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任務2骨目

くそあんでっとやろー

初任務を終えたクライドであったが、

余計なことをしてしまったのではないだろうか

と悩んでいた。


そのせいか、あれ以来任務に呼ばれず雑用ばかりしている。

ゴロムに相談しようにも別の任務に行ってしまい不在だ。


他のパックスの連中に相談するのはちょっとはばかられる。



そんな悩みがピークを迎えたころ、シックスに呼ばれた。


あぁ、先日のターゲットの家族を逃がした件だ。

間違いなく怒られる。

いや怒られるだけならまだましだ。

最悪、ここから出ていけなんて言われたり、

もっと言えば、処罰される。

なんてことだって否定できない。


がっくり肩を落としながらクライドはシックスの部屋まで

トボトボと歩いて行った。




シックスの部屋に入ると、にこやかな

(おっかない顔がにこやかだから逆にコワイネ)

シックスが出迎えた。


「よぉう、クライドわざわざ、ご足労すまんな!」


なんだか妙になれなれしい気がして、

あー怒られる前の妙なやさしさ、

嵐の前の静けさか、と思った。


「先日の任務の件なんだがな」


来たっとクライドは何を言われても良いように身構えた。


「先日の任務は魔王軍ラ・モンド軍団からの

依頼だったわけだが先方の担当者が非常に喜んでてな。

ターゲットが非常に協力的でスムーズにことが運んで

助かったんだとよ」


あ、怒られるんじゃないのか!

とわかったクライドは前のめりに聞く。

「スムーズにことが運んだ?」


「おうよ、あの初老の男、ジュード・アーク軍団の

くそアンデット野郎のせいで魔王軍に対して疑心暗鬼に

なってたはずさ。だから仮にそのまま捕縛したところで

まともに答えやしなかっただろうよ。

もしそうなら脅したりなだめたり、

魔法を使ったり自白剤を使ったり

ありとあらゆる手段を使って尋問しなきゃならねー。

そりゃ手間だぜ。

もっと悪い想像をすれば、ジュード・アーク軍団の手の者に

暗殺されてた可能性だってある。ところが

あの場で、オメーがヤツに恩を売った。

おかげでその場で十分な情報を得ることができた。

しかもその後魔王軍に連れられて行った後も、

非常に協力的だったとさ。担当者大喜びさ。

おかげでワシらも褒美たんまりよ」


ニンマリとシックスが笑う。


「実務は大丈夫か?

とちょっと心配だったが大丈夫そうだな。

クライド、今まで遊ばせといて悪かったな、

本当はもう一回くらいゴロムと一緒に任務してもらおうか

と思ってたんだがな、ウチの連中がクライドさんの

次の任務はいつですか、いつですか?

次の任務はクライドさんと一緒にってうるせーんだよ。

いやー噂の人、烈風のクライドさんは人気者だねー」


ニヤニヤとシックスが笑う。


なんだか恥ずかしい二つ名がついてるし。

そんな二つ名イヤだし。。。



「ということでだ、今回からお目付け役無し。

一人前として任務をやってもらう。良いな?」



恥ずかしい二つ名はともかく、任務ができるのは大歓迎だ。

任務をこなせば、この世界のことがわかるし魔王軍にも

間違いなく近づける。


「で、早速だが次の任務を手配してある」



「もう次の任務があるんですか?」

とクライドが驚いて尋ねると


「ウチはいがいと忙しーんだよ、

魔王軍からの評判も良いから仕事ひっきりなしさ。

だから使えるやつはガンガン仕事してもらわねーとな。

とくにオメーはウチで指折りの戦力なんだからな」


なんだか評価されると照れる。

妙な二つ名はイヤだけど。



シックスがまじめな顔をして任務の説明を行う。


「次の任務は、街に潜入して情報を集めることだ。

現在魔王軍はドーガ家と交戦中なのは知ってるな。

このドーガ家には、3人衆と呼ばれる

非常に優秀な貴族がいるらしい。

おかげで、ドーガ家の攻略にてこずっている。

ゆえに、まずは3人衆の攻略が先ということになった。

方針は、硬軟決まってないため、

その方針を決める意味もあって

魔王様が情報を大量に欲しているそうだ。

潜入して情報収集。

お前の得意とするところだよな?たのむぞ」


街に潜入して情報収集、うん。

イコン族やナグル族のところで学んだことが

確かに生かせる。この世界の人間の街って初めてだな。



・・・・ん?



