かはたれときに おあいしたなら
かはたれとき
誰れ枯らすかと値踏みし魂を捜す
魔性たちとのもう一つの逢魔の時
底光るにぎやぎを紫や濃紺にちりばめ
その真裏の水を打ったような静謐の上に立つ
幽玄と夢幻の間の微かに匂い立つ神隠る時
彼は
誰れ
あけやらぬ もやい時
日と夜のはじかい
陰と陽の何方へも属し
どちらとも違う
かめのぞきの色の
濃い霧を幾重にも塗り
誰とも知れぬあやしき者の
醒めぬ夢を廣げたような
その時間に
たまさかに出合えたら
人でも魔性でも互いにはじめは
顔を上げず声を潜め
素性を知らせず
またお会いすることはあるでしょうか
どこかでいつかの彼は誰時に機会があれば
或いはまた
お合いしましょうね
と胸の内でだけ問わず語りを交わしあい
目を伏せ会釈だけをして通り過ぎ
そのまま振り返らずに
簡素な柾の橋を渡り
――またあえたなら――
と誰も発声していない筈の言葉を
幾度も繰り返す山彦を背なに聴いたら
ああ私は
会うべくして出くわした
ああ
次の彼は誰れときには
私はもう逃げられはしまい
と頬を緩めて
昼には見えない翼を仕舞い
私は人の世に
紛れ去るのだ
陽の陰が 私を何者かに定義して
縫い付ける
彼は誰時
その時間も
やすけくお眠り
迷わぬ人等
黄昏だけがあなたを攫うのではない
逢魔の時はひとひにひとたびだけではない
それでも
あなたが望むのならば
――いつかの彼は誰ときにおあいしましょう
次には私にあなたの名前を聴かせてください――
誤って連載詩の形式してしまったものを閉じるために2話目を慌てて作りました。
かはたれ時は早朝、たそかれ時は夕方です。




