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月桂樹の唄  作者: 松山 京平
追憶編
8/73

7頁 十月の烏合


「や、やぁ宮川、ちょっといいかな?」

「お、おぅ」


 俺が誰かを探すよりも先に声をかけてきたのは体育祭でも一緒だった、元・赤モヒカンの平沢だった。丸坊主だった平沢の髪も十月にもなるとサッカーのピッチの芝生のように生い茂ってきた。元・元キノコカットだった頃の平沢を(なつ)かしく思う。

 ちなみに今の平沢の頭は、なんかキノコのチョコビスケット菓子のキノコのとこだけを舐め溶かした感じだ。


「宮川、修学旅行のグループ決まってなかったら僕と一緒にどうかな?」


 意外と積極的だな。たけのこでも食べで食中毒でも起こしたのか?


「いいけどさ平沢、他には誰か決まってる?」

「ううん、まだだよ」

「そっか。じゃああと1人、誰か適当に声かけて見るか」

「うん、お願いしていいかな?」

「おいおい、そこ人任せにしちゃダメだろ。平沢、お前も来い」


 まさか平沢から声をかけられるのは意外だった。体育祭の後も平沢とはほとんどしゃべった事ないんだよな。だっていつも本ばかり読んでるガリ勉だし。

 まぁそれは別にいいんだけどさ。俺は生倉(なまくら)登呂杉(とろすぎ)みたいな問題児じゃなければグループメンバーなんて誰でもいいと思ってるし。



………

……



 こんちくしょう!!!

 俺とよく話しをするやつらはとっくにグループが決まっていて全滅だった。


「駄目だ。完全に出遅れた」

「そうだね……」


 話を聞くと大半の連中は佑馬(ゆうま)と同様、事前に誰と組むか示し合わせていたようだった。

 ちくしょう、まったく汚い奴らだ。どいつもこいつも裏で談合しやがって!

 とりあえず家に帰ったら、旅行中にあいつらのスマホを蒟蒻(こんにゃく)にすり替えておく計画でも立てるとしよう。


「仕方がない。他にグループが決まって無さそうなやつでも拾うか……ん?」


 ざわめく教室の隅で、独り黙々と勉強をしている原田に目がいった。


「……原田。あいつは決まったのかな?」

「げぇっ!? 原田を誘うの!? 死ぬよ!? 殺されちゃうよ!?」

「大丈夫だって、別に悪いヤツじゃないし。……たぶん」


 教室内が修学旅行の話題でわいわいと(にぎ)わう中、(ひと)り場違いに勉強している原田。

 勉強している原田の姿は、先日生倉と登呂杉を奈落の底へ突き落したあの原田とはまるで別人のような雰囲気で、一見するとごく普通の真面目な受験生に見えた。

 だけど、『勉強の邪魔をしたら殴り殺すぞ!』とでも言わんばかりの強烈なオーラが、遠くからでもビリビリと感じる。

 この強烈な原田のオーラをクラスメイトがまともに浴びてしまうと、精神的に恐慌(きょうこう)状態に(おちい)り、たちまち心臓発作を引き起こすような気がする。

 もしも原田に(まと)わりつく異様な重圧が実際にそのような発作を引き起こすのであれば、原田の前の席の平沢はもはや末期症状だろう。精神科医も「残念ですがもう手の施しようがありません……」と(さじ)を投げるに違いない。


 ああ平沢……。

 いいヤツたったかどうかも知らないけど、可哀想にもう手遅れだったとはな……。

 あとで線香の1本でも()いてやろう。


 とはいえ、実際原田を中心とした正円数メートルの範囲には、結界でも張り巡らされたかのように誰もいない。そんなビリビリした原田の巨大なパーソナルスペースに、俺はためらいも無く飛び込んで気軽に声をかける。


「原田、今ちょっといい?」

「何だ?」


 俺がそっと声をかけると、原田は面倒くさそうに返事をしてジロリと俺を見つめた。

 おお怖い。(たか)のような鋭い目つき。


「修学旅行のグループなんだけどさ、よかったら一緒にどうかな? メンバーは俺と平沢で、女子の方はまだ決まってないけど……」

「ああ、よろしく頼む。全部任せるわ」


 原田は修学旅行にあまり興味が無さそうな態度でそう言うと、再び取りつかれたように勉強を始めた。手元には使い込まれた英語の参考書に単語帳と辞書。


 英語か……。受験ヤバいのかな?


