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勇者絶対条件 一章 安価な命と再生 七話 「悪食と快楽と殺人 side Pursuit」

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 これは守る側の視線だ。

 主人公は出ることはない。

 主人公不在の話。

 三滝兼政(みたき かねまさ)と小鳥遊華蓮(たかなし かれん)に迫る危機を予感し、動き出す、反田一(たんだ はじめ)の話である。


  1


 「やっぱりですか」

 『再生者による犯罪対策課』のオフィスにて、反田一は溜め息と共に、そう呟いた。

 そして、反田は同僚であり、『再生者(リプレイヤー)』である犬鳴訊覚(いぬなき とおぼえ)にこんなことを訊いた。

 「犬鳴さん、やっぱり、彼等(みたきくんとたかなしちゃん)の街に再生者はいるんですね?」

 それは、確認でもあり、これから練ろうとしている作戦の重要な疑問であった。

 「あぁ、厳密に言えば、その郊外だが。それでも、再生者は二人いることは確定している。なんだ、俺の能力に不満でもあるのか?」

 犬鳴は自らの能力での結果を反田に、しっかりと伝え、不服ではないかと尋ねた。

 「犬鳴さんの能力は、再生者の同族検知能力の範囲を無制限にし、任意の場所や区域に絞り込みそこから同族を探し出す能力ですものね。間違いはないだろうとは思いますが、一応と思いまして」

 犬鳴の質問に反田はそう答え、いつもの軽薄な笑顔に戻った。

 そしてそんな反田に犬鳴は肩を落として、一言。

 「お前はそんなんでよく仕事ができるよな」

 そして、二人は作戦を練ろうかと、気楽に声を掛け合いながら、武人と呼ばれた元殉職警官の犬鳴訊覚とピエロと呼ばれた天才の反田一は長机に向き合いながら、話し始めた。


  2



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  4


 時刻は六時。

 反田は三滝宅に向かうために車を走らせていた。

 五月と言っても、まだ春。

 こんな時間になれば、辺りは夜の闇に染まり始める。

 反田はその中、整備された道路をほかの車よりも少し早めに走らせていた。

 彼の隣には、犬鳴がいた。

 そして、犬鳴はふと、素朴な疑問を浮かべ、反田に訊いた。

 「なぁ、反田。これから向かう三滝君、だったかな。そいつに何か特別な思い入れがあるのか?」

 犬鳴の問いに反田はあきれたように笑いながら、こう言った。

 「はははは、やっぱり、そう見えますか。そうですね、三滝君いは思い入れというか、なんというか、説明しにくい感情が張るんですよ」

 その曖昧な返答に犬鳴は驚きながらさらに尋ねる。

 「お前にしては珍しいな、曖昧な返答とは。なんだ、君から見て、三滝君はどうなんだ?」

 それに少し反田は考えた後、口を開いた。

 「僕から見てですが、彼、三滝兼政君は少々異質です。初めて彼を目にして、真っ先に抱いた感情は狂気に似た正義感、でしょうか。簡単に言えば、行き過ぎたお人よしと言ったところなんでしょうけど。彼は少々、正義感、別の言葉でいいかえれば、優しさなのでしょうか、それがいきすぎている感じがあります。まるで『過去に誰かを死なせてしまった』かのような、そんな贖罪に似た強制感が彼の行動の元のはあるような、そんな気がしますね」

 その答えを聞き、犬鳴は静かに言った。

 「確かに、そりゃ、入れ込みたくなるわな。だからお前は、戦場には出したくないって言ってたのか」

 「えぇ」

 反田は短く答えた。

 

  5


 そこから、一時間半後、反田は兼政のいる町に到着し、車内で犬鳴が能力を使い、目的となる再生者を探し、反田は自前のノートパソコンに記録しておいた作戦の見直しを行っていた。

