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最終話「召し上がれ!」


「さぁ、座って」

「あの、これは……?」

「ご飯だよー! 私が作ったの!」


 徹夜で頑張ったノノをいたわろうと思ったのだ。今までみたいにお手伝い、ではない。最初から最後まで私一人で作った料理。

 もうほとんど出来上がっていることもあって、お皿の上に盛り付けていく。

 しゃきしゃきの野菜にヘタを取ったミニトマト。

 それからカリッと焼いたジャガイモを添えて、後は——


「じゃーん! てごねハンバーグです!」


 いたわると言えば”てごね”だろう。

 ノノに作り方を教わっていたこともあって、時間はかかったけれど完璧な出来栄えだと思う。

 オーブンから取り出したハンバーグは表面がじわじわしている。

 細い串で火の通りを確認すれば、透明な肉汁がドパッと溢れた。

 

 もったいない!


 急いでお皿に移して、上から掛けるのは特製のデミグラスソースだ。

 バターを使ってよーく炒めた玉ねぎを、形がなくなるまでワインや水で煮込んで、いろんな調味料で味付けしたそれは、前にノノが話してくれたものである。

 薄力粉でとろみがしっかりついたそれをハンバーグ全体に掛けたら完成。


 ヘルプの力を借りて作ったソースは、味見だけでも幸せな気分になっちゃうほどおいしかった。

 甘味と酸味が加わった絶妙なバランスの塩気に、ワインとバターが作り出した深い味わいとコク。

 ハンバーグの肉汁にも負けない最高のソースに仕上がったと思う。


「召し上がれ!」


 私に促されて、ノノが震える手でフォークとナイフを握る。

 つぷ、とナイフの刃先がハンバーグを斬ると同時にソースを流しちゃうんじゃないかってくらいの肉汁が溢れる。

 慌ててフォークで口に運んだノノは、はふ、と小さく息を吐いて、それからお肉をぎゅっと噛み締めた。


 言葉はない。


 でも、私にはノノの気持ちがよーくわかる。


 だって、美味しいものを食べたら勝手に笑顔になっちゃうもんね!


「ふむ、私もご相伴に預かれませんか……?」

「お、美味そうなもん食ってるじゃん!」

「あ、こらドルツ! いいとこだったんだから邪魔しないの!」


 匂いを嗅ぎつけたのか、皆が集まってきた。復興のために走り回っていた兵士さん達も興味津々だけれど、ドルツさんなんかは遠慮なくノノの近くに座ってしまう。


「別に良い——」

「駄目です」

「えっ」

「お嬢様の手料理はすべて私のものです。今すぐ私が追加を作るので少々お待ちを」

「えええっ!?」


 何で!?

 私のはいまいち? 人には振舞えない味だったかな……?

 美味しくできたと思っていたのでドキドキしながらノノを見る。


「お嬢様、素敵なご料理をありがとうございました……ノノは果報者です」

「お、美味しかった……?」

「天にも昇るほどに。一緒に食べた方が美味しいのは分かっていますが、つい独占したくなってしまいました。代わりを量産するので、お手伝いいただけますか?」

「うん!」


 そういうことなら!

 リーアも参戦してありったけのひき肉を焼いたんだけど、後から後から人が現れていつまで経っても終わらない。

 炊き出しは炊き出しでやってるはずなのに!


 ……まぁでも、一口食べて目を丸くして、それから笑顔になってくれる人たちを見るのも悪くないと思えた。

 杖を突いたおじいさん。

 赤ちゃんを抱っこしたお母さん。

 弟らしき子供の手をぎゅっと握りしめたお姉ちゃん。


 疲れや不安で俯きがちになって、でも未来をあきらめたくなくて頑張ってる人たちに、焼き立てのハンバーグを差し出す。


「召し上がれ!」


この度は「最強ロリ聖女のゆりグルメ!~殺されかけたので他国に逃げたら侍女からとろとろに溺愛されて美味しいもので餌付けされています~」を最後までご笑覧いただきありがとうございました。


グルメにコメディにダークなところに、いろんなものを織り交ぜた結果、闇鍋みたいになった本作ですが、楽しんでいただけましたでしょうか。

もし楽しかった、と思っていただけましたらページ下部より評価を頂けると幸いです。


また、新作も鋭意執筆中ですので「お気に入りユーザー登録」をしていただけると新作投稿時に通知が言って便利になるかと思います。


それではまた次回作でお会いしましょう。

マリアベルとノノが更に幸せな人生を歩んでいくこと願って。


吉武 止少 拝

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― 新着の感想 ―
面白かった、いつか食い倒れ編も…
[一言] 意外に早く終わったね。 主人公が痛々し過ぎる点を除いては、中々面白い作品だと思います!
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