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勇者絶対条件 一章 安価な命と再生 七話 「悪食と快楽と殺人 side enemy」

こんにちは、含水茶吹です。

今回は主人公である三滝君ですが全く出てきません。

出てもあらすじに名前だけです。

そんな今回ですが少し読みやすく作ったつもりなので最後まで読んでいただけるとありがたいばかりです。

  0


これは悪役の目線から見た話である。

 主人公は出ることはない。

 主人公不在の話。

 三滝兼政みたき かねまさという人間と小鳥遊華蓮たかなし かれんという再生者リプレイヤーの殺害を蘇者教そしゃきょうのトップから命令された後の暖加鮮芽はるか あざめの話だ。


  1



  2


 とある街の忘れ去られた廃工場にて。

 私、暖加鮮芽は、一枚の紙に書かれた情報を見て、最近食った、人間の顔を思い出し、敵と認知し、味を想像し、思わず、笑ってしまった。

 眼の前にはこの命令を運んできた、『用心棒』の二人。

  一人は季節に合わないアロハシャツを来たやせ型の見た目四十歳ほどのおっさんともいえる風貌をした男の再生者、ソロベルティ・アルシモフ。

 もう一人はどこにでもいそうな、コートを来た体格のいい、三十歳ほどの人間の男、冴中多陶嗜さえなかた とうし

 彼らはどちらも殺人鬼という経歴があり、ソロベルティに至っては一度逮捕され、死刑を受け執行されている。

 冴中多陶嗜については、現在は表立ってないだけで快楽殺人犯のクソ野郎だ。

 冴中多は彼が覚えてる人数でも住人は殺したといっているが、すこうなくともその三倍は殺しているだろう。

 どの道、私の眼の前にいる二人は目がイッてるなんてものでは表せないほど狂った奴らという事だ。

 かく言う私も再生者としてこの世界に再臨してからは、人や再生者やらを区別なく食い殺している。

 だが、それでも体に何も変化が起きないのは再生者の他人ならざる能力のおかげなのだろう。

 確か、愛すべき主教様は私の能力のことを『何でも食物として食う事のでき、それを体に反映させることが出来る能力』と表しいただいたのだが、確かに、と私は思う。

 人以外にも、アスファルト、鉄、プラスチックなどの無機物も食うことが出来るし、それを可能にできるほど強靭な歯も、それを消化出来る身体も持っている。

 何なら、毒物だって食う事もできる。

 さすがにダイナマイトを点火した状態で食って、腹の中で爆破させる灘漫画のようなことはしたことはないが、条件さえよければそれもできないこともないだろう。

 まぁ、それでも、私の中では人の味というのが一番ピンときた味なだけであり、人を食う事に対してはその程度の理由しかない。

 だが、私は主教のおっしゃた様にただ食う事が能の生き物ではない。

 私の能力は、厳密にいうと、『どんな物体でも書物とすることができ、その体に取り入れた物質の特性、または人間や再生者の場合はその容姿など、動植物の場合ならその性質を束もの一つに付き一回のみ、自身に反映することが出来る。そして、三日までなら、どんなに食おうがその性質などを記憶することが出来、三日を過ぎると古い順に記憶した性質などが消去される』というなんともややこしいシステムを持っている。

 例えるならば、人間一人、岩一つ、何かの植物一つをそのままの順で食べたとしよう。

 そして何らかの理由で岩の性質を使う。

 すると、もう一度岩を食べない限り、もう能力を使うことが出来なくなってしまう。

 そこから三日たつと、能力を使わずとも一番最初に食べた人間の記憶が消え植物しか使えなくなってしまう。

 そういった、ルールが課せられた能力なのだ。

 だが、私はその能力に感謝していた。

 『あんなこと』になればそうも思える。

 そう思って、にたりと、再び、笑った。

 そんな私を見て、ため息を吐く二人など気にもならなかった。

 そして、笑いが少しづつ大きくなり、仕舞には、

 「ひぃ…、ひひひひひひひぃっ、ひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃッハァッ、ははっはっはっはっは」

 と、笑い声が三人だけの廃工場に響きわたる。

 そんな笑いを妨害するかのように冴中多は私に話しかけてきた。

 「…、なぁ、鮮芽さんよぉ、ちょっと聞きたいことがあるんだが、いいか?」

 私は笑いを妨げられたことに不満を覚えたがそれを彼にぶつけるつもりもなく、少しむっすとした声を出してその発言を許すことにした。

 「…、いいけど」

 その言い方に彼も少し機嫌を損ねたのかと思ったようでほんの少し言い方をやわらげ、申し訳なさそうな声色で

 「…その命令通り、俺たちも、そのアレだ。目的ターゲットに築かれないように張り付きながら監視すればいいんだよなぁ…」

 と、さっきの命令の打ち合わせをしようと話を振って来た。

 私はソレに冷静に判断をしながら答えた。

 「私としてはそれでイイんだけど。ソロベルティ、あんたは何か、命令以外に動きたことでもある?」

 その問いにソロベルティは荒い息を吐いて答えた。

 「…、…それならば、オレと陶嗜ではなく、オレと鮮芽が監視に割ったほうが良いだろう。確かその資料には、もう一人再生者が同居してるんだろう、なら交戦時、圧倒的に不利になるのはオレたちだろうしな」

