冬休み前日
ウィステリア先輩と会ってすぐの翌日の放課後、刃丞の屋敷に行った。
そこで聖女選択で負けそうなことやシステムを説明した。
「あら、だったら負けたら聖女にならなくて済むわね」
「ペナルティで攻略対象全員の好感度が下がるんだって。その代わり勝てば上がる」
「え? でも好感度あがったら聖女に選ばれるじゃない」
「そう」
「え……?」
それなんだよ。男たちの好感度上げたら聖女になるし、下げたら嫌われて王子がヒロインちゃんに行っちゃうかもしれない。
「バランス難しすぎない!?」
刃丞が嘆いてるけど同意である。悪役令嬢って大変なんだなーって改めて思うよ。
それからもうひとつの問題。
「刃丞、結界ってつくれるの?」
「作れない! そもそも操作ができないわ! 試験でも仕方なくモヤを出したのよ、合格したけれど」
魔力にあたったおれが寝たこと以外、聖女の魔力は未知のままだ。資料にもヒロインちゃんのは書いてあっても令嬢のはないし、ウィステリア先輩もフワッとしたことしか言ってなかった。いわく「陰と陽でいうと陰」ということだ。
「はぁー情報の整理が追いつかないわ……翔義、あなたがいろいろ調査してくれるの、すごく助かってる。ほんとうにありがとう」
「なんだよ、改めていうなよ恥ずかしい」
「ふふっ素直な気持ちよ。触手ちゃんに縛られてるからかしら?」
イタズラな顔で笑う刃丞は、服の下、おっぱいの根本を触手ちゃんで縛ってる。ドレスが綺麗に着れるんじゃないかっていう考えを実証してみてるんだ。
バストアップっていうかものすごく強調されることがわかった。触ってみてもあんまり柔らかくなかったよ……。
「あっ!しまった!」
マッサージをしてくれてるダンドワさんがビクッとして手を止めた。驚かして申しわけないと思うけど、急に思い出したんだごめん。
「お父様帰っちゃったけど、香り石のこと言ってない……」
「さようでございますね。まだ研究が納得なさっていないのかと思っていましたが、お忘れでしたか」
「うん……」
いろいろありすぎて、すっかり報告を忘れてた。
でもダンドワさんがいうように確かに研究はまだ半ばで、ロベールに会えない冬休み中はサンプルを作るだけになる。
ひとりで使うのは危険だから、検証はロベールとふたりのときにやるって取り決めだ。だからおれの部屋には香り石で作った香油の小瓶、つまりサンプルだけが結構ある。すべて作り方を微妙に変えてあるんだ。こういう実験って楽しくなっちゃうよね。
「お手紙を書かれますか」
「そうだね、聖夜祭が終わったら書こうかな」
「それがよろしいですね。ところでお嬢様」
ダンドワさんがす、と手を止めた。
「? なぁに」
「たいへん申し上げにくいのですが、ローズマリー様の聖夜祭にご参加なさるのなら、お食事を控えめにしたほうが宜しいかと」
「へえ!?」
ふ、ふっ太ったってこと!?
「ワンピースは着れてるよ!? 制服も!」
「コルセットを緩めにしてましたので」
なんだってー!!
着替えはメイドさんに任せてたから気づかなかった……コルセット緩くしてくれてたんだ……。
「ローズマリーさまのパーティーいかない」
「招待状をいただいたのです、正当な理由がなければ不参加は失礼にあたりますわ」
くそー!! これだから貴族っていやなんだよ!
ダイエットしたくないよぉ。
「スタンリー様はお誘いくださらないのでしょうか」
夏に城のパーティーで出会った前髪の長い子爵家のスタンリーとは手紙をやり取りしてる。お茶会したのは2回だけだけど、仲は良いほうとは思う。このまま順調にいけば婚約できるかもって感じ。
なので、スタンリーが聖夜祭のデートとか誘ってくれる可能性はあるな。
「それならパーティー断ってもいいかな?」
「妥当な理由になるでしょう」
「……スタンリーさまに誘われるかもしれないから、食事を控えるのはしない。そのかわり、歩く!」
「かしこまりました」
真面目なダンドワさんが珍しくくすくす笑いながら許可してくれた。
明日から休みだし、庭とか近所を歩いてカロリー消費していこう。田舎だったら魔物を狩ったりして体を動かせたんだけどなぁ。
「ちなみになんだけど、わたしからスタンリーさまを誘うのは?」
「はしたないとされますわね」
ぐぅぅ。貴族って面倒くさいなー。
スタンリー、意外とシャイ野郎だから誘って来るかは五分五分だぞ。
花とか送ってアピールしてみようかな。
「明日、街へいきます」
「かしこまりました。では本日はお早めにお休みくださいませ」
マッサージを終えたダンドワさんが、おれの服を整えてくれてから一礼して退室。
聖夜祭まで一週間。
なんだか気忙しいけど、とりあえずは痩せるのを目標にしよう……なんて女子みたいなこと思いながら眠りについた。
連日深夜にすみません
ブクマと評価ありがとうございますやる気でます(^ν^)感想もくれると嬉しいです(^ν^)




