勇者絶対条件 二章 大切なモノのための盾 十七話「何処までも」
こんにちは、含水茶吹です。
今回は主人公のお話です。
最後まで読んでくれると嬉しいです。
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小鳥遊華蓮が攫われ、クナイは独断で彼女を探し始める。
クナイから連絡を受けた反田一は三滝兼政に連絡を入れた後、あらゆる方面で彼女の捜索を始めた。
この話は決して内側には入らない、三滝兼政の話だ。
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俺こと、三滝兼政は反田さんの連絡を受けて、学校を早退した。
どういう訳か、総体に教師たちは難色を示すわけでもなく、すんなりとそれを認めた。
おそらく反田さんがもともと学校に何か話をしたのだろう。
そんな予想を頭の片隅でして、すぐさま、『再生者による犯罪対策課』の本部へとタクシーを捕まえ、向かった。
本部に付き、オフィスの中に入ると、反田さんがそこに頭を抱えていた。
「反田さんどういうことですか?」
俺は驚きと怒りを言葉に乗せ、反田さんに問いかけた。
反田さんはその声で俺がここにいることに気付いたらしく、
「あぁ、三滝君、やっと来ましたか。これどうぞ」
と、ゆったりとした調子でつぶやき、椅子から立ち、俺に大きな箱を渡した。
「何ですか、これ」
俺はそう訊くと、
「開けてみてください」
反田さんはそう答えた。
俺はその箱を開け、入っていたそれを手にしていった。
「これって、何の端末ですか?」
手に取ったのは黒いプラスチックで出来たスマートフォンのような、トランシーバのような、どちらともいえ、どちらとも言えない、そんな物だった。
「それはですね、GPSで私たちの位置が分かる機能が付いたトランシーバーだと思ってください。ついでに、わからないと思ってはいますが、この端末の電波は特殊なもので、一般の機械での解析は不可、特殊な機材を使ったとしても少なくともい二十五時間は解析に時間を要するようなものです。もちろんその電波は組織内でも、僕や、その端末を持つものしか使っていませんから、多少、プライベートな内容の話でも問題はありません。万が一、盗聴されている場合、システムにエラーがない限り、通信自体が出来ない状態になるので、安心して下さい」
反田さんは、いつもの張り付けたような笑いを取り戻し、説明をした。
だが、俺にとってはそんなことはどうでもよかった。
「それとこの状況と何の関係があるんですか?」
俺はそう言う。
ただ、急かすように、今すぐにでも探しに動きたいのを抑え、言う。
それを反田さんは落ち着けと言わんばかりに掌を見せてこう言った。
「実験を兼ねていると先に行ってしまいますが、現在、部下合計八人の再生者にこの端末を持たせています。彼等から連絡が来れば私たちは迅速な行動が出来、私の連絡がなくとも、向かいに行けるはずです。そして、あなたが彼女を見つけた場合…、ちょっと、端末の横に付いている一番小さいボタンを三回連続して押してみてくれませんか?」
と、説明の途中にそう促され、端末の側面についた一番小さなボタンを三連続で押す。
すると、シャク、という軽い音とともに引き金のような取っ手が側面から出現し、上部から小さな突起が出てきた。
上部の突起には小さな穴が開いており、それを覗こうとした時、
「覗いちゃだめですよ、それ一応、銃に分類されるんで」
と、反田さん言われ、慌てて、それを下に向けた。
「その端末のその形態はカッコ良く行ってしまえば、ショットモード、普通に言えば、小型極小経口方式拳銃形態です。銃弾のリロードは特殊な機材を必要としますが、最大総点数は六十発。飛距離はおおよそ五十メートル、初速はいいところで秒速二百五十メートル。球が小さく軽いせいで、よく反れますし、空気抵抗にとてつもなく弱いので風向き次第で全く飛ばないときもあります。ですが気休め程度になるでしょう。ついでに言うと、画面に表示された数字は残弾。右下の資格枠内は味方の位置情報です。戻し方は四回、同じボタンを連続して押せば戻ります」