「ちょっとまってください。

街に潜入ってスケルトンが人間の街に

潜入しても大丈夫なんですか?」


確か、クロノスのゲームでは

人間の街にいるのは、

エルフやドワーフといった人間と交流があるという

設定の亜人のみで、オーガやゴブリン、オークといった

亜人はいない。

ましてやスケルトン、アンデットなんて絶対にいない。

いるとするなら街が占領されたとか、

そういったイベントの時だけだ。



「大丈夫じゃねーよ」


シックスが何言ってんだオマエという顔をする。


やはりこの世界でもスケルトンが人間の街に

そのまま入るのは良くないらしい。


「じゃあ、どうするんですか?」



「これを使う」


と言い、シックスは腕輪をクライドへ手渡した。


「その腕輪を付ければ、身に着けた者を

人間に見えるようにする幻術が発動する。

使ってみて、この鏡で確認してみな」


「へぇ~、やっぱ魔法ってすごいですね~!」


クライドは腕輪を受け取り、早速装着する。


どうやって使うのかをシックスに聞こうとすると、

頭の中でどうすれば良いか浮かぶ。

理解するというよりも、腕を動かすように、息をするように

特に意識せずとも使い方を知っている感覚といった方が

近いだろうか。


クライドの身体が一瞬、薄い霧の

ようなものに覆われたと思うとすぐに消えた。


鏡で己の姿を確認すると手足や顔などが人間の姿になった。

顔は記憶にある自分の顔ではない。

もちろんイケメンでもない。

特徴のないどちらかといえば凡庸な顔をしている。


「何この顔」


と言うとシックスが


「その腕輪、安もんだからよぉ、一種類の顔にしか

ならねーんだ。だが、誰の印象にも残らない

凡庸な顔だから潜入任務には最適だ」


へぇ~と声をあげながら自分の姿を鏡で確認したり

手をひらひらと動かして確認する。

動作に支障はない。服の中をのぞいてみると、

驚くことに身体も人間の身体になっている。



「それからクライド、その腕輪に関して注意事項だ。

幻覚の範囲は、肉体に対してのみ。

服や装備品には影響はない。

そしてその肉体はあくまでも見た目のみの幻だ。

それもあんまり強くない魔力だ。

触られれば相手に違和感を与えるし、魔法等の見破る

手段を使われればあっさりとばれる。慎重にな」


「ちなみに、クライド知ってるか?

ある程度魔力がある連中はこういった幻覚の道具を

使わなくとも人間の姿に擬態できるって」



「へぇ~大将は人間に擬態できるんですか?」



「ワシ?ワシの魔力では一つの姿に擬態するだけだな。

やってみせようか?」


というや否や、シックスの姿が一瞬ゆがみ、姿を変えた。

その姿は、髭もじゃの熊みたいな大男であった。




あんまり変わってないじゃん。








ドーガ家の領内にあるナブの街。

ドーガ家の当主が住む、ナブ・ドーガ城のおひざ元。

非常に活気がある大きな街だ。


ドーガ家は、驚くことに城のすぐ近くに町を作っている。


それの何が驚くことか?


この世界の従来の戦闘行為では、まず街の攻略が行われる。

略奪などを行い収益を得ることと

相手の経済力を落とすことが目的だ。


それから城を攻める。

それゆえ、防衛の観点から城は街から離すことが多い。

相手が街を攻めている間にこちらも準備を整えようとする

いわば時間稼ぎのためだ。


しかしドーガ家は、全て城と街が隣接している。


これにより戦闘行為が起きても城の兵隊が

すぐ守ってくれるだろう

という信頼感とそれに伴い街の治安が守られる。

そして城と街が近いことにより城の消費活動が盛んになる。


これらの要因によって街に活気があふれ

経済的にうるおい発展する。


経済が発展すれば税収が上がり、税収が上がれば

防衛費を増やしたり教育費を増やしたり、

研究開発を行ったりと、国力も発展する。

つまり、街が経済的に潤えば、

ドーガ家も発展するということだ。


この政策方針は、ドーガ家先代で既に亡くなっている

ファ・ドーガの政策だ。


現代人であるクライドからすれば、

経済の発展が国力の発展につながり

広い目で見れば、防衛力も増す

ということはごく当たり前の常識であるが

この世界の住人達にとっては街と城が隣接するというのは

常識を覆す恐るべき政策だそうだ。

どうやらこの世界の文化レベルは、

元の世界でいうところの中世くらいであろう。

剣と魔法のファンタジーである

クロノスのゲームもそれくらいの世界観だ。

(ファ・ドーガ、自分と同じ転生者だったりして)


