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すれ違う遭遇

翌日は急に気温が下がって秋の終わりを感じる天気だった。


メイドさんたちが防寒のためのローブを着せてくれたので寒くはない。ちなみにこれはお母様のおさがりのローブである。綺麗に着ていたようだしメンテナンスしてあるから中古にはみえない、はず。


馬車に乗ってポコポコと街に行く。

おつきはダンドワさんと、メイドのラデュレさんバルベロさんの三人だ。街は危険があるからって言うけど、対グラップベアのときの戦力だよ。城下街にいるかな?暴れ熊。


「お嬢様、本日の目的はスタンリー様への贈り物でよろしいので?」

「そう。いそいで贈れば、聖夜祭までに返礼かお誘いがくると思うの。花かお菓子がいいかな」

「かしこまりました」

「あとはお父様とお母様に新年の贈り物の用意もしたいなぁ。きれいな花を押し花にして手紙に添えようと思うんだけど……」

「それは素晴らしゅうございます。しっかりした花屋へ行きましょう」


ラデュレさんが小窓から御者に行き先を伝えてくれた。


街につくとすごく賑わっていた。

まえに刃丞たちと占いに来たときとは比べ物にならないほど、人も多いし道に出店もでてる。


「なんかあるのかな」

「調べてまいります」


バルベロさんがさっと人混みに消えすぐに戻ってきた。


「聖夜祭の準備のために集まってきているようです。この時期しかない店もあるそうです」


へぇー。この国でもほんとにクリスマスみたいな存在なんだな聖夜祭。去年までは地元で家族とすごしてたから、こんなイベントしらんかった。


「都会だなぁ……」

「さようですね。ですが危険も高まります、どうか我々から離れませんよう」

「はーい」


この時期しかない店って気になるよね!道端のテント張ってる露店はきっとそうだ。


人波にそいながらゆっくり歩く。

ガラス細工とか絵付きマグカップから、その場で焼いてるソーセージとか、もくもく白い煙だしてお菓子つくってる店もあった。

テントも屋根を光らせてたり木の人形飾ってたりして街全体がお祭りみたいになってる!


「たのしい……!」


ファンタジー感すごい! これ見たかったやつだよー!やっぱり王都に来てよかったなぁ。


そのなかでも目の前の露店で売ってる真っ赤な肉まん気になるよね。だって自然界にない色味だぞ?


「これ、買いたいです」


ダンドワさんに訴えると、ちょっと眉を潜めて赤いのを見る。


「お嬢様、屋敷に戻りましたらおやつのご用意がございます」

「おやつも食べます! でもいましか食べられないこれ気になります」


すまんダンドワさん、譲れんのや。お祭りでファンタジーで未知の食べ物なんていう魅力的なやつ見逃せん。


「……プッ。おやつは食べんのかよ」


蒸し器の向こうにいた店員が笑いながら蒸し器から赤まんをひとつとり葉っぱに包んだ。


「どうする? 買う?」


赤まん葉っぱを片手にニッと笑いかけてくる店員。

はぁはぁ……おくれ……その葉っぱのやつおくれ……!


「お嬢様、お顔が……。仕方ありませんね」

「まいどー!」


ダンドワさんが袖から数枚のコインを取り出して渡す。

赤まんが店員からダンドワさん、そしておれへと手渡された。


「ふぁああ……美味しそう……。ありがとうダンドワさん!店員さんも」


葉っぱに包まれたホカホカで柔らかい肉まん(仮)を持って歩きだそうとすると店員さんが声をかけてきた。


「食べねーの?」

「え? あ、ここで食べるのは……」

「アツアツのほうが美味いぜ!」


うぐぅ!わかる、わかるよ。いま食べたら絶対に美味しいんだわかってる!

だけどおれ、令嬢だから……。


「ごめんなさい、それだけは出来ませんの。ですが帰宅したら必ず美味しくいただきますわ!」


作った人にこんな事いうのは申し訳なさすぎる。


「……そんな顔すんなって。家帰ったらさ、蒸し器あんなら蒸してもらえよ」

「! はい!」


優しい店員さんだぜ!

よくみたら少年っていうかおれと同じ年か下ぐらいなのに、ちゃんとした人だ。


「お嬢様、そろそろ……」

「はい。店員さん、ありがとうございました!」


ダンドワさんに促され目的の花屋に向かうのに、店員さんに別れを告げた。



露店ではない老舗の花屋に来た。

ここも混んでるかなって思ってたけど意外と客は少ない。バルベロさんによると一般の市民はリーズナブルな出店で、高位の貴族は屋敷に呼ぶから空いてるらしい。


「どれがいいかなー」


とか選ぶふりしてるけど、正直花の良し悪しってわからん。センスもないし困ったぜ。


「ご関係とご予算がわかりましたら、私どもがお作りいたしますよ」


ふわふわした雰囲気の店員さんが声をかけてくれたので有り難く相談した。


相談してるうちにスタンリーには可愛いピンクの花を箱につめたのを。刃丞にも贈ろうと思いたって赤いバラを使って貰った。両親には“王都の花”であるスズランを一輪買い、あとは新年の飾り付けと挨拶用に数種類用意した。

スタンリー家にはすぐに配達してくれるんだって。今日中には届くらしいよ。


その後も街の散策をして夕暮れをすぎてから家に帰ることになった。

ひさしぶりの買い物たのしかったなー。

ブクマと評価、感動ありがとうございます(^ν^)うれしいです!

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