地上での戦い
世莉架達が闇ギルドに潜入し、戦いを繰り広げていた時、アルファ達はパレードを続けていた。
現在アークツルスの東側に移動しており、いよいよ作戦を開始する時間帯だ。
「……怪しい奴、いるか?」
アルファ達は民衆に手を振りながらも何か怪しい動きをしている者がいないか探していた。
「うーん、今の所は見つからないわね。このまま現れなかったら……」
「その時は一先ずパレードを無事に終える。セリカ達の闇ギルド制圧が上手くいっていたとしても、このパレードで問題を起こせるかどうかは分からない。セリカは何か策がありそうだったけど、絶対は無いからな」
「そうね。けど、そうなってしまった場合は闇ギルドのような裏社会の存在を公にするのが難しくなるわね」
仮にアルファ達が上手くいかなかった場合、一時的に裏社会の活動を中止させる程度の影響を与えることはできる。しかし、それはあくまで一時的なもので、時間が経てば裏社会は動き出すだろう。
「そろそろだ。一層辺りを警戒しよう」
今の所、民衆に紛れて怪しい動きをする者はいない。建物内に潜んでいる可能性もあるが、どうにも姿を現さない。
「そもそも世莉架達の闇ギルド制圧が上手くいっているのかしら。相手に本当に魔族がいて、それが幹部クラスだったら……」
「幹部クラスがいたら作戦は中止して、撤退することを最優先に動くという話になっていただろ」
「魔王軍幹部が逃がしてくれると思う?」
「それは分からんが、その魔族はこの国に潜伏しているんだろう? それなら無理に追ってこないだろうよ。もしくは、世莉架が魔王軍幹部クラスの敵を倒してしまうか」
「それは……なんかあり得そう」
エルファは苦笑する。不思議な魅力と多くの謎に包まれている世莉架。そんな世莉架ならば魔王軍幹部と普通に戦えている姿が想像できた。
「おい、エルファ!」
突然、アルファがエルファを呼ぶ。エルファはアルファの視線の先を見る。
そこには、民衆の少し離れた場所を走っているフードを被った怪しい人物がいた。
「あいつだ!」
「待ってアルファ!」
アルファはすぐにその人物の元へ行くために馬車を降りようとする。だが、まだその人物は何もしていない。
作戦を遂行するにはここで問題を起こさせることが大事なのだ。
「落ち着いてあいつの動向を見よう。問題を起こさせるとは言っても、それで民衆に被害が出てしまう事だけは避けないといけない。だからタイミングをよく見極めないと」
「そうだったな。すまん」
アルファは一旦深呼吸をし、民衆へ顔を向けながらもその怪しい人物の動向を見る。
「……!」
しばらく馬車に並走して走っていた怪しい人物はやがて立ち止まり、懐から何かを取り出した。
そしてそれを天高く投げ、パレードの先頭であるアルファ達の乗っている馬車の目の前にそれが落ちてきていた。
アルファとエルファは状況的にそれが地面に当たった時に何かが起こることを察する。爆発か、それともガス系統のものか。中身は分からないが、とにかく民衆を守らなければならない。
二人は一瞬でアイコンタクトを取り、馬車を飛び出す。
落ちてきているその物体を受け止める訳ではなく、敢えて地面に当たるまで待つ。待つと言ってもそれは一瞬のことで、民衆にはアルファ達が敢えて待っていることなど分かりはしない。
そして、その物体は地面に衝突する。
その物体は爆発した。規模的には周囲の民衆を巻き込むレベルのそこそこの爆発だったが、その程度の爆発ならばアルファとエルファで簡単に抑えることができる。事実、爆発は二人に抑えられ、爆発が民衆に届くことはなかった。
「何事だ!」
パレードの後ろの方の商会の人間や貴族、王族が乗る馬車から大きな声が響く。
「父上、私が様子を見てきます」
