幼年と千手
実に一年近く更新の間が空いてしまった。
もちろん、前回が最終回だったわけではない。
『人生の思い出』はまだまだ続く。思い出がある限り。
一年に一回じゃあ、死ぬまでに終わるはずもねぇなぁ。
まったくだ。
これからは、なんとか更新頻度を上げていきたいものである。
とりあえず、久しぶりの再開の第一話『幼年と千手』をここに。
祖父母の家。
夕食を摂っている幼年期の僕は、泣いていた。
両親共に忙しくて夕食を作る暇がなかったからか、たしか平日の夕食は近くに住む祖父母が作ってくれてそのまま祖父母の家で摂っていたのである。
この日の僕は、どうにも食が進まなかった。
食べやすいように、鮭をほぐしてご飯にまぶしてもらってもだ。
親との味の違いかもしれないし、祖父母とはいえ自分の家以外という環境かもしれない。
いつもなら平気——いや、我慢していたのだろうか。だとしたら、この日の僕はその感情が爆発してしまったのだと思う。
ついには、遊び始めたのかテレビに夢中になるかしてしまって——。
「鮭をほぐしたら食べられるんじゃなかったの? いいかげんに食べなさい!」
見かねた母に怒られてしまって、僕は泣き出してしまったというわけである。
だが、どうした、この時の僕。お母さんには強く出るのか。
「食べるよ、食べたらいいんだろ!」
最終手段(?)みそ汁までご飯にぶっかける。
なぜか、それだけではなく——。
怒られてしまった腹いせなのか、あるいは何か技のつもりか。
箸立てに刺さっている箸を大量(すべて?)に引き抜いて、あらかじめ持っている箸に足して持つ。
そして、その束ねられた箸をもってかき込む。
必殺『千手観音食い』
「おぉ〜」と笑いも漏れる中、僕はその勢いで一気に平らげた。
食べきったことと笑いも起きたことで、既に涙は引っ込んで笑みさえ浮かべそうだった。
ごちそうさまでした。
だがしかし。
洗い物を増やして、ごめんなさい。
余談だが、夕食は時が経つにつれて基本的には自分の家へとシフトしていった。
これがきっかけというわけではないが、総合的に見たときのひとつであったことには違いないだろう。
その総合的も、ほとんどは僕のことだと思われ。
多忙の中での変更。
それもまた、ごめんなさい。
最後に、じゅんじ(僕)くん。
手は、増えていないぞ。




