第37話:『通学路の最適化。 ―校舎ごと異次元へ招待します―』
登校の面倒くささを解消するため、空間を歪めて学校を要塞の「離れ」にしたリィナ。
ついでに「快適さ」を追求した結果、学校そのものが神の加護を受けた聖域へと変貌します。
宿題を出し終えたリィナにとって、もはや学校は「最高の昼寝場所」でしかありませんでした。
「……あー、だるい。学校行くのに、なんでわざわざ『高度3万メートル』から降りなきゃいけないのよ」
リィナは、神々が血反吐を吐きながら完成させた(物理法則が崩壊した)宿題セットをカバンに詰め、欠伸をした。
空中要塞は快適だが、登校には不便すぎる。
「リィナ、遅刻するわよ! 早く行きなさい!」
お母さんの声が響く。
「わかってるわよ。……ゼノン、パパのPC借りるわね。――(印:地理情報の改ざん)×(印:空間圧縮)×(投げ銭:校舎のバリアフリー化)」
リィナがキーボードを叩くと、現実世界の街並みが「ぐにゃり」と歪んだ。
本来、バスと電車を乗り継いで1時間かかる通学路が、リビングの扉を開けた先にある「玄関」へと直接連結されたのだ。
「……よし、ドアを開けたらそこはもう下駄箱よ」
リィナが要塞の勝手口を開けると、そこには驚愕の光景が広がっていた。
単に繋げただけではない。リィナの「掛け算」が無意識に暴走した結果、学校のボロい校舎が、白亜の大理石で作られた「魔導聖域(ハイテク仕様)」へと勝手にリフォームされていた。
「ひえぇぇ!? ボス、学校の校門が『黄金のドラゴンの口』になってるぞ!」
ゼノンが腰を抜かす。
リィナが登校すると、そこには呆然と立ち尽くすクラスメイトと、腰を抜かした先生たちがいた。
「く、九条さん……? 昨夜、校舎がまばゆい光に包まれたと思ったら、水道からエナジードリンクが出るようになって、教室に浮遊するタブレットが配備されてるんだが……」
「あ、それ私の仕業。……はい、これ宿題。神様が書いたから、読むと知恵熱出るかもしれないけど、適当に採点しといて」
リィナは提出物の束を教卓に叩きつけると、自分の席に座った。
机は勝手にマッサージ機能を起動させ、教科書はリィナが読み始めた瞬間に「内容の要約」を脳内に直接インストールし始める。
「……ふぅ。これで授業中も寝放題ね」
九条リィナ、異世界を支配したその手で、ついに「日本の学校生活」すらも攻略対象(チート環境)に変えてしまった。
水道からエナドリ、机にはマッサージ機能……。不登校児の夢を詰め込んだような改造ですね(笑)。
神様が書いた宿題を採点させられる先生の身にもなってほしいものです。