 それを聞き、そうかも、と簡単な思考を回し、

 「いいわ、それで行きましょう。私とソロベルティは目的の監視、その後、予定の時刻に襲撃。そして、冴中は襲撃時、周辺の通行人のみの排除。…これでいい?」

 と、切り出した。

 それに対し、各々頷く。

 そして、私以外に二人は背を向きえ、ごみが重なったばしょに腰かけるように座った。

 作戦は、今日の夜八時に行われる、それに、私の食欲が絶えれるか、少し不安になりながらも。その時を静かに待つことにした。


  3


 ある秀才と言われた少女がいた。

 彼女はすべてにおいて最高の数字を残し、一番にふさわしい存在となっていた。

 だが、彼女が高校生になり、一年が過ぎ、雪が降り冬となった頃。

 その才能を妬む人々が人の通りがないといっても過言ではない場所にある倉庫に彼女を呼び出し、そこに閉じ込め、そのまま放置した。

 閉じ込めた人々は彼女のことなどすぐ忘れ、普通の生活に戻っていったが。

 彼女は、閉じ込められたままだった。

 窓はなく、隙間から洩れる光が唯一の照明となり、腹を満たすため倉庫の隙間から這入って来た虫を食い、雪が振り壁に小さく空いた穴に手を突っ込みそこから泥だらけの雪を食って、喉を潤した。

 寒さを凌ぐために身体をあまり動かさないことを心掛け、部屋のつ雄心で固まるようにして座り込んでした。

 だが、そんなんじゃ人は生きられない。

 そのうち彼女は閉鎖された空間や環境に対するストレスで精神を壊し、知識もなく無差別に食べていた虫たちの毒素、それにくっわえ、汚水にも近い雪の摂取により、内臓は異常をきたし、脳は正常な行動を失い、仕舞には、コンクリートの床に歯をぶつけ、床を食べようとした。

 実際、コンクリートはほんの少しだが削れ、それを食べること自体には成功していたが、しかし、それは結果であり、大体は自分の削れかけた歯の破片を彼女は食べていた。

 そして、それから一か月後、彼女は息を引き取った。

 砂が体中にこびり付き、正常の判断を失った脳が最後に起こした行動なのだろうか、含なs度は着ておらず、その遺体は全裸だった。

 そして、初めに脱出しようと扉をひっかいたのだろうその遺体には爪がなく、扉にはちと爪の跡が残り、床には欠け落ちた彼女の歯と爪と血痕が見つかった。

 彼女の死因は、衰弱だった。

 だが、彼女が遺体となり、発見され他のはそこから半月も後で、その後の調べにより彼女の身元が判明された。

 その悲しき被害者の少女の名は、『暖加鮮芽』。


  4


  5


  6


  7


 そこから少し時間が経ち、私は再びあの二人を呼び出し、最後の作戦の確認を取り、そこを後にした。

 そして、今、午後七時五十八分。

 午後七時ちょうどから監視を始め、一時間。

 目的はまだ動いていない。

 報告のもあった通り、再生者の気配は二つ。

 相手も私達こっちの気配に気付いているのだろう。

 そして、私が最大に愛し、信頼を置く主教の命令を再び目を通した。

 そして、小さな声で、私は呟く。

 「…すべては私を見つけてくださった、主教様の為」

 それは私にその気持ちをくれる言葉だった。

 そして私は動いた。

 午後八時〇分。

 その時が来たから。

こんにちは、含水茶吹です。

そんなこんなで今回、主人公は出ていません。

今回の狙いは、悪役は悪役と言えるの?という疑問を投げかける気持ちで書かせていただきました。

それにして、評判が後から絶対悪くなりそうなことを当たり前のように書いているという事態が発生していますが、なんかあったらその時いろいろ改変して安全な方に差し替えます。

あと、今回、何もない章がありますがそれはこの『悪食と快楽と殺人』があと一話あり、それらすべてが合わさり、第七話が完成するという感じになるからです。

なのでそこは気にしないでください。

今回はこんな感じで、閉めたいと思います。

では、次回また会いましょう。

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