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ティーパーティー

ダンジョンの攻略が終わってすっかり気が抜けてたけど、試験勉強しなきゃいけないんだよな。しんどい。


「対戦モンスターを無力化、サーチ、逃走路の確保を完了させる」


これが夏季試験の内容。

おれの魔法は縛りつけるのが得意だから、無力化と逃走路はいける。対策するならサーチ、つまりモンスターの特徴の調査とその暗記だ。



「B組は丘ダンジョンのモンスターが対象ですけれど、それなりに種類がいますわ」

「共通する特徴もあるから、カテゴリー分けして覚えると楽ですわよ」

「そうですわぁ。モンスターの色である程度わかりますし〜」


初夏らしく涼し気な色のドレスをまとった三人。ピネちゃん、ハチクちゃん、プリュネちゃんだ。



今日はとある伯爵夫人が主催するガーデンパーティである。バラがキレイに咲いたし、ローズヒップティー作ったからっていうお誘いだったけど、面子をみる限りいわゆる “黒の聖女派” が集められてるらしい。


“白と黒の聖女争い” が貴族に浸透しきったようで、どちらに付くかで各貴族がヤイヤイしてるんだって。三人の取り巻き情報なので間違いない。



(聖女は王家と同等といえるくらい権力あるからな……)


刃丞はまだきていない。このまえ王子と会うからって言ってたから、そっちで事態を進めているんだろう。ブートキャンプがどうとか、自重トレーニングがどうとか言ってた。まさかふたりで筋トレとかしてないよな……すこし心配だ。



伯爵家のひろい庭を散歩と称して四人で固まりながら歩く。バラの木で作られた道を鑑賞しつつ、夏季試験について三人からアドバイスを貰っているところだ。


「みなさまのクラスでは丘ダンジョン以外も試験範囲になるのですか?」


ピネちゃんハチクちゃんはSクラスで、プリュネちゃんはAクラス。2クラスとも去年のうちにダンジョン遠征は済ませてた。


「Aクラスは国内の半分のダンジョンが範囲になってますわぁ」

「Sクラスでは国内のすべてと、国外の有名ダンジョンも少し関係するわ」

「罠や性質が違うのですって」


はぁー。それは刃丞には無理だ、覚えることが多すぎて逆にひとつも覚えられないやつだ。Sクラスってすごいな。


「ぼんやりしては危ないですわ」


ハチクちゃんがおれの腕に腕をからめて引き寄せる。感心してたらバラのトゲに近づいてたらしい。


「試験もですけれど、どうやらその直後にまた聖女試験があるでしょう? ローズマリー様を支えてさしあげてね。もちろん私達も全力でやりますから」


先頭を歩いてたピネちゃんが振り向いて微笑んだ。プリュネちゃんもハチクちゃんの反対側からおれの腕に絡んで体を寄せてると、だれともなくクスクス笑いあった。


伯爵夫人もまぁ仲がよろしいのねと微笑ましげだったが、おれはすごくドキドキしてたんだ……。両腕にふたりのおっぱいがあたった段階で動悸が止まらなくなってたよね。




学校では資料室でモンスターの図鑑を見て覚え、家では捕縛術の練習。たまに放課後レゴちゃんたちと勉強会をしたり、刃丞の家でなぜかおれが国内外のダンジョンのレクチャーをして過ごす。


ウィステリア先輩からはレクティータさんが気品とマナーを急ピッチで身につけてるって経過の知らせが来たし、香油の売れ行きも、ひとりによる買い占めではあるけどいい感じらしい。


(うまく行き過ぎてこわいなー)


めちゃくちゃ調子がいいからこそ、なんか落とし穴でもあるんじゃないかってネガティブが出ちゃう。非モテってこういうとこがダメなんだよ……と、ちょっと落ち込んでるとラレールさんたちに取り囲まれていた。


「ちょっと貴女、最近調子に乗りすぎじゃなくて?」

「そうですわ!」

「乗ってますわ!」


一年と二年の学棟のあいだ辺りで、放課後になると人がまばらにいるところだ。そんなところで正三角形のフォーメーションで囲まれてる。三人のちょうど中央にいるとなんか召喚された気分だな……。


「はぁ、調子とはどのような……」

「聖女さまの侍女候補に選ばれたというのに、まるでなってないですわ!」

「そうですわ!」「なってないですわ!」

「はあ、すみません」

「わかってますの!? 胸ポケットから乾物など出して!!」


えっ! あ、ほんとだ。

猫ちゃんにあげようと思ってた小魚の干物がはみ出てた。さっき、というか午前中に早弁代わりに食べてて残りをしまい損ねたんだな。


「……召し上がります?」


ラレールさんがイライラしがちなのってカルシウム摂ったら改善するんじゃないかな。この世界の人間が前世と同じ体なのかわからないけど、小魚の栄養はなにかに効きそうだ。


「い、いりません!」

「我が家の自家製ですので味には自信が」

「お黙りなさい! とにかくもっと自覚をおもちなさいっ、みっともない!」

「はあ」


自覚っていわれてもなぁ。一度取り出した小魚をしぶしぶ胸ポケットに押し込む。


「とにかく、廊下を走らない!! よろしいこと!?」

「ええ?」


どの角度からの話なの。廊下を走らないって小学生の注意されるとか。というか、ほんとに急になんの話を……


(あ……)


フェナクを保険室に運んだやつかー! そういえばラレールさんを見かけたかもしれん。


「あーぁーはいはいはいはい」

「んなんですのその返事はっ!?」

「いえ、わかりました。ご助言ありがとうございます」


ペコと頭を下げると、ラレールさんたちはプンプンしながら去っていった。

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