜ。魔王軍で羽ばたきたいなら、

そんなにひっこんでちゃだめだぜ。

ワシらは魔王軍ですらないんだからひっこむなんて論外だ」



確かに、会社員時代の癖が抜け切れてない。


会社員時代は、ちょっと目立てばパワハラ上司達に

出る杭は打たれる状態だったし

ちょっとでも失敗しようものなら、つるし上げで

精神的にボコボコにされるから、

できるだけ目立たないように、責任が生じそうになったら

目立たないようにしていた。



大将、俺のこと結構みてくれてる。

しかも色々と考えてくれてる。

ヤバイ、たいしょぉぉぉ~って言いながら

抱き着きたい気分だわ。



キモチワルイからしないけど。












山岳地帯、一つの山に来ている。

山中だというのにかなりの数の人間がいる。


何かを発掘しているようだ。


―金山―



タルマ家が治める金山。

この金山は、この世界で屈指の金産出量をほこる

金山だそうだ。


今回の任務は、この金山に潜入し、その防衛力を

調査することだ。


金山の調査といえば、産出量とか生産技術とか

金山の運営方法とか調べる必要がありそうだが、

そういったことは専門技術を持たないとわからない。

当然、クライドにそんな専門知識も技術もない。


クライドの任務は、そういった専門家を潜入させるために

その前の下調べというところだ。




金山の情報は極秘事項のため、場所以外は情報が

全然なかったが金山を管理する国家、タルマ家に

関しては、概要情報をシックスが事前にくれた。

ざっと見るとどうやらクロノスのゲームと同じのようだ。


タルマ家に関しては、ゲーム内の設定を

はっきりと覚えている。

設定にインパクトがある、そしてゲーム中

何度も通った国だからだ。


タルマ家は、昔の統一王朝時代から続く名門貴族の出だ。

ほとんどの国は、統一王朝末期から、王朝崩壊後に

力でのし上がった国だ。

ゆえに、統一王朝の時代から連綿と続く国というのは

名門扱いとなる。


国家の特徴としては武力、戦闘力を重要視する。


高い統率と強力な戦闘力を持った騎士団がいる。


タルマ家では騎士団と呼ばずに(サムライ)と呼ぶ。


そう、タルマ家は剣と魔法のファンタジーの世界に

ちょいちょい紛れ込む和風の世界観を持った国だ。


ヤマトという国の技術や文化の流れをくむ一族の子孫

という設定だ。


タルマの国では、サムライやニンジャ、日本刀、手裏剣、

お茶といったここだけでしか入手できないスキルや道具が

ある。


そしてありがちだが和風のスキルや道具は他の国で

入手できるスキルや道具と比べて値段は高いが性能が良い。


だからクロノスのゲームで、この国に通い詰めたんだ。

それで鮮明に記憶に残ってる。







この金山は険しい山岳となっており、

容易に侵入できない天然の要害となっている。


「よし、まずは全体をつかみましょうか」


コキコキと首をならしクライドは山を駆けあがる。


いくら険しい天然の要害といえども走破術を心得た

クライドにとっては平地と変わらない。

猛烈な速さで山全体を駆け抜け金山の全容を掴む。



採掘場の出入りをする箇所は山全体で2か所のみ。


山の中腹に入口がある。

この入口は人の出入りのみを行うようだ。

二人の門番が立っている。

近くに小屋があり交代制をとっているようだ

小屋の中をのぞくと、シフト表らしきものがあり

どうやら24時間体制のようだった。


もう一つの出入り口は

山の中ごろから川が流れ出ているのだが

そこに出入り口がある。

どうやら、採掘した金は山を流れる川を小舟を使い

一気にふもとまで送り込むようだ。


なるほど効率的だ。


川の流れにそって、数十メートルおきに監視小屋が

おかれている。

入口に比べてかなり厳重だ。


川からのルートを使った潜入と脱出は

行わない方がよさそうだ。


山中には、けものみちが複数あり、そこは

特に警戒していないためここからの潜入は比較的簡単だ。

険しい山ゆえに特に監視していないのだろう。


しかしクライドのようにある程度潜入技術を

持った者ならば潜入難易度は低い。


山の作りから見る結論としては

山そのものに入るのは割と適当だが、採掘された

金に関しては厳重に監視しているということだ。



ただし、金山で働く労働者からの情報の収集は

難しいだろう。


金山や銀山の発掘には、その過酷な労働条件から

罪人があてがわれることが多い。

だがこの金山には罪人らしき者はいない。

ざっとではあるが風貌や道具を見たところ、

全員が金山発掘に関する特殊技能を持っていると思われる。


クロノスの設定では、特殊技術を持つ者というのは、

ある種の一族ということになっているため、

みなが顔見知りでは無いかと思われる。


それゆえ、仮に幻術などで化けて潜入しても

すぐばれるだろう。


また、金山採掘を監視する貴族側の人間、騎士。

タルマ家の場合サムライと呼ぶが

彼らと採掘技術者の間は非常に良好な関係である。

一般的な金山など過酷な労働環境では、

監視する側の人間と労働する側の人間は

敵対することが多い。


それゆえ、そこにつけいる隙があるのだが

この金山に関しては、

つけいる余地は今のところなさそうだ。





「こんなところか」

ざっとではあるが、金山の防衛情報を

収集し終えたクライドは帰路についた。





え?魔法による防衛はされてないのかって?

してるに決まってるじゃないですか。




魔法的な防衛に関しては、クライドの頭には全くなかった。


パックスのアジトに戻った後、

クライドと同様に魔法に関してすっかり忘れていた

シックスはゴロムの指摘で慌てふためき、シックス自身と

クライドと、ゴロムそして

魔法を使えるパックスのメンバーを引き連れて

再度調査にいったのは秘密だ。


調査中シックスが

「最強の布陣だな、ぐはははは」

と言いゴロムにあきれられてたのは言うまでもない。



金山潜入調査の報告書完成はこれより後となる。




たいしょうもえ

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