「おい、待てマリコム!」
先ほど大きな声を出したのはマリコムの父であり、現国王のノーソルト・フェンシェントである。厳格な雰囲気を出してはいるが、優しく誰よりも民を想う良き王である。事実、民からは慕われており、多くの支持を得ている。
(爆発……間違いなく闇ギルドの仕業。セリカさんは問題を起こさせる策がありそうでしたが、上手くいったようですね)
マリコムは国王の言葉を聞かず、急いで爆発の起きたパレードの先頭へ急ぐ。
周囲からは困惑と恐怖と不安の声が聞こえてくる。パレードの真っ最中、突如爆発が起きたら場が混乱するのは当然だ。フェンシェント国の優秀な兵士達は一斉に民衆を守るように展開する。
ざわざわして場は落ち着かない。そんな中、マリコムはずんずんと進んでいき、アルファ達の元へ辿り着いた。
「……」
勿論、そこで作戦のことなど話してはいけない。そのため、三人は目線だけ交わす。
「何が起きたんですか!?」
そしてマリコムはすぐに切迫した表情に変え、困惑した様子でアルファに問いかける。
「突如謎の物体が降ってきて爆発したのです。そしてそれをやったのが……」
アルファはチラッと場の混乱に乗じて逃げようとするフードを被った男を見る。
タンっと地面を蹴る。凄まじい速さで逃げる男の正面に回り込み、ガシッとその胸倉を掴む。
「おい、どこ行くんだよ」
「ひ、ひぃ!」
アルファは男に圧をかける。男は酷く怯えた様子で、ガタガタ震えている。
「来い」
その男を掴んでマリコムの元へ戻る。
「王子、この者が先ほどの爆発を起こした犯人です」
そうしてマリコムの前に突き出す。マリコムはじっくりと男を観察する。
「……随分怯えていますね」
その男は怯えていた。それはマリコムに対してではない。アルファとエルファに対してでもない。
もし仮に自分の意思でやったことならここまで怯える筈がない。闇ギルドの上の立場の人間に言われて無理矢理やらされたのならまだあり得る。
しかし、なんとなくそうではないのだろうなとマリコム達は思っていた。
「王子……!」
マリコムの護衛らしき兵士達がマリコムを呼ぶ。
「非常事態発生です。どうやら、テロを起こそうとしている者がいるようです」
「なんと……では、どうされますか」
「まずは彼の話を聞く必要があります。民衆の安全を考慮してパレードは一時中止しましょう。父上にそうお伝えください」
「王子自らがその男に話を聞くのですか? 危険です。一先ず身柄を拘束し、後で我々兵士が話をじっくり聞きます」
「いいえ、今ここで私が話を聞きます。すぐそばに英雄のお二人がいるのですよ? 下手な真似はできないでしょう」
「ですが……」
「お願いします。これは今後の我が国にとって重要なことなんです」
「……」
護衛の兵士達はマリコムの言葉とその表情を見て、何かを察したようだった。
「分かりました。では、そのように」
兵士達はマリコムを信頼し、大切に思っていることがよく分かる。マリコムに何か目的があり、国の未来を真剣に考えているが故の行動だとすればそれを邪魔する訳にはいかないと兵士達はすぐに思い至ったのだ。
「では……まず貴方は何者ですか?」
「……」
マリコムは地面に座り込む男と視線を合わせて問う。しかし男は何も喋らない。
「……闇ギルドですね?」
「!」
闇ギルド、という言葉に男は明らかに動揺する。
「闇ギルドの人間に指示されたのですか?」
「……ち、違う」
「それでは自分の意思ですか?」
「こ、こんなこと自分からしたいなんて思う訳ないだろう……!」
「となると……誰の指示ですか?」
「あ、あぁ……俺は指示されたんだ。あの……あの悪魔のような、いや、悪魔の女に……」
「……なるほど」
