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勇者絶対条件 二章 大切なモノのための盾 十四話「見えるものと見えないもの」

こんにちは、含水茶吹です。

二章が始まりました。

多分カオスですけどできるだけわかりやすく書いたので生温い目で最後まで読んでくれると嬉しいです。

  0


 どこにでもいる人間である三滝兼政(みたき かねまさ)は特殊な存在である『再生者(リプレイヤー)』の少女、小鳥遊華蓮(たかなし かれん)とひょんなことから出会い、ある事件に巻き込まれ、反田一(たんだ はじめ)という人間と、クナイという再生者、そして、『再生者リプレイヤーによる犯罪対策課』との邂逅、加入を果たした。

 そして、兼政は初めて、敵である蘇者教(そしゃきょう)と言われる宗教の一員と交戦。

 初めての再生者の死を目の当たりにした。


  1


 あの事件から結構な時間は流れた。

 七月に入り、季節は夏へと変わっていた。

 俺こと、三滝兼政は放課後、学校の帰りにいつもよるところが出来た。

 『再生者(リプレイヤー)による犯罪対策課』の本部だ。

 まぁ、立ち寄るといっても、反田さんが迎えに来てくれているので、半ば連行と言った感じなのだが。

 それは別の話というやつなのだろう。

 とにかく、俺は帰りのついでに再生者による犯罪対策課本部によっているのだ。

 その理由は至極単純だ。

 あの事件の時に俺が戦いたいと願ったからだ。

 別に戦闘狂だったり、流血趣味なわけでも、サディストなわけでもなければ、マゾヒストなわけでもない。

 俺が戦場に出れば、その時、一瞬一瞬で救えるはずのものを救えるはずなのだ、そう思ったからだった。

 でも、そのためには、基本的な知識も、最低、身を守るための技量も筋力すらもない。

 だから、それらを鍛え養うため、そして、仲間の顔を覚える為に俺は毎日、逃げることなく本部に足を運んでいる。

 反田さん曰く、いつ逃げるかわからないから毎日連行という形をとっている、とのことで迎えの車が校門に待ち伏せているのだとか。

 俺は別に逃げる気もなければ、やめる気もない。

 しかし、辛くないと言えばかなり嘘を吐いたことになる。

 今もそうだ。

 時刻は午後七時時二十四分。

 再生者による犯罪対策課本部、トレーニングルームにて。

 俺は反田さんの指導の下、ランニングマシーンに励んでいた。

 現在、休憩を挟みながらも四時間は走り続けている。

 どうも、俺にはそもそもの体力が欠如しているらしく、そこからまずつけろという事で、こういうことになっているのだが―――、

 「…はッ、…ッ、…はぁはぁ、っはぁ…」

 と、俺は息絶え絶えに足を動かしていた。

 さすがに休憩込みで四時間と言えど、そんなのは些細なインターバル程度なものだった。

 そのお陰か、完全に俺の限界が近付いていた。

 「んじゃ、もうやめて下さい。休憩です」

 そんな俺を見て、反田さんが呆れたように言った。

 俺は、少しづつスピードを落とし、止まると同時にその場に倒れ込んだ。

 言葉どころか声も出ないほどにつかれている自分の不甲斐無さに嫌気がさすも、運動と言えば、学校の体育くらいでしかまともに動かなかったなと、理屈を立てて逃げてしまっていた。

