配下も普通ではなかった件について─
ジンが少し遅れてやってきたのには訳があった。ちょうど、迂回して帝国軍の背後を取る時にエリザ姫殿下と遭遇したのだ。
「何者だ!」
突発的な遭遇の為に、お互いに剣を抜き掛かったが、すぐにユグドラ王国の援軍と伝えお互いの素性を明らかにした。
「ユグドラ王国の援軍はたったこれだけか?」
エリザは少し落胆した。
いつもなら3万~5万もの兵士を援軍に送ってくれるのだが、その100分の1の兵力である。
「こちらも帝国の妨害工作に遭いまして大軍を動かせなかったのです」
「しかし!たったこれだけで何が─」
「故に!ユグドラ王国は同盟国であるローズガーデン王国に対して、今まで以上の戦力である『英雄』を動かしたのです!」
ジンはエリザの言葉を待たずに言った。
「申し訳ありませんが、時間がありません!作戦行動があるので失礼致します」
ジンはそのまま移動しようとしたが、エリザが同行すると言い出した。
「御遠慮下さい。足手まといは不要です」
なっ!?
これにはエリザもショックを受けた。
「貴様!」
エリザは喰って掛かろうとした側近を止めた。
「失礼。連携も出来ない他の騎士達は邪魔になるということです。我々は集団での訓練を受けているので」
ぐっ!?
確かに連携できない軍が集まっては本来の力が出せない。
「…………わかった。ならば、私のみ同行させて欲しい。ここは我々の国だ!援軍であるユグドラ王国のみ戦わせたくない!」
ジンは少し考えたが、このままゴネられても時間が勿体ないと思い、許可した。
「エリザ様!?」
「お前達は我々が討ってでて、万が一窮地に陥った時の血路を開いて欲しい!」
!?
こうして、少し時間を喰ったが作戦行動にでたのだった。
ジンの率いる集団は、エリザが考えていた以上に精強だった。いや、精強過ぎた!
「ぐおっ!!!」
強襲したジン達は一騎当千の動きで、帝国兵を倒していった。
「彼処が本陣だ!このまま攻め落とすぞっ!」
「「「おうっ!!!!」」」
しかし帝国軍も強襲を受けて、すぐに対応してきた。
「前方の軍を後ろに廻せ!左右から包み込むように殲滅しろ!」
「弓隊、援護射撃だ!」
帝国軍も陣形を変えて対応してきたが、それ以上にジン達が本陣に喰い込むのが速かった。
『なんなんだ!?この集団は!強すぎる!』
エリザは50人の集団の中心に入れられ、何もできていなかった。当然である。ジンもエリザ姫に何かあれば、ローズガーデン全体の士気に関わる。故に集団の中心に組み込み守っているのだ。
「…………それにしても弱すぎる。民兵なのか?」
ジン達は余りの手応えのなさに違和感を覚えた。これなら刃を逆にして打ち身で倒せると、手加減する余裕すらあった。
「ジン、弱くないか?」
仲間も不思議に思い聞いてきた。
「ああ、確かにな。だが、こちらには好都合だ!」
ジンは元Sランク冒険者だった。グリーンウッド一家に憧れて兵士に志願した。この50人はグリーンウッドの上級兵士ばかりなのだ。忠誠心も高い!
帝国軍に50名もの英雄達を止めるすべはなく、あっという間に本陣へと抜けていった。
すると、正面から帝国軍を吹き飛ばしながら、カウスがほぼ同時にやってきた。
「おっ?ジン、無事か?」
「はい!思いの外、帝国軍が弱かったため余裕で来れました!」
前と後ろから敵が攻めてきた事で帝国軍の将軍も逃げ出していた。
目の前から万もの兵士をものともせず、やってきた英雄に恐れを成したのだ。
「悪いが、お前だけは見逃せん!」
カウスは瞬足で間合いを詰めると帝国軍の軍司令官の将軍の首をはねた。
それを見たジンが大声で叫んだ!
「帝国軍総大将の首、ユグドラ王国の英雄カウス様が討ち取った!!!!」
うおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!!
配下の50名も勝鬨を挙げた!
「化物だ!?逃げろ!!!!」
カウスの戦いを見た帝国軍は敗走していった。
「追いますか?」
「いや、今は砦の兵士達の治療が先だ。皆、お疲れ様。大丈夫だったか?」
「はい!全員無事です!それと、作戦開始前にローズガーデンのエリザ姫殿下と鉢合わせしまして…………」
そう言うと、エリザは集団から飛び出してきた。
「あ、あの!ローズガーデンを救って頂きありがとうございます!」
エリザは本物の英雄を目の前にして、乙女の顔をしていた。
『よろしければ感想、評価、ブックマークよろしくお願いします!』