その時点でマリコム達は悪魔の女というのが世莉架のことだとすぐに思い至った。
(彼は闇ギルドの人間。今まで何度も危険な目に遭ってきたことでしょう。そんな彼がここまで怯えるほどのことをセリカさんがしたということですか。あれほど美しい彼女が……あまり想像はできませんね。しかし、事実でしょう)
「そうですか……では、貴方は……」
「マリコム王子、そろそろ話を終わりにしてくれませんか?」
マリコムが続けて男に質問をしようとしたところで声がかかった。
振り返ると、そこには三人の男が立っていた。
「ミュール様にピュールスター様……それに父上」
国王以外の二人は、裏社会に最も深く関わり、世莉架とアリーチェが侵入した家の家主達だ。つまり、闇ギルドなどの後ろ盾である。
今回の作戦では裏社会の存在を公表し、この二人の悪事も同様に公表することになっている。
「マリコム王子、そろそろ話は終わりにして頂きたい。ここからは治安維持部隊の長である私が対応しよう」
「そうですぞマリコム王子。いくら優秀な王子とはいえ、そんなに近づいたら危険ですし、ここからは大人が対処した方が確実です」
「……」
最初に声をかけてきた紳士そうな見た目の四十代ほどの男は治安維持部隊のトップにいる貴族、ネアンド・ピュールスター。続けて話しかけてきた四十代ほどの明らかに裕福な生活を送っていることが分かる体型の男はミュール紹介のオーナーであるブルメフ・ミュールだ。
作戦では、パレード中に問題が起きたらすぐさま捕らえてマリコムが話を聞く。そしてそこから闇ギルドの話を聞き出し、その場で大きく公表するはずだった。
しかし、裏社会に深く関わっており、断罪する相手である二人がすぐさま駆けつけてきた。
爆発が起きて、恐らく二人は裏社会の人間がやらかしたと早々に察したのだろう。だからこそすぐにでもこの事件の真相を捏造し、民に不信感を抱かせないような対策をしたいのだ。
(ここからが本番ですね。どうやって裏社会の存在を公表し、この二人を断罪するか……)
ここで引き下がる訳にはいかない。ここからは一言一言がとても大事だ。言葉の選択を間違えてはいけない。
相手は悪意と権力、そして欲望が渦巻く貴族社会や商会の人間と幾度となく戦い抜いてきた猛者達だ。そんな簡単に事は進まないだろう。
更に、これも予想していた事ではあるが、ピュールスター達のすぐ側には国王がいるのだ。実際国王がどちらの味方をするのかは分からない。いくら誠実で優しい国王とはいえ、裏社会の存在を簡単に公表すると決断するのは難しいだろう。
だが、ここでマリコムの意思を汲んでくれるかもしれない。その逆もまた然り。どう転ぶかはまだ分からない。
(私一人でどこまでやれるのか……いや、弱気になっている場合ではないですね。この国を変えるのに必要な事なのです。王子たる私がしっかりしなければ)
マリコムは今一度覚悟を決め、そこに立つ男達を見る。
「……王子、俺達も出来る限りサポートします」
すると背後からアルファが小さい声でマリコムにそう告げてきた。
「英雄と担がれている私達の発言は、そこそこの力を持っています。ならばここで静観しているだけなどという愚策は取れません」
次にエルファが小さい声でそう告げてきた。
「……有難うございます」
マリコムは一度目を閉じ、アルファとエルファに小さく礼をする。
そう、これはマリコムだけの作戦ではない。アルファやエルファ、世莉架達。少人数だが、全員が同じ目的に向かっている。一人だけで頑張ろうとする必要はないのだ。
マリコムは目を開ける。そうして、作戦は最終局面に移る。
**
「上はどうなっているのかしら」
世莉架とメリアスはタシェーラを連れて外に出るために所々が崩れた廊下を走っていた。
