PvP
PvP
それはプレイヤー同士が戦う行為。
PvPプレイヤーは戦闘を好む、いわば戦闘狂であり、NPCからもプレイヤーからも敬遠される存在だ。
それでは、もしPvPプレイヤー同士が出会うとどうなるだろうか?
意気投合する? 避ける?
全て違う。
彼らが出会った瞬間に起こす行動はただ一つである。
どちらかが塵になるまで、PvPをするのだ。
モズはPvPを好んでいるわけではないが、売られた喧嘩は全て買うので、気づくといつもPvPプレイヤーのランキングで上位にいる。
友人のカグレイいわく、ただのPvP好きの戦闘狂だそうだ。
モズ自身は否定しているが、傍から見ればただのPvP好きの戦闘狂である。
そんなモズはSECONDでもPvPをするのである。
ゲーム開始からたった15分にして……。
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相手は双剣か……。
こっちは短剣だから、ガードを無理やり壊して強行突破するのは不可能だな。
見たところ、俊敏性が高まるスキルも持っていそうだが……。
まず、このゲームで何が強いのか分からないからな。
まぁ、初心者狩りならバフとかは積んでいないはずだから、いけるか?
確かSECONDはリアルさを追求しているんだよな?
なら、《《あれが》》やれるか?
「炎よ、相手を燃やし尽くせ!!」
敵が赤色の短剣を振ると、こちらに向かって大きな火柱が迫ってくる。
横にステップして避ける。
まずい!! 後ろにはバラーが!!
振り向くと、火柱は轟々と音を立てながら、黒猫に向かって突っ込んでいく。
あの手のタイプは生き返らない。どうする? 短剣でも投げれば防げるか?
「モズ様!! 戦いに集中してください!!
私は大丈夫です!!」
黒猫は大きな声を上げながら、炎に向かって尻尾をブンと振ると、炎は瞬時に跡形もなく消えてなくなった。
急いで前を向き直すと、初心者狩りがすぐそこまで迫ってきている。
短剣を構えると、右腕から光が飛び散る。
「面白い腕だな!
だけど、生まれたてならSP装備も意味はない!!」
初心者狩りは大きく飛び上がり、こちらに向かって双剣を十字に構えて振り下ろそうとしてくる。
馬鹿が! 空中では身動きが取れない!!
いいタイミングで避けるか、パリィすればこっちの勝ちだ!!
いや、待て。これは超高難易度。
そんなサーバーで、こんな素人丸出しの馬鹿がいるのか?
十字……。
俺はパリィの準備を中断して、急いで十字の射線上に入らないように避けた。
バン!!
初心者狩りが双剣を叩きつけた場所から大きな砂埃が立ち、十字の射線上には水柱と火柱が横向きに発射された。
さっきの呪文のようなものはブラフ!!
本当は双剣を振ることによって、火柱や水柱を出すことができる武器!!
「まさか、これを初見で見切られるなんてね……。
いいじゃないか!! 初心者ばかりで飽きてたんだ!!
やろうか、光の右腕君~!!」
「馬鹿が、こっちの番だよ!」
俺は避けた拍子に掴んでおいた砂を、初心者狩りに向けて投げつける。
目に入ったのか、目を押さえながら悶えている。
よし!!
これだけリアルなら、もしかしたらアレもできるのか!?
目を押さえている初心者狩りに向かって走りながら考える。
やってみる価値はある!!
「おらぁ!!」
走った勢いを短剣に乗せて、初心者狩りの炎の剣を持つ方の腕に振り下ろした。
ゴトン!
炎の剣は手から離れなかった。
離れたものは、腕だった。
俺と初心者狩りの間には、炎の剣を強く握りしめた右腕が落ちていた。
そして、初心者狩りの傷口にはあの光が灯っていた。
「参った!!」
「は?」
参った? こういうのは最後までやるんじゃないのか?
「最後までやりたいのか?
アンタはそんなプレイヤーには見えないけど?」
男は首を傾げながら言った。
「そうだけど……」
すると、初心者狩りの男の顔が少し強張る。
「アンタ、もしかしてこのゲームやったことないのか?」
「ああ」
「なのにあんだけ上手かったのか!?
ゲームごとに操作感も違うのに? バケモンじゃねぇか!!」
無言で右腕を上げて振り下ろす。
初心者狩りはそれを難なくかわす。
「悪かったよ!
にしても、まさかの初心者か。それはすまなかった」
初心者狩り? は頭を下げながら謝る。
「お前、初心者狩りじゃないのか?」
普通に考えても、最初の平原にいるプレイヤーを狙ってくるのだから、初心者狩りだろう。
「俺は輪廻狩りだぞ?
このゲームでは死んだら全て初期ステータスに戻るから、そこを狙うんだよ。
それに、この草原はある程度進めたプレイヤーがスポーンする草原だぞ?」
ここは最初の草原じゃないのか?
確かに、最初の草原の周りに城塞都市なんてないか……。
「あと、お前のそれ、SP装備だろ?
死んでも自分の装備スロットに残り続けるスペシャル装備だよな?」
「この義腕のこと言ってんのか?
この義腕はただのスキン的なものだよ。
本物はこっち」
俺はスキンを外そうとして、メニューを開いた。
「……」
「どうした? 何かあったのか?」
「なぁ、これってどうやってスキンとか外すんだ?」
「……改めてすみませんでした!!
スキンの外し方は、かくかくしかじか……」
お、できた!
すると義腕がなくなり、あの黒く焼け焦げた皮膚の隙間から光が見える腕が露わになる。
「俺の体自体に問題があんだよ」
「何だこれ!?
初めて見たぞ!! どうやったらこんなことになるんだよ!!」
俺はこの腕になった経緯を説明した。
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「馬鹿じゃねぇのww!!
普通なら痛い思いをしたら、手を引くだろ?」
「いや、仮想現実だから大丈夫だろって思って……」
「それが馬鹿って言ってんの!!」
「うるせぇ!
そういえば、お前、名前なんて言うんだ?」
メニューを開いて再び義腕をセットすると、右腕が重くなった。
男の右腕を見ると、傷口の根元からやはりあの光が見える。
少し似てるけど、俺のやつより明るくないな。
「俺の名前は【炙りカルビ】だよ」
「俺の名前はモズだ。改めてよろしくな、カルビ。
そういえば、その右腕は大丈夫か?」
「あ、これか?
大丈夫だよ。後で義腕でも市場で買うから」
義腕とかも売ってるのか……。
まぁ、さっきみたいな戦闘で体の一部を失うことはあるだろうからな。
「いや、そうじゃなくて、痛み的なものは?
右腕を雑に切り落としたんだから、痛いんじゃないか?
それに、その光だって……」
あの光に触った時、あれだけの激痛が走ったんだ。
あの性質がまだ残っている可能性も捨てきれない。
「あ、そういえば言い忘れてた。
俺、痛覚ねぇんだわ。現実でも、こっちでも」
読んでくれてありがとうございます!!
いつも通りの語句説明です、いつもすいません!
輪廻:死んだプレイヤーが特定の場所で生まれ変わる事。
レベルはリセットされ装備も全て最初と同じになる。
生まれ変わる場所は五か所だけだ、何かの方法を使うと生まれ変わりの場所を変える事が出来る。
輪廻狩り:生まれ変わったプレイヤーを狩るプレイヤー。
SP装備を持つ相手だと殺される場合もある。
SP装備:輪廻した後でも自分が装備し続けることが出来る装備品。
ちなみにモズの腕はSP装備ではない。




