第65話:『神々のシェアハウス。 ―お茶の間、八百万(やおよろず)につき定員オーバー―』
天国の「完璧な清潔さ」に耐えかねた神様たちが、九条家へ集団家出。
リビングは神々のシェアハウスとなり、全知全能の神もここでは「家事手伝いの新人」扱いです。
パパの空間操作とリィナの適当な加護によって、九条家は宇宙で最も「ご利益があるけど、世界一うるさい家」へと進化してしまいました。
「……ちょっと、誰か私のポテチ食べたでしょ」
リィナが学校から帰宅すると、リビングは「異次元の修学旅行」状態だった。
ソファには北欧の雷神が座ってスマホゲームに熱中し、コタツの中ではエジプトの太陽神が丸くなって昼寝をしている。キッチンでは、ギリシャの神々がお母さんに「玉ねぎのみじん切り」を教わりながら涙を流していた。
「リィナ、おかえり。……天国があまりに綺麗になりすぎて、みんな『緊張してリラックスできない』って、うちに家出してきちゃったのよ」
お母さんが、ゼウス(全知全能の神)に「ほら、お皿は重ねて運ばない!」と説教しながら答える。
「……パパ、これ流石に不法占拠じゃない?」
『リィナ。……彼らも必死なんだ。……(印:空間の四次元拡張)×(印:騒音カット)×(投げ銭:神様用のお徳用布団セット)。……よし。これで、リビングに100柱いても「狭い」と感じないように設定したよ』
パパが指を鳴らすと、六畳間のリビングは物理法則を無視して広がり続け、奥の方ではインドの神々が「本格カレーパーティー」の準備を始めた。
「リィナ様! 助けてください、あそこの『美の女神』が私の魔界ポテトを全部『低カロリー野菜』に変えてしまったんです!」
魔王サトウが、泣きながらリィナの足元に縋り付く。
「……もう、勝手にやって。でも、夕方のニュース番組の時間だけはテレビを譲りなさいよ」
リィナが自分の部屋へ行こうと階段を上がると、踊り場では日本の八百万の神々が「宴会」を始めており、一歩進むたびに「開運」や「縁結び」のバフ(加護)が強制的にかかって、リィナの体力が最大値を超えてオーバーフローしそうになっていた。
「(印:適当)×(印:静粛)×(投げ銭:神々へのワンカップ酒)」
パチン、とリィナが指を鳴らすと、騒がしかった神々は一斉に「泥酔モード」に入り、リビングの四次元空間でスヤスヤと眠りについた。
第65話、ありがとうございました!
コタツで丸まる太陽神や、みじん切りで泣くゼウス……神様たちの人間臭さが爆発しています(笑)。
リィナの階段を一段上がるだけで「運気が爆上がり」する状況、逆に疲れそうですね。