「どうだろう……でも王子達なら上手くやってくれると思う」
「そうね、まぁ上手くやってくれるでしょう」
「そうだね。ていうか世莉架……」
「何?」
「腕、治さないの?」
世莉架はニミルとタシェーラとの戦闘中に右腕に強烈な蹴りを受け、怪我をしていた。しかし、世莉架がそれを治さずにいることにメリアスは疑問を覚えたのだ。
「……貴方には言ってもいいかしらね」
「え、何?」
「私、治癒魔法が使えないの」
「……本当に?」
「えぇ」
治癒魔法は魔法が使える者なら殆ど使えることができる魔法だ。高度な治癒魔法は使えずとも、一般的な治癒魔法ならば普通に使えるものなのだ。
しかし、世莉架は一般的な治癒魔法すら使えなかった。この事実にメリアスは驚く。
「そんなまさか……だって私のギフトは多くの魔法を使えるようにしたはず。この世界の治癒魔法は、多少の怪我を治す程度なら結構簡単に使えるのが普通みたいだし、世莉架が使えないなんてことがあるはずないと思うんだけど」
「残念ながら使えないわ。まぁ、私が治癒魔法を使えなくたっていいわ。ハーリアなら使えるだろうし」
「そうだけど、いつも必ず一緒にいれる訳じゃないだろうし、ハーリアでは治せない怪我をしてしまうかも……」
「そんな事は早々ないとは思うけどね。それに、治癒魔法が使えないなんて、私らしいわ」
「どこが世莉架らしいの?」
「治癒魔法は傷を癒す魔法。自分も他人も治すことができる美しい魔法。他人を傷つけることしかできない私とは正反対じゃない」
「……」
世莉架は自虐するつもりで言ったのではない。世莉架の心の奥底にまで蔓延っているのは、自分という人間の価値の低さ。最早世莉架は自分でそういうことを言っても何も思わないし、それが事実だと当たりの前のように思っている。
「世莉架、私は貴方に何度も助けられてる。さっきの戦いの中でも助けられた。他人を傷つけることしかできないなんて、そういう風に言わないで」
「貴方は神だから助けてるのよ。流石に神様を見殺しにはできないからね」
「……とにかく、なるべく自分を悪く言わないで」
「そう言われても、事実だし」
「うるさい。いいから、約束して」
「はぁ、善処するわ」
ため息をつきながらもメリアスの走るペースにさりげなく合わせてくれている世莉架。メリアスはなんとも言えない感情に支配されていた。
「最初の広間よ」
やがて大きな広間が見えてきた。そこはミュール商会の地下に入って最初に見た闇ギルドの玄関のような場所だ。
「!」
広間に入ると、多くの捕らわれていたであろう色々な種族の者達がいた。そしてそのすぐ近くにハーリアとアリーチェの姿もあった。
「セリカ! メリアス!」
アリーチェが世莉架とメリアスを確認し、大きな声で呼ぶ。アリーチェはハーリアをお姫様抱っこしている。
「……アリーチェ、ハーリアはどうしたの?」
ハーリアは眠っている様だ。そしてハーリアの腹部には応急処置はしてあるが痛々しい傷があった。それに気づいた世莉架がアリーチェに尋ねる。
「これは……私のせいよ。私が弱かったから、私が愚かだったからハーリアが傷ついた」
アリーチェは表情を暗くして言う。何か大変なことがあったことだけは世莉架達に伝わった。
「そう……それについては外に出て安全を確保してから聞くわ。それで、貴方の幼馴染は?」
当然世莉架とメリアスはアリーチェの幼馴染であるシーナがどうなったのかを知らない。
「……駄目だったわ」
「……そう」
その一言で、全てを察した世莉架は短く答えただけだった。
メリアスは悲痛な表情で俯いている。やはり、皆が作戦通り上手くいく訳ではなかった。上手くいかないことくらい想定はしていたが、それでも悲しいことに変わりはない。
世莉架はアリーチェの頭に手を置く。