 犬鳴訊覚は能力を行使しながら、反田に話しかける。

 「そういえば、例の再生者に殺された南波双木(なんばそうき)のことなんだが、心臓だけでよく特定できたな」

 その言葉に反田は、確認作業が終わったのか、パタンとノートパソコンを閉じ、言う。

 「それは現場を視察してすぐ、現場付近の聞き込みや、住民の存在の有無、付近の通行人の情報、近隣住民の外出情報、それらを三人くらいで聞きまわったんですよ。そして、その最中、路上に付着していた血痕が再生者だったという事が判明されたと連絡がありましてね。その時、捜査中にもしやと南波さんの元に伺ってみたんですよ。まぁ、そこには誰もいないわけで、彼の職場、アルバイト先なんですけどね、そこにも連絡してみたんですけど、出勤日であるその日にまだ来ていないといっていたんです。なんでお風呂の排水溝の髪の毛をサンプルとして、また調べてもらったんです。そしたら…」

 「血痕と髪の毛のDNAが一致した、と」

 反田の言いたかったことを犬鳴は先読みした様に言った。それに反田は静かに頷き、続ける。

 「そうなれば、後は蘇者教を疑うしかほかありませんよね。再生者を殺っせるのはよっぽど人を殺し慣れた人間か、再生者だけしかいないんですから。そして、それを行うのは蘇者協だと相場が決まっています。なんで、いままで睨んでいた、あの例の少女、通称『暴食(イーター)』を捜査対象としてやることになったんですよ」

 「それで俺の力を借りたと」

 「そうなりますねぇ」

 反田は犬鳴の少し呆れたような物言いにどうともしようとせず、ただ飄々とした様子で短く答えた。

 そして、犬鳴は反田に尋ねる。

 「確か、『暴食』は四カ月前にこの町に突如現れた再生者だったか?」

 「えぇ、最初は人の首をかんでそこら辺を食っていくくらいだったんですが、徐々に食い荒らす量が増えていきました。まるでどこまで食べられるかをを調べるかのような細かい段階を踏みながらね」

 「それでその操作が盛んだったころ、反田、お前はそいつに会ったんだよな」

 「そうです。一カ月が過ぎたころ、巡回中に悲鳴が聞こえたもので向かったんです。そしたら、いたんですよ『暴食』が。彼女は、大体兼政君と同い年ぐらいの見た目でした。それでも、目には狂気が孕んでまして、僕は声をかけたんですよ。なんでそんなことをしている、ってね。そしたら、彼女はこう答えたんです、蘇者協の名に免じ貴様を見逃す、ってね。それで彼女が蘇者協だと判明したわけですよ」

 「…それにしても、同族が同族を手に掛ける所を見るのは、どういうものになっても堪えるな…」

 犬鳴は、反田の話を聞き、悲しそうにそう呟いた。

 そして、反田はそんな呟きに答える。

 「何時の、どの時代も、同族殺しはあるんですよ。共食いだったり、虐殺位だったり…。愚かな事ですよねぇ…」

 その声は、反田らしくない、重く、悲しい声色だった。

 そこ反田の言葉が終る以下終わらないかの瞬間、犬鳴は再生者の存在を感知し、即座に持っている街の地図を開き、息を飲む。

 その反応を反田は目の端で見ていたらしく、

 「居ましたか?」

 と、短く聞くと、犬鳴は反田に返すような短さで、答えた。

 「例の護衛対象(みたきくん)の住家付近だ」


 6


 車を即座に走らせ、二人は三滝の家にあと数百メートルで届くという距離で一人の男に足止めされた。

 どこにでもいそうな、コートを来た体格のいい、三十歳ほどの男。

 その男が、車の前二まるで当させまいと立ち塞がるように立っていた。

 反田は、車から出て、彼等のかをまじまじと見つめた。

 そして、彼に問いかけるように呟く。

 「やはり、三滝君狙いでしたか」

 元々、南波が殺されたと判明した時から何となく予想が出来ていたのだ。

 南波が殺害された理由はおそらく、人間に何かしら下手に出るような行動を取ったから、だろう。

 蘇者教は白豪主義の様な人物が集まって出来た宗教だ。

 いうなれば、彼等は再生者至上主義と言った思想を持つ過激派の集団であり、再生者を神、又はそれに近しい存在として崇める傾向を統一して持っている。

 各国、各地域ごとに蘇者教の支部を置き、蘇者教ではない再生者含め、すべての再生者が人間と対等、または再生者が人間に対し、下手な行動を起こさないか常に観察を行い、もし、そのような言動が見られたら、その役割に準じた蘇者教の一員が言動を起こした、再生者や人間を始末する。