ゆえに、先代のファ・ドーガは英雄扱いされているそうだ。



ここまでは、

ギルドや宿屋にいた人々に聞いて集めた結果だ。


情報集めは酒場と宿屋とギルドでそこにいる人と話す。

というのがクロノスゲームの鉄則。






クライドは酒場にいる。安酒を一杯だけたのんでいる。


活動資金ちょっとしかもらえなかったのだ。

意外とけちくせーな大将は。

前の任務で褒美たんまりって言ってたじゃないかよ。


と頭の中で不満をたれながら、

酒場のカウンターや席を回り人々と話す。



会社員時代は人と話すのが苦手だった。

会社の人間に対してすらも。


ましてや見ず知らずの人と話すなんて想像もつかなかった。

適当先輩タカダの言葉を思い出す。


「人と話すのなんて簡単、相手に興味を持てばいくらでも

聞きたい事でてくるから。まぁ、俺は相手に興味持つけど

話した内容ぜんぜん覚えてないんで

いっつも新鮮な話なんですけどね」


相手に対して興味を持てばいくらでも会話できる。

というのは本当だった。

情報収集だから、相手そのものに興味はなくても

知りたい事聞きたい事はいくらでもある。

しかもみーんな自分の話するのが大好きだから、

会話は盛り上がる。


結果、情報もスムーズに集まる。




席に戻り、

ギルドや宿屋そして酒場で集めた情報を整理する。



ドーガ家現在の当主は、セコン・ドーガ。

ファ・ドーガが先進的すぎて当主としては、

見劣りするかもしれないがそれでも先代の方針を

ひきついで維持できることから優秀であろうと考えられる。

また戦争は先代よりも優れているという話もある。


そして今回の情報収集の最大の目的である

ドーガ家の3人の貴族。

3人衆の話。


一人目の貴族がガント・リフ・ドーガ。

ドーガ家は、有力な貴族たちに

ドーガの名を名乗らせるらしい。

つまり、ガント・リフという名前になるか。

通称、守りのガント。

ガント軍は、守りを得意としているそうだ。

魔王軍と最も接しているのがここだと思いそうだが、

実は違う。


二人目の貴族がウージ・パルマ・ドーガ。

通称、攻めのウージ。

他国へ攻め込む際の先陣を務めることが多いらしい。

魔王軍はドーガ家へ攻めているため、

ウージ家と戦ったことは無い。



そして三人目の貴族が

アンゼロ・ドゥオ・ドーガ

通称、ジョーカーアンゼロ。


攻め、守りに対して、

ジョーカーというのは何でも自在にできる。

という意味もあるが実は別の意味もある。

3人衆のうち、ガントとウージ二人が

人間の貴族なのに対して、アンゼロだけが

人間とエルフの間に生まれた、ハーフエルフだという。

純粋な人間ではないということで、

やや侮蔑の意味も含まれているようだ。


実は、魔王軍との戦いは、アンゼロが実質行っている。

守りのガントは、本当に守っているだけ。

そして、魔王軍苦戦の原因は、このアンゼロが

策謀等、搦め手を駆使するためである。

中でもアンゼロの部下の一人が、魔王軍の中で悪名高い。


その理由は、その部下が戦場に出てくると

戦況がどんな状態であっても、

戦いがぐちゃぐちゃの泥沼状態になってしまい

攻め側が撤退せざるをえなくなることから

戦場を乱す者、"混沌者"と呼ばれ忌み嫌われている。



魔王軍のドーガ家攻略基本戦略は

アンゼロが治める土地とウージが治める

土地の境界に川が流れているのだが

戦力分析によれば、攻める場合、

ウージ領がもっとも脆弱であることから

川からウージ領に攻め込めば、

突破口が開けると魔王軍はみている。


しかしアンゼロ軍の出撃でことごとく

失敗しているのが現状だ。


この魔王軍の戦略は、ドーガ家側の人間からみても

最も効率良い攻めで正しいらしい。



これが今回の情報収集で集まった情報だ。



れっぷうのくらいど。こんとんしゃ。

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