1.出会い
今日は木曜日で学校があるが、少年、西園寺覚醒は「学校休む」と母親に言い伝えてVRゲーム(Zombie)にのめり込んだ。
覚醒は机の引出しに保管してあったVRゲームをする為の機械を頭部に装着し、視界に映し出された画面からplayをタッチする。
覚醒は世界ランク一位なので、最難関ステージを選択した。
因みにアカウントを開設したのは小五辺り、世界ランク一位に君臨したのは中三の夏だ。
現在は高一であり実質、歴代一位の中の史上最年少であることから、十年前から始めている二位や三位の大人からライバル心を持たれている。
ゲームに視点を戻すと、ゲームはスタートしていて覚醒がVR空間に浮上するピストルを握ると、ビルの奥からゾンビが四、五十人飛び出してきて覚醒を襲った。
「ヴゥヴェエエ」
「ヴガアアアアア」
しかしそんな数多のゾンビを恐れずに、覚醒はピストルを駆使して至近距離まで迫ったゾンビの胸や頭を撃つ。
「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14」
まるで号令でもかけているかのように殺したゾンビの数を言う。
次々とゾンビは吐血しながら死んでいき、巨漢のゾンビは肉片を撒き散らして死んでしまった。
すると、カメラワークの反対側の民家から女ゾンビが押し寄せた。
覚醒は瞬時にカメラワークをゾンビの死骸が転がっている方から民家に移動した。
今度は、集中攻撃ではなく一人づつ無駄な動作があるので、標的を決めるのは止めて極細にピストルの射程を動かして女ゾンビの胸を狙い撃った。
「ァアアアア!」
「アアァァアア!!」
その試行錯誤ですぐに全員射殺でき、ステージクリアした。
――最短ではないが、まあこんなもんか…
覚醒はそう思い、別窓からWebサイトを開き世界ランクを見ると、漆黒の画面が映し出された。
勲章が目印の一位はやはり覚醒で、昨今の功績でまたかなり二位との差を開けていた。
刹那、カレーの匂いが一階のキッチンから二階の覚醒の部屋まで漂い、覚醒は感情が揺らぎながらもゲームを続けた。
次のステージは他のユーザーと協力するようだ。
最難関ステージに着いてこれている奴、という事で気合いが入り、莫大なコインを使い武器のアップグレードをした。
今から一緒にプレイするユーザーの情報が画面に表示されており、ユーザーネームはtanakamilkyでキャラクターが赤髪ロングヘアー、大きい赤目と真っ黒のゴスロリ服が特徴の美少女だ。
ユーザーネームから察するに、日本鯖だろう。
すると何秒かカウントされた後、tanakamilkyという美少女と同時にバックグラウンドが出現した。
tanakamilkyは、全身を覆う赤髪を揺らしながら覚醒に近よりチャットを流した。
「初めまして!一緒に頑張ろうね!」
目の前に眼を煌めかせた艶やかな赤髪の美少女が迫り、先ほどの緊迫感とは異なる汗が覚醒の額から垂れた。