 そんな、彼等(そしゃきょう)、いや、過激派集団にはそういったシステムが存在している。

 ならば簡単な話だ。

 我々(さいせいしゃによるはんざいたいさくか)の一員であり、再生者の窓口でもある人間の三滝に南波は相談であろうとも、救いを求めた。

 それが、蘇者教の人間の目に付き、対象になった。

 それだけだった。

 そんな予想が、この男の存在を見て、確固たる確信に形を変えた。

 反田に続けるように、車から降りた犬鳴は男を見て、反田に告げる。

 「アイツ、最近、後悔にした犯人(ほし)だ」

 それに反田は、短く、

 「解ってます」

 と、答えた。

 そして、反田と犬鳴は立ちふさがる男を見つめる。

 そして、その視線に返すように、男は口を開いた。

 「へぇー、いかにも強そうなあんちゃんが二人。分が悪いなぁ…」

 そういって、男は一歩前へ踏み出す。

 それを見て、反田は犬鳴に乃方へは向かず、ただ単調に男をにらむように見つめながら、

 「…犬鳴さん、再生者の速力なら、対象の近くまであっという間でしょう。ここで、彼は抑えときますから、先に行ってください」

 冷静に、だが、その言葉の奥には、恐ろしいほどの殺気がたぎった声色で言った。

 そして、その瞬間、犬鳴は住宅の外壁を異様な速度で『走った』。

 その光景を、男は眺めるようにして見て、通過するのを確認し反田に訊く様に、

 「あっちゃー、あれ、再生者だったかー。それにしても、壁を五メートルくらい垂直に走っていくなんてやっぱイカレてんなぁ」

 と、反田よりも軽薄そうな調子で言った。

 そして、犬鳴の姿が見えなくなったことを確認し、反田は跡子に向かって一歩、踏み出す。

 「答えていただけると嬉しんですが…。三滝兼政という名前に聞き覚えはありませんか?」

 反田は、男に向かって歩み寄りながら質問を投げかけた。

 そして、男はその質問に答える。

 「あぁ、お前、目標のお友達かぁ…。へぇー、仲良しさんかなぁ?」

 その声を、聞いた瞬間、反田の姿は男の視界から消え、姿が消えたと男が感じた瞬間、男の顎に強烈なアッパーがのめり込むように入った。

 男はその勢いに流されるように仰け反り、ふっ飛ばされる。

 そして、男がいた場所には、拳を、振りかざし立つ、反田の姿。

 男は、その光景を見て理解した。

 男が答えた瞬間、反田は男の懐に飛び込み、強烈なアッパーを打ち込んだことを。

 そのまま、男は仰け反り、ふっ飛ばされ、路上に倒れ込む。

 その様子を一瞥し反田は、宣言するように言う。

 「手荒な真似をして申し訳ありませんが、こっちはいろいろと急ぎ用なんで、基本もクソもないやり方で静かになってもらいますよ」

 と。

こんにちは、含水茶吹です。

今回も二話構成です。

相変わらずの超展開ですね…。

中二病発症して、つらつらと書いた黒歴史ノートのようなそんあやり方で藩士は進んでいますが、今回はどうだったでしょうか。

次回からやっと兼政君が戻ってきますが、次回の予定は時間がかなり戻り、七話の間、兼政君は何をして何をやっていたのかが主軸となります。

1-ALLの時にどうやってまとめようかと考えているところですが、これはこの小説を投稿し始めてから、ずっと、やりたかったこの同時系列の分岐シナリオの構成なので内心ウキウキしながら書いています。

次回こそは読みやすい物になれればと善処しながら描いていきたいと思います。

次回も読んでくれるといいなと、願いながら、次回へと書き始めたいと思います。

では、次回にまた会いましょう。

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