 成績の悪い馬鹿がカッコつけてファッションで勉強しているフリをしていることはよくあるけど、原田はたぶん、そういうのとは違う。

 なんとなくだけど、俺には原田が本気で勉強に取り掛かっているように思えた。


 俺はもう一度自分の席に戻って平沢にグループの3人目は原田に決まったと伝えると、案の定というべきか、平沢は死刑を宣告されたかのように狼狽(ろうばい)して、顔からみるみると生気が消えていった。

 おいおい、赤モヒカンで登校する根性があるなら原田ぐらい全然平気だろ?

 別に殴り合いの喧嘩するわけでもないのにさ、と俺は心の中でツッコミを入れた。




「あの、る……、宮川くん、グループ決まった?」


 茄子(なすび)みたいに紫色に変色した平沢を見て(あき)れている俺に、突然声をかけてきたのは体育祭のスウェーデンリレーで一緒だった北条だった。

 てか、今俺の事を瑠伊(るい)って名前の方で呼ぼうとしなかったか? まあいいや。


「女子はまだ決まってないかな。あ、男子は決まったよ。俺と平沢と原田」

「ひっ!? はら!?……そ、そ、そうなんだ」


 俺の口から原田の名前が出てきたのが予想外だったのか、北条は原田の名前を聞いた瞬間怖気づいた。

 にしても、どんだけ(おそ)れられてんだよ原田のやつ。

 これじゃ逆に原田が可哀そうになってくる。これって逆にイジメになってないか?


「あ、あのね、わたし達もまだグループが決まってないのだけど、よかったら一緒にどうかな?」

「丁度良かった。俺たちも女子のグループを探すところだったんだ。こちらこそよろしく頼むよ」

「そうなんだ、ありがとう……。じゃあ他の子達も呼んでくるね。ありがとうね、宮川くん」




 少しして、北条が女子2人を連れてやって来た。


「宮川君、平沢君、よろしくお願いしますね」

「こちらこそよろしくな」「よ、よろしく……」


 俺の席にやって来るなり、丁寧に挨拶したのは今井(いまい)怜奈(れいな)

 今井を一言で言うなら《優等生のお嬢様》。何でもこなせる才女だ。

 学年成績もトップクラスで、漫画で例えるなら、どこまでも生真面目な学級委員長タイプ。

 まぁ実際は学級委員長じゃないし眼鏡もかけてないけど、とにかく俺達とは住んでる世界が違うっていうか、上流家庭で育てられたいいトコお嬢様って感じ。



「はぁ……。まさか宮川君と同じグループだなんて。北条さん、貴女(あなた)いい趣味してるわね」

「そ、そうかな……」

「ええ、貴女には宮川君がお似合いよ。私だったら4組の風祭(かざまつり)君に声をかけていたけれど」

「おい高村様、クラス違ったらダメだろ」


 思わずツッコミを入れる俺。

 もう1人のこの慇懃(いんぎん)無礼(ぶれい)な女子は高村(たかむら)陽子(ようこ)

