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作戦会議してみた

公爵家とくらべたら小さなサロンは密室性もあんまりないんだけど、刃丞ん家のメイドさんたちはちょうど声が聞こえないあたりにいてくれる。


うちの侍女さんもメイドちゃんたちも精一杯もてなそうとすごい良い茶葉で紅茶いれてくれたけど給仕するとき震えてて可哀想だったし、お母様にいたっては見たことないくらい青い顔して噛みそうで噛まなかった(安堵)という挨拶ぶりだった。


「急に来てしまったのに快く迎え入れてくださって感謝いたしますわ」


刃丞がお母様の手をぎゅっと握ってをナンパしようとしてたのには業の深さを感じたよね。あいつ前世でもおれのオカンにいい顔してたからな。


「んで、なんの用なんだ?」

「真剣に考えたの、先輩の言ってたゲームのこと」


おお、なんか真面目な顔してる。


「おかしいと思っていたのよ。顔良しスタイル良し、話題も男性に寄せられるこのわたくしに全くピンときてないあの王子」

「おまえ自分の容姿にそんなに自信が……」

「事実だわ。前世にこんな子いたら100年に一人の美少女どころか一億年に一人っていわれたレベルの仕上がりよ?」


すごい。一億年は言い過ぎだけどなんかすごい。


「おとといの舞踏会で確信したの。わたくし、王子にハマってない」

「お、おう」

「好感度あげるためにダンス中におっぱい押しつけたり足絡ませたりしてみたけど、まったくの無反応だったわ。納得がいなかったけど、あれはゲームの筋書きをたどってるのだとしたら」

「納得できたと。でもただ単に尻フェチだからって線もあるだろ?」

「それも開始前に好感度をあげないためのゲームの運命なのよ」


はぁー。まぁおれもゲームうんぬんはまだ半信半疑っていうか、俺自身が当事者じゃないから真剣に捉えてない部分がある。


「ゲームのエンディングはわかってるのよね?」

「ウィステリア先輩が書き出してくれてる。主人公のヒロインがどれを目指すかが重要だろうけど、“ローズマリー公爵令嬢”としてはレキサ王子ルートは潰しておきたいよな」

「そうね。理想はわたくしとヒロインちゃんとのエンディングだけど、あれは裏ルートなんでしょう?」

「周回プレイのおまけらしいね」

「だから、わたくし考えたの。ヒロインちゃんが王子ルートに入らない方法を」


刃丞がニヤリと令嬢らしくなく微笑む。

なんだろう、ろくなことを言わないのはわかるが。


「翔義、あなたの尻で王子を引き止めて」

「は?」


おいおいおいおい、何言ってんだこいつ。

呆気にとられてると刃丞が立ち上がっておれを引っ張りあげた。


「翔義の尻に磨きをかけて王子の関心を繋ぎ止めるのよ!」


ガッと両手で尻を掴まれる。


「自信を持ちなさい翔義、あなたの尻は千年に一度の美尻といわれるわ!」

「自信とは!?」

「安心して、そのために協力はいとわなくてよ」


フフンと得意げに宣言するが、わけわからなすぎてヤバイ。

とりあえず押しつけられた刃丞のおっぱいを揉んでおいた。



我が家に少しの混乱をもたらした舞踏会を終え、公爵令嬢の電撃訪問も済んだあと。


やっと両親の考えていたスケジュール通り、ツテのできた貴族たちとお茶会をして“通常の貴族の夏休み”を過ごせた。おれも婚約だなんだという事情を抜かせば気の合いそうなやつと知り合えて楽しかったな。

とくに片方の前髪が長い子爵家のスタンリーとは仲良くなれた。


そして今日はなんとレゴちゃんからふたりきりでのお茶会に招待されてるんだ!

おれの家より中央寄りで、意外にも無骨なデザインのお屋敷のお庭でティータイム。お庭だけはカラフルな出来栄えだ。


「本日はお誘いくださってありがとうございます。たくさんのお花が咲いて可愛らしいお庭ですわね」


正直な気持ちでお礼をいうと、レゴちゃんはもじもじして頬を染めた。

午後になって少し日差しがやわらぎ、ガゼボにも涼しい風がはいってきてる。


「うれしいですわ。じつは、ここのお庭はわたくしが管理してますの」

「まあ!どおりでレゴ様みたいに可愛いのですわね」

「カ、カエノメルさんったら……っ」


かああ!と真っ赤になったレゴちゃんをみておれも顔がめちゃくちゃ熱くなった。


(おおおおれ、いまナンパしてるやつみたいだった!)


なんてことだ! レゴちゃんちのスコーンが美味しくて気が緩んでた。これじゃあ軽薄なやつって思われてしまう!


「ほ、ほんとうですわ! わたくし、レゴ様のこと心から可愛らしい方だって思ってますから!」

「は、はい……」


かああああ。

なんかすごく恥ずかしい気持ちになったし、告白めいたけどおれって今は女の子だからな。へんな感じになってないよな、大丈夫だよな?


お互いに目が合うたびに、ふふ、って照れくさく笑っちゃうけど、友情が深まった感じがして胸があたたかくなった。

まわりのメイドさんたちに微笑ましく見つめられて、おれたちはお茶会をつづけたのだった。

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