 そして、そんな自分に怒りを通り越し、嫌気すらも覚え始めてしまった。

 「…はぁ、…はぁ、くそっ…、…ッ」

 口からそんな言葉が漏れ出す。

 こんなんじゃ、逃げてしまっては、このレベルで倒れて休んでいては、何も守れないどころか、何もできない。

 ただの案山子だ。

 いる意味だけしかない、そんなモノには成りたくはないのに。

 あれから、三カ月近くが過ぎて、多少は走れるようにはなった。

 だが、あくまで多少であり、元々がアホみたいに低かった。

 零が一になったくらいで喜んでいられない。

 上を見ればどこまでも続くような、そんな状態でも、やらなければいけない。

 それなのに、体が限界だと言い始める。

 体が心に追いつかない。

 本当に情けなく思う。

 「まぁ、進歩しているはしているんですから、自分を責めるべきではないですよ」

 反田さんは、俺のすぐそこにまで来ていたらしく、そんな言葉を投げかけてくれた。

だが、今の俺にはそんな言葉は響かなかった。

 あの死を目の当たりにし、自分がいかにも守られるべき存在なのかというのを思い知らされたあの時。

 俺は悔しいなんかでは済まないほどの後悔を抱いた。

 だから、誰かを守る位には、せめて、並んでいる人達には遅れをとらないくらいには強くならなければならない。

 俺は、更に自分への後悔が増え、其れが自分への憎しみになり、体に熱が湧き上がる。

 そして、その沸き上がる勢いのまま、ゆっくりと限界のはずの体を起こし、立ち上がる。

 倒れないように慎重に足を動かし、別のトレーニング器具へと向かう。

 だが、その動きを肩にポンとおかれた反田さんの手に阻まれ、止まる。

 「まだ、俺はやれま、ます」

 息がやっと整い始め、まともに声が出せるようになって、俺は呟くような声で反田さんに訴える。

 反田さんは肩に載せた手に力を入れて、言った。

 「強くなる、というのをはき違えてはいけませんよ」

 その言葉には、いつも軽薄そうな彼の雰囲気からは考えられない重たい力があった。

 俺は器具へ向かう事を諦め、ゆっくりと休憩のできる広場のような場所へと向かった。


  2


 「三滝君、走るという単純馬鹿なトレーニングを減らして、筋力トレーニングと戦闘の基礎をそろそろ取り入れようと思います」

 反田さんは休憩し、さっきよりより大分、落ち着いた俺にそう言った。

 俺は驚きはしたものの、ある意味、第一目標でもある戦闘の基礎訓練は嬉しさを覚えさせるものになっていた。

 これで、少しは誰かのたまにできることが増えるのではないか、俺はその一心で他反田さんに聞く。

 「俺は強くなれるんですか。いや、努力しないわけではないですど…」

 それに反田さんは笑いながら答えた。

 「はは、三滝君は思ったよりしぶとくやってくれますからね、期待はできると思いますよ。ですが、一つだけ」

 「はい?」

 反田さんはじゅうようなことだと、目線で伝えながらこう続けた。

 「戦闘の基礎訓練はあくまで武力というものの非道さを伝える為であって力をつけることではないと覚えていてください」

 俺は反田さんの言ったことがあまり理解はできなかったが、その意味はなんとなく知ることができた。

 知りえたとしては理解ができない、そんなもやもやした感覚が心を覆った。

 だが、今この瞬間い考え込んでは意味がないのだと考え、俺は、家に帰ってからそれに考えるいことにした。


  3


 「ただいま」

 あれから少し経ち十時半頃、俺はやっと帰宅することができた。

 やはり十時半となると、華蓮はもう寝ているのだろう、そう思っていると、

 「カネマサ、おかえり」

 そんな言葉と共に、華蓮が玄関にいた俺を向かい入れてくれた。

 「ただいま。それにしても、眠くないのか?」

 「ううん、だいじょぶ」

 華蓮は俺の素朴な疑問い少し眠たそうな目で答えた。

 「そっか…。でも、もう夜更かしし過ぎるとダメだから寝ような」

 「うん」

 俺は彼女の目線居合わせる為にしゃがみ込み、華蓮にそういい書かせると素直に彼女は頷いた。

 「おかえりなさい、三滝君帰っていたんですか」

 そうしていると、リビングからクナイさんが出てきた。

 俺はクナイさんに、

 「すみません、華蓮を寝かせてやってくれませんか?クナイさんにちょっと聞きたいこともあるんで」

 と、俺は出来るだけ直接的な表現を避けて、クナイさんに頼んだ。

 クナイさんは、

 「わかりました。夕飯は寝かしつけてからになってしまいますがいいですか?」

 「大丈夫ですよ、なんか申し訳ありません」

 そう返したので、俺は再び謝りながら返答した。

 「わかりました」

 クナイさんはそう短く返すと、華蓮を抱き上げた。

 華蓮はそうされたのにも関わらず、ぼうっとし、口から「おぉ?」とその動作にちょっと驚きを見せるだけだった。

 それほど眠かったのだろうのだろう。

 完全に抱かれたときには寝息らしき音が聞こえ、クナイさんが去るときに見えた彼女は完全い寝てしまっており。俺は苦笑いでその姿を見ることしかできなかった。


  4


 また少し時間が経ち、風呂から上がった俺は、ソファに腰かけ、コップに入れたお茶を飲みながら、反田さんに言われたあの言葉を思い出していた。

 『戦闘の基礎訓練はあくまで武力というものの非道さを伝える為であって力をつけることではないと覚えていてください』

 この言葉の意味は多分、タダ武力を行使するだけじゃダメなんだ、という事なのだろう。

 だがどの道武力を持つという事は力をつけるという事であり、俺は守るために力を付けたいのだ。

 ここで力をつけるための訓練なのに、力をつけるものではないと言われたことの矛盾が生じる。

 だから、この矛盾を解く手助けをして欲しいがためにさっきクナイさんに話があるといったのだが、この質問にクナイさんは多少なりとも答えてくれるか不安だった。

そう思っていると、

 「すみません、遅くなって」

 クナイさんがリビングに入ってきた。

 「大丈夫です。で、その話、なんですけど…」

 俺はクナイさんが対面上にあるソファに座ってから、反田さんに言われたこと、その言葉についての俺の疑問、その二つをクナイさんイ話した。

 クナイさんは話を聞き終え、一言。

 「私からも自分で考えろ、としか言いようがありませんね」

 俺は小さく「そうですか」、とつぶやくとクナイさんは続けるように言う。

 「ただし、ヒントなら上げてもいいと思うんで、教えましょう」

 俺はその言葉に無言でうなずくとクナイさんはさらに続けた。

 「反田さんも、私もですが、助けることが出来る者のために力をつけたのであって、他人を傷つけるために力を付けたわけではありません。私も似たようなことを言われてその言葉の意味に気付くまで、大分掛かりました。それに、もう結構前になりますが、私も三滝君と同じように基礎トレーニングやら、戦闘訓練やらを受けていましたから」

 そういうと、クナイさんは立ち上がりキッチンへ向かった。

 そして、俺は一人クナイさんの繰れたヒントを踏まえ、反田さんのことについて考えることにした。

こんにちは、含水茶吹です。

とうとう始まってしまった第二章です。

一章は始まりと現実の一部を見せられるマイナス方面のお話だとすれば、今回の二章は自分の立つ意味を見つけるプラス方面のお話となっています。

次回から新キャラクターが出てきます。

ネタバレとして言うと、この章以降からまぁまぁ出てくるサブキャラクターです。

正直言って、まだまだすぎて、一章を改めて見直すと自分でも吐き気がするほどひどいものだなぁと思いますが、日々読みやすく、わかりやすくをモットーに精進しているつもりなので、一章から読んでくださっている方、そして、この章から読み始めた方も、どうぞ、よろしくお願いします。

ではまた次回。

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