 高村は典型的な高飛車女だ。とにかくプライドが高く天然で口が悪い。なので俺はこいつの事を『高村』とか『高村様』なんて呼んだりしている。


「ち、ちょっとした冗談よ。空気ぐらい読みなさいよね宮川君。これだから男子は……」

「へいへい、悪ぅございましたよ高村様」


 冗談とか言ってるけど、必死に誤魔化してたあたりガチだったんだろうな。


「北条さん、宮川君と4組の風祭君を取り換えてきてくれないかしら?」

「ええっ!? そ、それは無理だよ洋子ちゃん」


 ちなみに北条にも悪態ついているようだが、信じられない事にこれでも彼女なりに()めてるつもりなんだぜ? 言うべき台詞がまるで一致してないけど。

 高村って、表情とかあんまり変わらないから初見じゃまず分かんないだろうけど、俺は1学期の時に高村とは席が隣同士でよくやりあってたから、その辺よく分かるんだよな。


「そう……。それなら宮川君だけ7組に移してきてくれないかしら?」

「高村、お前馬鹿か? 俺らの学年は6組までだぞ?」

「知ってるわ、それぐらい。でも宮川君一人が7組に移れば6組の抱える問題が全て解決するんだから、これほど有益な案は他になくて?」

「ひどいや高村様……」


 しかも俺だけクラスの公害みたいな扱いだ。なんか教室にいるだけで訴訟起こされそうだな俺。


 けれど、これが高村の平常運転。

 高村はクラスの女子の中で一番キツいやつだと思われがちだが、そうじゃないんだ。

 彼女はただ、他の女子よりも少し……いや、かなり感情表現が不器用なだけなんだ。



 とにかくこれで俺達も、形だけは男子3人・女子3人のグループが出来上がったわけだが……。ん?


 北条と今井がそれぞれ、いつも仲良くしている女子に手を振りあったりしている。

 北条の友達が頑張れとガッツポーズを返している。

 なんなんだその見慣れないジェスチャーは。ぽっと出の芸人の一発芸か何かか? まるで分らん。


 だが、高村と普段よくいる女子達は高村には見向きもせずに会話に夢中で、高村自身も俺を見ながら小さな声でブツブツと何か言っている。



 うーん。うちのグループの女子達の雰囲気って、何か変だよな。

 どうにもこの3人、仲が良さそうには見えない……。

 というか、仲が良い悪い以前に、付き合いが無さそうなんだよな。そもそも3人が一緒にいるところなんて見たことが無い気がするし。


 ああ、なるほど……な。

 よく考えなくても簡単じゃないか。

 おそらくこの女子のメンバーは仲良しグループから全員ハブにされた寄せ集めってとこか。

 さしずめ北条はジャンケンに負けてハブられ、今井は他人を優先して自らぼっちになり、高村は上手い事言いくるめられてぼっちになった。という感じだろうか。

 ……俺の勝手な想像だけど。


 まぁハブにされた集まりといえば、俺達男子メンバーは女子よりももっと(ひど)い。俺以外の2人はもう完全にぼっち属性だし。

 休み時間になると平沢は本読んでいる事が多いし、原田はぐっすり寝てばかり。


 そうそう、そういや2学期初めに平沢が赤モヒカンで来た時は、絶対誰かに(いじ)められると思ってたんだよな。俺や原田と違って平沢は気が弱そうだし。

 だけど始業式翌日の席替えで、平沢の後ろの席が原田になったものだから、原田が怖くて誰も平沢に手出しできなかったんだよな。なんつーか、コバンザメみたいな感じ?


 まぁ、当の平沢はごらんの有様で、何もしてない原田をなぜか怖がりまくってるし、女子たちは御覧のあり様だし、(はた)から見ると、本当このグループってなんだこりゃって感じだ。


 にしても、だ。

 修学旅行はこのグループで行動かよ。なんか全然楽しくなさそうだな、おい。


 だけど、このメンバー構成なら、実はまだやり易いというかマシだと思うんだ。

 一番最悪なのは、仲良し5人組の中に入れてもらうシチュエーションだ。

 このパターンの場合、ハイレベルな人間様の高尚なコミュニティの輪の中にお情けで生かされるゴミ虫のような(みじ)めな気持ちになれる。

 リア充共が発する一言一言が、まるで殺虫剤スプレーでも噴霧(ふんむ)されるが(ごと)くの気分になって、会話に入らないように距離をとって歩いたり、見つからないよう死ぬ寸前まで息を止めてひたすら隠れたりしなくてはならない。

 リア充と話すだけで命を賭けなくてはいけないとか、想像するだけで死にたくなるな。



「とりあえず6人全員集まりましょう」


 優等生でお嬢様の今井が、グループの輪に原田が混じっていない事に気付くと、そう提案した。


「あー今井さ、原田のとこに言った方が早いよ。たぶん呼んでもこっちに来ないだろうし」

「そうですね、じゃあみんなで行きましょうか」

「み、宮川、さ、先に行ってくれないかな? 僕はちょっと……」

「はぁ? まぁいいけどさ」


 平沢、お前本当にヘタレだな。

 てか平沢さ、お前の席って原田の前だろ? いったいどうやって日々をやり過ごしてんだよ!