「でも、貴方達のおかげでこれだけ多くの人達が助かったのよ。確かに貴方は色々と重大なミスをしてしまったんでしょう。それでも貴方に救われた人達がいることもまた事実。そこは誇りなさい」
「……うん」
アリーチェは小さく頷く。
「よし、それじゃあ外に出ましょう。捕らわれていた彼らの存在は、今まさに地上で戦っているであろうマリコム達の助けになるはずよ」
世莉架は手を何回か叩き、全員の視線を集める。
「皆、これから外に出るわ。けど、外に出たら絶対に私達の元を離れないで。勝手に行動しても貴方達に良いことはないわ。これからこの国は変わる。その変化を確実なものにするためには貴方達の存在が必要なの」
曖昧な内容でイマイチ状況が掴めずに捕らわれていた者達がざわついている。
「大丈夫。貴方達が解放されることは揺るがない事実よ。安心して。もうここで詳しく説明する時間もないの。とにかく地上に出ましょう」
世莉架を先頭に、次々と皆が付いていく。
皆がどんどん地上へ上がる為の階段を登っていく中、アリーチェは立ち止まり、後ろを振り返る。
「シーナ……」
アリーチェの幼馴染のシーナの遺体は檻の中に置いたままだ。
沢山の捕らわれている人達を解放し、その後遺体を持ち帰ろうとしたアリーチェだったが、その凄惨な姿のシーナを抱えて外に出ようとした時、足が止まった。
シーナを抱えて地上に上がり、その後シーナの遺体はどうするのだろうか。できることなら故郷に埋めてやりたいという気持ちでいっぱいだが、いつ故郷に帰れるかなど分からない。故郷に帰るまで遺体を保存しておくのは難しい。だが、異国の地で眠らせるのは、心苦しいと思ってしまうのだ。
本当ならば、シーナをきちんと弔ってやりたい。しかし、それが叶うのはいつ頃になるのか分からない。その頃にはもう腐敗が進んで原型を留めなくなっているだろう。
全ては自分のせい。遺体を持ち帰るのが難しいのも、そもそも死なせてしまったことも、ハーリアに重傷を負わせたのも。
アリーチェは多くの悲しみを抱え、止まらない涙を流しながらそっとシーナの遺体を檻の中に置いたのだった。
「ごめんね、シーナ。私は……弱いね。何も出来なくて、出来もしない癖に大きなこと言って。そんな私を純粋に応援して、色々と手伝ってくれてたのは貴方なのに。本当にごめん。何も返せなくてごめん。だから……これからは、大切な人達を守れるように、もう二度と失わなくていいように死ぬ気で努力する」
アリーチェはそう言って檻を出た。世莉架はその姿を見て、アリーチェの判断を尊重し、かつその遺体をどうするか考えた。
今回の事件の全貌を掴むため、すぐにでもここに調査が入るだろう。その時、シーナの遺体も発見される。頭部が潰れているため、エルフであることはすぐには分からないだろうが、もし解剖でもされたらエルフと分かってしまうだろう。しかし、シーナは完全に被害者だ。自らの意思でフェンシェント国に入った訳ではない。それであれば、遺体を無下に扱われてしまう可能性は低い。
そして、この国にはマリコムがいる。マリコムは絶対にエルフであるシーナを無下になど扱わず、丁重にその遺体を扱い、代わりに弔ってくれるだろう。どこかのタイミングでその話をマリコムにしておこうと、世莉架は考えた。
「今までありがとう。いつか……いつかここに戻ってきてきちんと弔いをするから。それまで待っててね。大好きだよ、シーナ」
涙を拭い、アリーチェは力強く足を前へと踏み出した。
いつの間にかアリーチェとアリーチェの抱えるハーリア以外の人は皆地上へ出たようだ。
静かな空間でアリーチェは目を瞑り、黙祷を捧げる。
「じゃあ行くね」
小さい声でそう言い、アリーチェは地上への階段を登るのだった。




