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クズが異世界を通ります  作者: 山崎トシムネ
第5章「セオス教」
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「新兵器」

技術の発達は先ずは軍事。次にエロ…だったかな?どっかでそんな話を聞いた気がするんだけど…まあ、いっか。


兎に角!何事も進んだ技術は先ず軍事利用されるって訳よ!


そして我が軍でも絶賛新兵器が開発中って訳。




利央達幹部が一同に会す中、先日の武闘会によって新たに幹部入りを果たしたメンバーもしっかりと顔を出していた。



「ほほう、これは確か…」



「そう!ドラ男君正解!!他のみんなも分かってたよね??」



「いや、まだ何も言って…」



「そう!!みんなとは拳で語り合った仲だもんね!…ん?そいつとは別の個体か。でも個性とは無いからぶっちゃけ区別とかがつかないか」



「ちょっと!何一人でブツブツ言ってるのよ?」



「ああ、ごめんシャーリー。なんか人数が多くてワクワクしちゃってさ!親戚がみんな集まったーみたいな?」



「よくわからないわよ!…んで、これがダークドワーフ達に作らせた"骨組み"かしら?」



「正解っー!」




魔王軍の主要メンバーの前にずらりと並べられているのは、骨の骨組みである。




「これはこの前の武闘会の…」



「そうだよーゴブ一郎。お前も一回吹っ飛ばされたやん」



「うっ…そんな事ありましたか?」



「!!ゴブ一郎さんが…珍しいわね、そんな冗談言うなんて」



「ゴブ一郎殿は昔から負けず嫌いですしな」




「てな訳で、これらはスケルトンウォリアー(仮)です!」




骨が組み合わさり、6本の腕を持った2メートルはゆうに超えた巨大な骨の身体の戦士達が、ずらりと並んで整列していた。



「すげぇぇ!!これだけいれば魔王軍は無敵だぜぇーーー!」



「おいオーム!うるせえんだよ、耳元ででかい声出すな!ホークマンの耳は良過ぎるから敏感なんだよっ」



「すまねぇホー君!!オークは興奮すると大声が出てしまうんだ!!!許してくれっ!!!」



でかい声で恥ずかしい会話をする二人を尻目に




「そんな特徴無いだろ」



「全く…魔王様の御前で…」




リザロとドラ男は冷静な突っ込みを入れ、その様子を冷めた目で眺めていた。



しかし、そんな様子を見て利央は




「うんうん!賑やかでよろしい!!こんな大人数で楽しく過ごせるなんてな。昔の俺じゃ考えられないわ」



子供のように無邪気な笑顔で、楽しそうにそう話す。



そんな魔王の姿に新幹部達も照れ笑いを浮かべているようだ。



そんな中



「シカシマオウサマ、コノスケルトンウォリアータチカラハマリョクヲカンジマセンガ?」



迷宮の主として逸話や神話にすら登場する伝説の亜人…(正確には亜人か魔獣かの区別は付いていないが)ミノタウルスが声を上げる。



「流石ミノタウルス君、戦闘狂だねえ。直ぐに魔力の反応とか強者のオーラとかに反応するよねー」



「オハズカシイカギリデス」



「そうなんだよ!コイツらはまだディグ蔵達ダークドワーフに組み立ててもらっただけ。要は量産が可能かって事を実験してるわけよ…ねっジーバ君!」



「そうですぞ皆さん。この前の武闘会…私は見ておりませんが、善戦していたスケルトンウォリアーは私とシャーリー殿が試行錯誤の末に生み出した戦士でしたが、あのレベルの戦士を何体も作れればどうなりますかな?」



「魔王軍は最強になりますね!!ジーバ様!!!!」



「おいっオーム!場を弁えて発言を…」



長く上司と部下という関係にあったゴブ一郎が、思わず注意するが…



「いやゴブ一郎殿、強ちオームの言は間違ってませんぞ」



「はっ!…これは失礼しました」



真っ赤な顔を浮かべるゴブ一郎を、利央はニヤニヤしながら見ながら



「まあそういう事よ!あんなのが何体も、それも死体があれば幾らでも作り出せるとなったらどうなる?」



「それは…」



「かなりの戦力向上になるかと思います」



「そうだよドラ男君!賢いなー君は」




チッという舌打ちが竜人の隣にいたホークマンから聞こえてきた気がするが…



「てことで、コイツらはかなり重要な存在だし。今後の最重要課題でもあるのだよ」



「「「おぉー」」」



一同からは驚嘆の声が聞こえ、利央を始めとしてほぼ全員が満足気に頷く中。


一人浮かない表情をしている人物がいた。


その人物は恐る恐る震えた声で…




「ま…まさかとは思うけど…」



「ん?どうしたシャーリー?」




シャーリーは若干青ざめた顔を浮かべながら問いかける。



「このスケルトンウォリアー達に魔力を吹き込むのって…」



「あ…う、うん。そうだね。そ、そのー。何というか…。うん!シャーリーの仕事だよね」




その言葉を聞いたシャーリーの顔は若干青ざめていたものが真っ青へと変わり、力無くフラフラと何処かへ消えていってしまった。



その様子を見ながらその場に残された一同は、困惑した様子で申し訳なさそうにただただ顔を見合わるだけであった。

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