俺の素振りなど全く気にすることなく反田さんは説明をし、言われた通りに俺は四回ボタンを連続で押し、端末を元の状態に戻した。
それを見て、反田さんは言った。
「では、この端末の話を終えましたし、ちょっとお話ししましょうか。内容はあなたの知りたいことです」
そういって、彼は俺にノートパソコンの画面を見せた。
そこには、ここ数日の事件の事件とある写真があった。
俺は顔を画面を近付け、それを読み、見る。
そして、
「…もしかして、この写真…」
俺はその写真に驚きながら、困惑した。
その写真に写っていたのは、小さな少女が家と家の屋根の上を飛んでいて、その少女が罰の少女を小脇に抱えている、そんな写真だった。
だが、少女、抱えられている方の少女に見覚えがあった。
俺は画面上のその少女を指差し、
「この女の子って、もしかして…」
僕がそう言いかけると、反田さんは視界の端で頷き、
「恐らくは華蓮ちゃんでしょう。今日ネット上にアップロードされていたのをその日のうちに見つけられたっていうのが幸いですね」
『解像度が引くせいで完全には肯定は出来ませんけどね』と、反田さんはそう付け加えたが、その声色は確信している声だった。
そして、俺は訊いた。
「この情報、僕の携帯に流してくれませんか?」
その質問に対し、即答で、
「わかりました」
と、了承してもらった。
俺はスマホを取り出し、送信されたデータを見て、スマホをしまった。
その直後に、俺は反田さんに言う。
「今回の件について後でじっくりと話しましょう。とりあえず、僕は華蓮を探しに行きますから、サポートをお願いします」
そして、俺は反田さんが立ち上がると同時に本部を後にした。
2
反田さんの車で事件現場付近に移動して少しの事。
俺は反田さんから送ってもらった資料に目を通しながら、改めて反田さんからクナイさんから聞いたという当時の状況を聞いて、ある事が気になり、考えていた。
俺たちと生活し始めて、華蓮とクナイさんは電話がかかる直前に電話を取っているところをよく見ていた。
二人曰く、『感覚でわかる』という事だった。
もし、仮説としてだが、再生者の同族検知能力に反応するものが何かしらの電磁波、またはそれに類似した何か、だとしたら。
攫った犯人はそれを知っていて、クナイさんが連絡を取り、同族検知能力が鈍っているタイミングを狙っていたのだとすれば。
クナイが気づかなかった理由になる。
だが、それでも、華蓮の監視を一瞬でも緩めたことには変わりなく、クナイに否がある事は事実として残る。
正直、俺はクナイさんを許せない。
目を離してはいけないという仕事で、しらなかった可能性があるにせよ、鈍った状態で、能力に頼ったことは許容のできない事だった。
そして、そんな指導不足で片付いてしまう人材を寄越した反田さんたちも信用が持てなくなっている。
しかし、俺は今在るすべてを信用しなくなっては、今後がどうなっても逃れることはできないだろう。
信じることも、疑う事もできない。
そんなジレンマが、俺を襲っていた。
「…どうすればいいんだ」
そう呟くばかりで、イライラとこみ上げる焦燥感に貧乏ゆすりが激しくなるばかりだった。
3
事が起こった公園で俺は車から降り、あたりを見回した。
華蓮のいた砂場。
クナイのいたベンチ。
その他遊具や、地形。
あらゆるものを素人ながらも分析し、思考の中で手口を検証模索する。
知識の限り、あらゆる手段を検証する。
普通の人間ではなく、再生者の可能性も当然含める。
華蓮、クナイさん、犬鳴さん、暖加鮮芽、南波双木、まだ五人にしかあっていないが、それでも彼らがそれだけ飛んでいる存在なのかよく知っているつもりだった。
だから、思考実験を繰り返す。
平凡の人間が専門の知識がはびこる世界に裸で飛び込むような、そんな行為だとしても、無駄にならないはずだと信じているから。
でも、やっぱりだった。
何度も思考した結果に表れた答えは、『解なし』だった。
