第28話 解説席に座ると相撲が上手くなる不思議
40年余り前に、大相撲解説者の玉ノ海梅吉さんが、大相撲解説中に面白い事を言ってました。
『いやあ不思議にねえ、ここに座ると相撲が上手くなるんですよ』
この時の解説のお相手はNHKの北出アナウンサーだったように思いますが、記憶違いかもしれません。
現役時代の玉ノ海梅吉さんと言えば、あの大横綱双葉山と互角の相撲を取ったと言われる、怪力で有名な力士ですが、最高位が前頭筆頭という事は力任せの雑な相撲取りだったのではと推測されます。
上記のお話は自分のような力任せの荒っぽい相撲しか取らなかった力士でも、解説席に座ると相撲が上手くなる。そのように半ば自分を揶揄するように、冷めた話し方をされていたのがとても印象的でした。
現在の解説者もまたしかりで、引退してから相撲が上手くなった元力士も多数います。
例えば、亡くなられましたが元大関貴ノ浪。
現役時代は、立ち合い、ほとんどまわしを取りにいかず、右を引っ張り込んでいましたが、解説席では、
『右脚を踏み込んで右横まわしを取りに行け』
とか、
『右から押っつけて右横まわしを狙え』
とか相撲が上手くなってました。(笑)
元大関豪栄道は大関時代、時々解説する、弟子に厳しい部屋の親方に散々な目にこき下ろされてました。
『差されたらすぐに首を巻くようではダメだ』
とか
『馬鹿の一つ覚えみたいに、張り手なんかやっちゃダメだ』
とか。
引退後、解説席に座ると、何事も無かったかのように、平気で解説しています。(笑)
少し、違うのは元横綱鶴竜。
亡くなられた北の富士さんやNHKアナウンサーの方から、引き技で墓穴を掘るのをあきれられたり、同情されたりしていましたが、引退後の解説席では、
『押されて後退すると、なかなか盛り返せない。押し負けしないように立ち合いからどんどん攻めていかないといけない』
と解説してました。
自分はそうしようとしたができなかったので、やむなく引いたのですね。