 平沢の煮え切らない態度に、何度も何度もしつこいぐらいにツッコミを入れたくなる。


 とにかく俺達は原田の周りに集まる事にしたが、相変わらず原田の周りには人がいない。

 原田フィールド全開だ。強力すぎて虫すら寄り付かきそうもない。

 まぁ俺には関係ないけど。


「原田、グループメンバー決まったから。男子は俺と平沢、女子は北条と今井と高村」

「わかった」


 俺が原田に話しかけると、他のメンバー達が俺に続いて恐る恐る原田に近寄った。まるで動物園から脱走した虎を囲むかように、そっーと原田の机を囲む。

 だからおまえらさ、原田の事怖がりすぎだろ。


「でさ、勉強の邪魔して悪いんだけど、今からリーダーとか色々決めないといけないから、少しの間付き合ってよ」

「わかった」


「よ、よ……よろしく、原田」

「よ、よろしくね、原田君」

「よろしくおねがいしますね、原田君」

「……」


 作り笑顔で原田にあいさつする平沢と女子3名と平沢。

 ……って高村様は挨拶なし。


「おう、よろしく」


 みんなの挨拶に対しやる気のなさそうな返事をする原田。

 暴走しなきゃ普通の男子だよな。暴走しなきゃ……。


 なんなんだろうな、いつ爆発するのか分からない不発弾を(かか)えて修学旅行に行くような雰囲気だ。


『わーい、爆発寸前まで原田をいじり倒すチキンゲームしようよ! スリリングで楽しいよ?』


 俺の頭の中に突如現われた小人のような妖精が、俺の耳元で(ささや)いた。

 ってねーよ! なんて死ぬより恐い事させようとするんだよっ!? と、俺は頭の中でなぜか1人ボケ突っ込み。

 修学旅行を前にして俺もちょっとテンションがおかしいな。ってかその前に、中間試験があるんだっけ? 

 あぁ、今のは思い出しちゃダメなやつだ。とりあえず記憶をまるごと初期化(フォーマット)しよう。……うし完了!



「よし、早速だけどグループリーダー決めようか」


 とにかく、6人グループが決まったらまずはリーダーを決めろという事だったので、早速俺はみんなに提案してみた。俺が提案しなくても、これはすぐに決めなきゃいけない事だしな。


「全部任せるわ。俺はリーダーパスで」

「う、うん」


 原田即答。

 面倒事からの逃げ足もチート級。卑怯(ひきょう)だぞ、ちくしょう!


「あたし、宮川君がいいな」


 おい馬鹿やめろ北条。


「僕も、宮川でいいと思う」

「宮川君が? ま、まぁ、いいんじゃないかしら。他にやりたい人も居なさそうだし」


 おい、ちょっと待て。

 俺はやりたいなんて一言も言ってないぞ高村様。


「宮川君、リーダーをお願いしてもいいでしょうか? 宮川君ならきっとピッタリだと思います」


 北条が口走ったのを皮きりに全員が俺を指名した。見事なまでの『言いだしっぺの法則』発動だ。


「最悪だなお前ら」


 俺が失笑混じりにそういうと、グループ内から笑いが漏れた。

 

 ちくしょう!

 やっぱりこいつら確信犯じゃねーか!!


