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間章.いつからこの物語の主人公が悪役令嬢だと錯覚していた?

 

 とある家の薄暗い部屋の中で、一人の少女が大きな姿見の前に立って鏡を覗きこんでいた。時刻はちょうど午前零時をまわった頃。

 ほのかな月明かりに照らされて、少女の姿がぼんやりと浮かび上がった。


 桃色のセミロングの長さの髪に、薄茶のぱっちりとした大きな瞳。頬と唇はほんのりと淡い桜色で、睫毛はクルリとカールしている。


 少女――姫神桃花は、鏡に映った自分の姿に満足そうに微笑みかけた。


「……乙女ゲームのヒロインに転生するなんて、ツイてるわ。ヒロインだけあって美少女だし」

 これなら逆ハーも余裕ね、と桃花は楽しそうに呟く。


 姫神桃花は転生者だ。

 詳しい記憶はないが、若くして死んだことはなんとなく覚えている。

 そして、どうやら生前プレイしていた乙女ゲームに転生した、らしい。


 『らしい』というのは、桃花が前世を思い出したのはついさっきのことで、確証が持てなかったからなのだが。鏡に映る桃花の姿は、画面越しに見たヒロインの容姿そのものだった。


「はやくみんなに会いたいな~!」


 この乙女ゲームの攻略対象は、五人の生徒だ。


一ノ瀬燐。

二階堂玲。

四ツ谷荒夜。

六勝寺典雅。

八堂雨月。


 桃花は攻略対象たちの名前を一人ずつ呼んで、うっとりと目を細めた。


 乙女ゲームの中の彼らは(当然のことなのだが)イケメン揃いだった。ケモ耳ピアスに腹黒メガネ、クーデレ、俺様、そして毒舌ショタ。

 きっと現実リアルで見る彼らは更にイケメンだろう。

 そんなイケメン達と恋愛ゲームが出来るのだ。さらには上手く逆ハールートに入ることが出来れば全員に可愛がってもらえる。

 今から楽しみで仕方がない。


「あぁ、でもこの乙女ゲームって、たしか悪役令嬢が多くて面倒くさいのよね……」


 ふと浮かんだ考えに、桃花は眉を寄せた。

 前世でもあまりの面倒くささに音を上げかけた覚えがある。

 いちいち邪魔してくるだけでもウザイのに、このゲームは邪魔者あくやくれいじょうの数まで多いのだ。


「えっと、確か悪役令嬢は五人いたわよね……?」


 この乙女ゲームに登場する悪役令嬢は五人いる。


三条ふうり。

五稜沙織。

七瀬川雪乃。

八堂花月。

九隆院椿。


 それぞれルートごとに決まった悪役令嬢がいて、逆ハールートだと全員を相手にしなければならない。


 もちろん桃花は悪役令嬢ごときに負けるつもりは毛頭ない。陰口程度では揺るぎもしないし、トゥルーエンドを迎えるためならどんなことをされても堪えられる自信がある。

 だが五人もの悪役を一度に相手しなければならないと思うと、うんざりするのも確かだ。


「何かいい方法はないのかしら。すっごい裏ワザとか!」

 鏡の中で桃花が可愛らしく首を傾げる。


「うーん、いっそのこと学園の男子全員を惚れさせて、悪役令嬢に邪魔させないように使ってみるとか? ……でも攻略対象でもない男に愛想振りまきたくないし。……困ったわ」

 桃花はしばらくの間、眉を寄せて考えこんでいたが「まあ、いいか!」と気持ちを切り替えた。


「何とかなるわよね!」


 根拠も無く言い切って最後に鏡に向かって飛びっきりの笑顔を浮かべると、桃花はベッドの中へと潜り込む。

「明日が楽しみだな~! 待っててね、すぐ攻略してみせるんだから!!」

 そう言って、間もなく桃花は眠りについた。


 なんの疑いも無く。自分が幸せな結末ハッピーエンドを迎えることを信じて。


 なぜなら、この世界ものがたり主人公ヒロインは桃花なのだから。


というわけでヒロインちゃんでした。

そこはかとなく漂う電波臭を感じ取っていただけると嬉しいです(笑)


そして報告なのですが!

三話を読み返したらあまりにも酷い文章だったので改稿しました。

まだ微妙におかしい所がある気がするので気づき次第直していきます。

内容的には変わっていませんが、一度読んだ方も三話から読み直していただけるとありがたいです(土下座)

今度からちゃんと何日か寝かせてから投稿したいと思います……。

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