表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/34

《万物名工(マテリアルクラフト)》〜俺、ホームレスになります〜


「こ…………れ………は…………!?」



「グルァアアアアアァァァァァ!?グオオオオオオオオオン!」



ファント・ガーフィールドの前に現れた巨大トラバサミは、見事に泥土王竜(スワンプドラゴン・ロード)の強固な泥の鎧を破壊し、その牙を竜の表皮に食い込ませていた。

泥土王竜は痛みに悶え、トラバサミから脱出しようと自身を周回する水の鞭に命令を飛ばそうとする。

だが、ーーーーーーーーーーー





「……な………何が起きているんだ…………!?」


「………水の鞭が溶けていくぞ!?」


「み……水の鞭だけじゃない!泥の鎧もだ!!」





「アオオオオオオオオン!?グルオオオオオオオオッ!!」




兵士達が口々に発した通り、『ばしゃっ、ばしゃばしゃ』と音を立てながら泥土王竜の作り出していた水の鞭も、強固にその身を守っていた泥の鎧も、その力を失ったかのように崩壊し地面に撒き散らされていく。



ーーーーーー今ならば、届く!

そう感づいたファント・ガーフィールドは槍に最後の力を込め、勢いよく踏み込んだ。



「終わりだッ!《三重異能(トライデントスキル)》ッ!!!」



そう叫び放ったファント・ガーフィールドの三又槍は、アシストスキル《剣豪領域(ソードテリトリー)》、アタックスキル《天空王之加護(スカイジアアーツ)》、ディフェンススキル《封魔監獄(プリズンエナジー)》の力を帯びながら、泥土王竜の胸を貫き心の臓腑を抉り取った。ーーーーーーーーーー





ーーーーーーーーーー◯ーーーーーーーーーー



「……………この兵器は一体………?」


ーーーーーーーーー 完全に沈黙した泥土王竜のそばに、魔術師からの回復魔法を受けたファント・ガーフィールドは立っていた。

彼は泥土王竜を噛み込んだままのその巨大トラバサミをそっと撫でる。



「(………この兵器に捕らえられた瞬間、ドラゴンの魔力が著しく低下したのを感じた………この兵器によるものなのか…………?そもそも兵器なのかこれは………?)」



ファント・ガーフィールドがそう思考を重ねていると、兵士の一人が「部隊長殿、魔術師達が部隊長殿に見せたいものがあると………」と声を掛けてきた。

ファント・ガーフィールドは伝令の兵士に会釈すると、巨大トラバサミの前で話し合う魔術師隊の元へと歩み寄る。




「何か分かったか?」



「分かったってもんじゃないですよ部隊長殿!こんな物が大森林のど真ん中に埋まってるなんて、私は我が目を疑わざるを得ません!!」



魔術師の一人は興奮したように鼻息を荒くしてファント・ガーフィールドに応える。

ファント・ガーフィールドは少し引きつつも、魔術師が続けて語り出した説明に耳を傾けた。




ーーーーーーー結果から言うと、この兵器にはとんでもない魔術的機構が組み込まれていたことが分かった。


トラバサミの刃の部分には魔術の刻印が施されており、その一つ一つが国家大魔法級の魔性封印術式・魔力吸収魔法陣・耐性無効化術式・命中確率変動呪詛式を最適・最小化させたものだという事。


トラバサミの根元部分には、それらを発動させる為に使用する魔力を外界から掻き集めるこれまた国家規模の大魔収束術式が組み込まれていたという事。


そしてそれらの魔術式はそれぞれ、数百層から数千層の多重情報封鎖魔法陣によって保護されていたという事。ーーーーー



魔法については人並みより少し自信がある程度だと自負しているファント・ガーフィールドでも、その冗談のような話は理解できた。

明らかな迄のオーバーテクノロジー、人間が未だ到達し得ない未踏の領域。


「(まさか……………これを『彼』が……………!? ………………一人で!?)」



と、ここで漸く記憶の隅に追いやっていた吾妻秀悟のことを思い出せたファント・ガーフィールドは、攻撃の余波でボロボロになった小屋に鋭い視線を飛ばす。

だが、それと同時に小屋から複数の兵士が現れ、目が合ったファント・ガーフィールドに報告する。




「小屋の内部に地下通路の入り口と思われる扉を発見!もぬけの殻です!!」




ファント・ガーフィールドは、青ざめたーーーーーーーー










ーーーーーーーーーー◯ーーーーーーーーーー




ーーーーーーーーー吾妻秀悟は森を抜けた辺りでうーんっと体を伸ばしていた。

異界読本(ワールドマニュアル)》が、『余り長時間の閉鎖空間内の移動は推奨しません。』と言ってきたからだ。

なんだかんだで自分の味方なんだと思えてきた吾妻秀悟はその言葉に素直に従い、森を抜けた辺りで出口を作って地上に顔を出した。

外はもう日が暮れようとしていたが、少し遠くにスカイジオ王国の宿場町と思われる灯りが見える。

この世界に来て初めての人の手の灯りに、吾妻秀悟は胸を高鳴らせた。



「アレが………スカイジア王国………!」


『はい、現在視界に捉えている灯りは、西方最大級の宿場町と呼ばれているスカイジア王国領の宿場町です。』




《異界読本》は、吾妻秀悟の問いかけとも呼べない独り言に律儀に返してくる。

もうそのやり取りにもだいぶ慣れてきていた吾妻秀悟であったが、次の一言で今まで考えようとすらしていなかった、ある『問題』が露呈した。



『宿場町の宿の平均料金は素泊まりで約30銅貨です。』



「えっ」




ーーーーーーーーーーーーーー吾妻秀悟には、金が無かった。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