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魔力切れと秋の空

「レキサ王子と班を組めたわ」

「わたくし、精一杯ローズマリー様と王子をお守りいたしますわね!」

「ピネ様うらやましい。わたくしなんてあのヴェガ様と同じ班というのが不安でたまりませんもの」


おれは下品にならない程度の必死さでチキンを食べながら三人の話を聞いていた。唯一のAクラスであるプリュネちゃんも、こちらは食後なので優雅に紅茶を飲んで頷きながら聞いている。


「ヴェガ様とはあの食堂での……?」

「いいえ、ヴェガ様は魔法省長の御子息ですわ。例の方はレクティータ様、チャービル伯爵家の長女になったそうですわぁ」


プリュネちゃんがそっと教えてくれる。優しい。


「そうですわ。レクティータさんはわたくしと同じ班なのでそれも頭が痛いのですわ」


ハチクちゃんがふぅとため息をついた。

すかさず隣に座ってた刃丞がハチクちゃんの手を両手で包む。


「なにか困ったことがあってらおっしゃってね、かならず力になるわ」

「ローズマリー様……」


ウルウルしたハチクちゃんと慈愛の表情の刃丞。鼻をほじりたくなったが令嬢なのでガマンしてデザートのリンゴをむしゃむしゃしといた。

しかし、どうやら班分けは王子とヒロインちゃんは別になったみたいだな。良かったじゃんという目線を向けるとウインクしてきたヤメロ。まぁ前世みたいに親指立てるわけにはいかないのはわかるから仕方ないか。



そうこうして二日後。

おれたちはふつうの授業だけど、刃丞たちSクラスは課外授業に行った。

お昼はプリュネちゃんが「わたくしの家の子飼いの子と食べるけどカエノメルさんもいらっしゃる?」って誘ってくれたけどご遠慮させてもらった。同級生なのに子飼いってなんだか含みがあっておれにはこなせそうない。



レゴちゃんとごはんを食べ、午後は魔法実技の授業なので校庭へ集まった。


(ダンジョンついて落ち着いたくらいかなー)


なんか動きがあるかと思ったけどとても静かだ。

おれも授業に集中することができる。


「カルダモン嬢、水の練り方はとても良いわ。土のほうは苦手?」

「ううー……はい、そうです」


今日は四大魔力のうち二つを同時に発現、もしくは混ぜる訓練である。

とにかくイメージが大切なので右手から水、左手から土が吹き出すのを想像して、両手をまえに突き出してる。


「水はでるんです……」


右手からはヌルっとした水が螺旋を描いて出た。

触手ちゃんで慣れてるといえばそうなんだよな。ぬめりがある以外は思い通りだ。

対して土の魔力は、左手からサラサラと粉がまばらに出てるだけ。


「出力の差が気になるわね。土を意識してみなさい」

「はいっ!」


(土、土、土……)


「うぅー、ッヘイ!!」


コロコロ……。


左手から小石がまばらに出てきた。ついでに右手の水は止まった。


「うーん。少し休憩したら、水をやめて火・風で土と合わせてみて様子を見ましょう」

「はいぃ…ありがとうございます……」


先生が助言をくれて去っていく。他の生徒のこともみなきゃいけないからね。

魔力を消耗したおれは、校庭の端に用意されてる簡易休憩場に向かった。テントと飲み物の用意されたテーブル、ベンチがあるだけだが、これがすごく助かる。


魔力の消耗って内臓とか骨が溶けるみたいな感覚でとにかく疲れるんだよな。


「あぁらカルダモンさん、あなたもご休憩ですの? たいして成果もみえなかったですけど、貧弱なのですわねー!」


一足先に来てた高圧子爵家代表のラレールさんが、ベンチにもたれながらもいつもどおり絡んでくる。


「はぁ、情けないことデスワー」


すごく怠いので一応の返事だけして、おれも空いてるベンチに座るとすぐに給仕の人が冷たいお水をくれた。


「こんな初歩の訓練で疲れるなんで覇気が足りませんわね!」

「はぁ」

「目上の方ばかりに尻尾をふってるからだわ! 精進なさいっ!」

「はぁ」


おれより先に休憩してた人がなんか言ってる。

疲労で気遣いスキルが低下してたから生返事返してしまった。


それにしてもラレールさん自身、まだ顔色悪いのに大声出して平気なのか? 高圧キャラって大変だな。


「ふんっ! 生意気だこと!」


おれをキッと睨み、立ち上がって歩き出そうとしたが立ちくらみでも起こしたのか目をキツく閉じて止まった。


「大丈夫ですか?」

「だい、じょぅぶですわ! あ、あなたに心配されるほど落ちぶれていません、の……!?」


あー無理するから。

ラレールさんは振り向いてすぐに膝が折れた。顔面から転びそうだ。

周りにいた給仕さんも慌ててかけ寄ろうとしてるけど間に合わないな。


「っあ!」

「いでよ、触手ちゃん……」


ニュッ! ニュニュッ!!


無数のやや細めの触手ちゃんたちがラレールさんの体を受け止めた。プニプニな感触だからケガなんかしないだろう。


それを見届けて狭くなる視界でダンジョンのほうをみた。


(おれが行ったらやっぱ足手まといだったなー)


魔力切れでもう気を失いそうだよ。

まぁなんにしてもよく晴れた外出日和でよかったな……。


目が完全に閉じる直前、秋晴れの空に轟音とともに白金と黒銀の魔力の大柱がぶち上がった。


遅くなっちゃった

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