 しかもあの原田ですら少し笑ってやがるし。ちょっと意外だったけど。


「なんかさ、言った瞬間こうなる事が予想できたんけど。……まぁ皆が()すならやるよ、リーダー。その代わりグループ行動のときは勝手にどっか行ったりすんなよ?」

「はーい」「おっけー」「了解―」「おう」


 俺がリーダーっぽく仕切ると、面倒ごとから解放された喜び交じりの生返事が返ってきた。

 権限も威厳もないリーダー役なんて誰がやりたがるんだよ。


「じゃあさ、早速なんだけどみんなのメアドと携帯の番号とか教えてくれないかな?」

「気持ち悪いわね、深夜にイタズラ電話でもしてくる気かしら?」

「しねーよ!」


 本当、一々(いちいち)一言多いんだよな、高村様は。


「はい、じゃあわたしから」


 北条はポケットからスマホをササッと取り出すと俺に差し向けた。


「えっと、どうやるんだこれ? 買ってもらったばっかりなんだよな」

「えっとね、ちょっといいかな? こうして……こうやってね……」


 北条は俺の身体に接触する寸前まで近づくと、1つ1つの操作を丁寧に教えてくれている。


 自分の携帯を買ってもらったのはついこの前の事だし、取扱説明書もまだちゃんと読んでないから、操作の仕方とかメニューの呼び出し方とか、実はまだよく分からないんだよな。

 修学旅行にどうしても必要だからって父さんに言って、ようやく携帯(ガラケー)を買ってもらえたんだけど、本当は俺だってスマホが欲しかったんだ。

 でも父さんに「ガキにはまだ早い」って感じで思いっきりダメ出しされてさ。


 それにしても、北条のこの距離感は、いつもいつもあざといなって思うんだ。

 なんか無警戒に近づかれるとドキドキするし、それにすっごいいい匂いするし。

 最近は少し慣れてきたけど。


 体育祭以降、北条とはずっとこんな感じで、こうして話すと距離がどんどん近くなるんだよな。しかも最近その事をクラスメイトに茶化されたりするし……。

 これってやっぱりあれか? アピールされてるのか?


「はい、これでOKだよ。ていうか、宮川君の携帯って誰もアドレス登録してないんだね」

「うそー?」

「マジで!?」


 え、何その反応?


「べ、別におかしくないだろ? この前買ったばかりだし、メアドはともかく電話番号ぐらいすぐ覚えられるだろ?」

「えー!? ないない、番号暗記とかそれだけは絶対無いよ宮川、というかその発想が既におかしい。僕、自分の携帯番号すら覚えてないし」

「平沢じゃ無理だろ」


 原田のきつい一言。


「何だよそれ、ひっどいなぁ、そういう原田はどうなんだよ?」

「俺はお前と違って自分と、親の番号ぐらいなら覚えてるぞ」

「すごいなぁ、原田」

「いや驚く事じゃねぇだろ? 馬鹿かお前は?」


 なんだ平沢、お前原田と普通に話せてるじゃないか。まったく本当によく分からないヤツだな。

 2人のやり取りを横目で見つつ、俺は北条に電話帳の呼び出し方とか基本的な事を教えてもらっていたが全然頭に入らない。

 ていうか、なんだよこのガラケーって遺物はさ。

 ちくしょう、何が復刻版だよ! 何が小中学生向けだ!?


 北条が操作するガラケーの画面を横から(のぞ)く俺。

 相変わらずエロいおっぱいしてるな北条は……って見るとこ間違えた。



 ── No.001 北条めぐみ


 まだ1件しか入っていない俺の電話帳。

 登録面倒くさそうだなぁ……。見てるだけでお腹一杯だ。


「なぁ、北条、悪いけど他の人の登録も頼めるか?」

「うん、いいよ」


 俺は北条に残りのメンバーの番号を登録してもらうと、北条から携帯電話を返してもらった。


 ── No.101 平沢大地

 ── No.102 原田一将

 ── No.103 今井怜奈

 ── No.104 高村陽子


 液晶に映るメンバー5人の電話帳をじっくりと確認していると、いつの間にか俺の周囲には、不思議と和やかな雰囲気になっていて、色々と話が盛り上がっていた。


 そしてさらに意外な事に、この日から俺達6人の間で自然と会話が増えていったのだった。




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