だが、苦し紛れの答えならば、一つ浮かんだ。
「…もしかしたら、子供の再生者がやった…?」
そして、俺は反田さんに訊いた。
「俺に送った事件で本当に、抵抗した痕跡はないんですよね」
「えぇ、そうです。まるで、犯人が同年代の子供かのように、抵抗した後がないんですよ。あるのは睡眠薬の使用の痕跡だけ、ですね」
反田さんはそう言った。
4
ここ一カ月で二十八件もの誘拐事件が起こっている。
被害者は十歳前後の女児。
全て睡眠薬を使った犯行で、彼女たちは犯人の記憶はない。
性的な行為の痕跡も、なにかをされた痕跡もない。
彼女たちは発見されるのはいつも、公園だった。
別に決まった場所はなくただ公園という場所のどこかに寝かされているのを発見される。
そして、全員、口を合わせて、『女の子は?』と発見され、目を覚ました時に言う。
別に犯人を知っているわけでも見ているわけでもなく、何をされているのかわかっているわけでもない。
どうやら、犯行は睡眠薬を飲まされ寝ている間に行われているらしい。
そして、彼女たちの言う『女の子』が事件に関連しているらしい。
それが、反田さんから貰った事件の特徴的な共通点であり、俺がまとめた見解だ。
5
俺は、この事件と今まで起きた誘拐事件と反田さんの言葉を重ね、思う。
『女の子』の正体は再生者なのではないかと。
ならば、その『女の子』の再生者はなぜこのことに及んだのか。
そんな謎が、俺の頭の中を回った。
そして、僕は呟く。
「…何処までも、不幸は続くわけがないなら…」
そして、口を閉じ念じるように心で続きを叫ぶ。
俺がどうにかしなきゃいけないんだ、と。
こんにちは、含水茶吹です。
今回は主人公のお話でした。
二章ではあんまり出番のない兼政君なので、少し、心情描写を頑張ったりしています。
ついでに伏線も入れたんですが、それは少し後のお話でしていくので、今回の内容をざっくりとでも憶えていた方が少し面白いかもしれません。
久々の投稿という事で、色々と少し上達しているかなとは思うのですが、いかがだったでしょうか。
僕としての感想は、主人公、何気に聖人すぎやしねーかと言った感じです。
作者がなにを言っているのやらとおもえばその程度なのですが。
次回は少し過激な発言がある気がします。
実際、ざっくりとした話の下書きではとんでもない爆弾を内包した言葉のバルカン半島状態なので、ちょっとどうなるのか、楽しみであり、不安でもあります。
ここからは十五話、十六話前後編の説明というかなんというかのことになります。
十五話『人攫い』について。
この回は微妙にあやうい言葉が出ていますが、正直、人間の狂気という物を出したかったので、言及はなしでお願いしたいところです。
それはさておき、十五話は浮雲ちゃんのざっくりとした解説です。
正直、この回の直接的な後半に当たるお話は次回でやるので、細かいことが言えないのは残念です。
なので、この回の解説は申し訳ありませんが、ここまでとなります。
十六話『後悔』(前後編)について。
この回はただ長いので前後編にしただけなので、分けた意味は特にありません。
この回での過去について語られるすべては、ある意味の真実であり、まだ詳しくはわかっていない再生者への闇を書いてみました。
またコイツ人を殺したよ、と誰かに言われている気もしますが、すみません、僕の知識や見識不足でこのようなことになっておりますのでお許しください。
再生者という物の扱いと再生者という人種の扱い、この二つに焦点をあてて書いた、この二章の問いかけの話しでもあります。
正直言って、過去のこの話をどこにいれようかと迷っていたので、今回の二章にぶち込むかというノリが見え隠れしていますが、実際、この話だけが出来あがったままで、データの中を放浪させているのも可哀そうなのでその場のアイディアで挿入したのをご了承下さい。
こんな感じで、二章はまだまだ続くので、二章の終わりまで付き合ってくれると嬉しいです。
では、また次回お会いいたしましょう。




