第45話:『神々のハローワーク。 ―ブラック天界を辞めて、九条家で働きたい―』
「職業体験」で神々の転職相談に乗ることになったリィナ。
ブラックな天界や魔界から逃げ出してきた神々は、九条家の「家事」という高度に管理されたホワイトな労働に救いを見出します。
神の権能を「家事の効率化」に全振りする。これこそが、リィナが提唱する新しい世界の働き方でした。
「……ねえ、先生。私の職業体験先、『市役所の受付』じゃなかった?」
リィナが学校から指定された住所へ向かうと、そこは市役所ではなく、空間が歪んで出現した**「全次元対応型・就労支援センター:九条」**の受付デスクだった。
リィナの無意識の「掛け算」が、学校のプリントの文字を書き換えてしまったらしい。
「あ、九条リィナ様! お待ちしておりました! 私、隣の銀河で『太陽の管理』を24時間365日やらされている者ですが……転職の相談に!」
「私は『運命の女神』ですが、最近ノルマが厳しくて……。九条家の『皿洗い担当』に空きはありませんか!?」
受付の前には、過労で目の下にクマを作った神々や、ブラックな暗黒神にこき使われてボロボロになった悪魔たちが、履歴書(黄金の石板)を手に長蛇の列を作っていた。
「……はぁ。私、ただの女子高生なんだけど。……パパ、これどうにかして」
『リィナ、これはビジネスチャンスだよ。……(神の労働力)×(適切な労務管理)×(パパのホワイト企業化パッチ)。……よし。彼らを我が要塞の「アウトソーシング部門」として登録しよう。まずは、お母さんの「特売品買い出し部隊」からだ』
パチン、とパパが指を鳴らした瞬間。
太陽の神は「特売のチラシを光の速さで解析するサーチエンジン」に、運命の女神は「スーパーのレジの列を最短で予測するナビゲーター」に、それぞれジョブチェンジされた。
「素晴らしい……! 宇宙を動かすより、10円安い卵を見つける方が、なんて『やりがい』があるんだ……!」
神々は涙を流して、九条家の「家事手伝い」という名のホワイト労働に邁進し始めた。
「……リィナ、戻ったの? ちょうど良かったわ、この神様たちが持ってきた『天界の洗剤』、汚れ落ちが凄いのよ! 学校のトイレ掃除、これで行ってきなさい!」
お母さんに背中を押され、リィナは神界最高峰の洗浄魔法が込められたバケツを持ち、再び学校へと向かった。
翌日、学校のトイレは「眩しすぎて直視できない聖域」へと進化した。
第45話、ありがとうございました!
神様たちが「10円安い卵」にやりがいを見出す姿、現代の労働者にも刺さるものがありますね(笑)。
学校のトイレが「聖域」になるという、清掃ボランティアの域を超えたリフォーム。




