24 ゴードンとエーデルフリートは正反対!?
リタたちが島の探索に出かけている間、ルーシーはメイドとして掃除洗濯をする。
サラ、エーデルフリート、ゴードンは拠点から海までのルートをチェックすることになった。
「サラさん。デルさんは呪われていて、女の人にさわるとマンドラゴラになっちゃうんです。お魚でも変身しちゃうので気をつけてください」
家を出るサラに、洗濯かごを抱えたルーシーが真面目くさった顔で言う。
「ま、マンドラゴラ? なんだいそりゃ?」
よくわからない注意に、サラは首をひねった。
「あ、それホントの話だよ。シンディが呪いを解くための研究してくれているんだけど、まだとけてないんだよねぇ。アハハハ」
「呪われているのに笑っていられるのか、君は……」
ゴードンが信じられないものを見る目をする。
「んー。でも悩んだところで解決しないことだから、呪いで悩む時間があったら今夜のごはんのメニューを考えたいな。次の当番俺とシンディだしさ。料理できないけど、リタが簡単なの教えてくれたからさ」
エーデルフリートは泥質の地面を踏みしめながら、腕組みをする。ミィもエーデルフリートの肩に乗り、真似をして腕組みしている。
「海からここまでは水はけがかなり悪いよね。ほら、見て。家を建てるために木材を運搬していたんだけど、往来した荷車の轍がくっきりついているんだ。建設中に雨が降った日があってさ。二日くらいぬかるんだままだったんだ」
サラもその跡を確認しながら、報告書に記す。
「ここで採れたものを海まで運ぶのだから、道を整えないといけないわね。雨が降るたび整地するのは大変だもの。馬車が行き交えるだけの道幅にすれば、日常生活も楽になるはずよ」
「ふむ……。木々を切り倒して道を敷くにしても計画的にしなければならないな」
ゴードンは腕を組みながら辺りを見渡す。
エーデルフリートはメモに書きつける。
「リタたちが戻ってきたら、これもまとめて領主様に提出しよう。どんな村になるだろうねぇ。楽しみだな。都会に負けないくらいすんごい道を作ってみたいよねぇ! 街灯もつけて夜も歩けるようにしてさ」
「流石に本職には見劣りするだろう。素人しかいないんだから」
「ゴードンさん、夢はでっかく持たないと。俺こういう秘密基地作るみたいなの、大好きなんだ。すっごくワクワクする」
「そ、そういうものか? オレは君くらいの年にはもう軍人をしていたから、わからん」
子どもみたいなことをいうエーデルフリートに、ゴードンは困惑する。軍の規律を守り、兵の仕事に邁進してきた男だ。
娯楽や雑談という、仕事に関係ないものとは無縁だった。
楽しいことだけ追いかけているようなエーデルフリートは、ゴードンと正反対に位置する人間だろう。
「へー。すごいねぇ。俺、真面目に生きられないからさぁ。ついつい笑いたくなっちゃう」
「君は、よくうるさいと言われないか?」
「あ、うるさい? ごめんね。おばあちゃんにも静かにしていなさいってよく言われてたんだよね」
注意されても笑顔が絶えないエーデルフリート。
今まであまり関わったことのないタイプの人間相手で、ゴードンは圧倒され通しだった。
 





