第46話:『実家、聖地になる。 ―リビングでの参拝は固くお断りします―』
恩を仇で返す(?)神々によって、実家が勝手に「宗教の総本山」に。
しかし、宇宙の真理すらも「洗濯の邪魔」という主婦の論理には勝てません。
信者をうまい棒一本で黙らせるリィナと、神殿を物干し台に変えるお母さん。
九条家の平穏を乱す者は、神ですら容赦しません。
「……ちょっと、リィナ。庭に変な石碑が建ってるんだけど。これ、不法投棄じゃないの?」
お母さんが物干し竿を片手に指差した先には、純金とオリハルコンで造られた、高さ5メートルの巨大な「九条リィナ称讃碑」が鎮座していた。
九条家に転職した神々が、あまりの福利厚生の良さに感激し、勝手に実家を**『全宇宙至高神・リィナの神殿』**として登記してしまったのだ。
「……あー、それね。昨日の夜、雷神(現在:庭師)と女神(現在:洗濯担当)が『主への感謝を形にしたい』って泣きながら建ててたわ。……パパ、これ固定資産税上がるんじゃない?」
『リィナ。……それどころか、Googleマップで我が家が「真理の座標」として表示され、全銀河から巡礼船がワープしてきているよ。……(印:住所の匿名化)×(印:聖域の迷彩)……あぁ、ダメだ。神々の信仰心が強すぎて、私のフィルタリングを貫通してくる』
パパが頭を抱えている間にも、九条家の前の路地には、宇宙服を着た異星人、白いローブの賢者、さらには「リィナ様尊い」というウチワを持った地上の信者たちが大行列を作っていた。
「リィナ様ぁ! お姿を拝ませてください! 投げ銭させてください!」
窓の外から響く熱狂的なコールに、リィナはポテトチップスを噛み砕きながらスマホを操作した。
「……五月蝿い。(印:巡礼者の強制送還)×(印:実家の存在忘却)×(投げ銭:全員にうまい棒配布)」
パチン、と指を鳴らした瞬間。
押し寄せた数万人の信者たちは、手元に「めんたい味のうまい棒」を持たされた状態で、各自の自宅の布団の中へと強制ワープさせられた。
「……ふぅ。これで静かになるわね」
しかし、一難去ってまた一難。
キッチンから、お母さんの怒声が響き渡った。
「ちょっと! さっきの石碑、台座が邪魔で洗濯物が干せないじゃない! 神様たち! 今すぐこれを『物干し台』に改造しなさい! あと、聖水で洗うのは禁止! 柔軟剤の匂いが消えるでしょ!」
「「ひ、ひえぇぇ! 承知いたしました、教母様!!」」
世界中の信者が崇める「称讃碑」は、その日のうちに「神々が手揉みでシーツを干すための高級多機能物干し金物」へとランクダウンさせられた。
第46話、ありがとうございました!
全宇宙の聖地が、わずか数分で「シーツ干し場」に……(笑)。
神様たちが「教母様」とお母さんを呼び始めたあたり、九条家の序列が完全に確定しましたね。




