表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/155

55話 ACT15-1

 セリカの待つ場所へブラックホールを通じて転移してきたシキ。さきほどの場所と同じ風景に見えるその場所は、先ほどの場所と違う場所というよりも、まるで先ほどの場所からセリカとシキ以外のメンバーが消えてしまったような。

 そんな感覚に陥るほどだった。


「あら、こんにちは。貴方が、私を一番倒しやすいと判断したのかしら?それともサラさんと坊やのペアは無理と踏んだので止むを得ずかしら?」


「おう、こんにちは。まあ、どうとでもとってくれ」


 そう告げ、シキは突如セリカに【マジックアロー】を右手に宿して右ストレートの攻撃を仕掛ける。

 そんなシキの攻撃を読んでいたかのように、セリカも己が使う為の刃の剣を手に持ち、シキの【マジックアロー】の右ストレートを防ぐように切り掛かる。拳と刃の衝突は、本来であれば拳が刃に切り裂かれてもおかしくはないが、シキが持つ【マジックアロー】の拳は、鋭利な刃も鈍器も共に破壊する力を持つ。二つの激突はその衝突により、セリアの刃の剣を破壊し、お互いの距離を開くだけに過ぎなかった。


 再び攻撃を仕掛けようとするシキに、セリカは両手に刃を持ち、拳と刃の衝突をし続ける。セリカの両手剣にあわせてシキも【マジックアロー】を両手に宿す。シキの拳とセリカの刃の衝突は、その毎に刃を破壊され、防戦一方に陥っていたセリカだが、両手に刃の剣を出現させる時間に”タメ”は必要ないらしく、シキの右ストレート、左フック、右アッパー、左ストレート、再び距離を離したところで右ストレートを打つけるが、セリカにダメージを与える事なく拳と刃の衝突に終わり、再び衝撃で距離を離し打つかり合うといった牽制が続く形になってしまっていた。


「もう、せっかちね」


「あまりやりとりで感傷的になるな。とあの二人に釘刺されてるもんでな」


「そんな事言わないで、少しお話でもしましょうよ。坊やが私の”タメ"の時間を作らせない様に、攻撃を仕掛けてきているのはわかっているけど、今のままお互いの様子見攻撃をしていても、しょうがないでしょ?次の攻撃の戦術を考えるがてらに、どうかしら?」


「そうだな。とりあえず、両手で使う剣撃の刃の出現程度だと、”タメ”を必要としないのはわかったしな。お前が俺を逆撫でするような事を言わなければ、しばらく雑談でもしようか」


「ふふ。自分の弱点への指摘で牽制するところは素敵ね。よっぽど、お灸を据えられたみたいで。そうね、このスタンスでの攻撃をお互いに続けていても消耗戦なだけよ。坊やとしては、私を倒した後の事も考えておきたいでしょ?」


 いまいち、セリカの態度から真意が見えてこないが、今の時点では、セリカの指摘が正しい事は間違いない。シキとしては、"次の事"も考えておきたい。雑談と最初から割り切っておけば、セリカから言われた言葉をそのまま鵜呑みにしない心持ちにしておけば問題ない。


 雑談しながらも、別で考えておかなければいけない事として、現段階で認識できているセリカの情報の整理である。セリカの攻撃スキルは刃を空間転移で生み出すスキル。帰化プレイヤーとしての特殊スキルを得る前のジョブはスナイパーなのだろう。その為、スナイパーが攻撃をする為に弓矢を引き放つ動作に近い”タメ”が必要になってくる事まで読めていた。

 遠距離攻撃、またはその刃を無数に出す為にはそれに見合った”タメ”。そのタメを作らせないようシキはすばやい攻撃を仕掛けたつもりだったが、セリカの言う通り数本の刃を出す分には”タメ”を要さないのは、今の攻撃のやりとりで分かったことだ。


「それはお互い様だろ。先に言っとくが、色々と俺の事を考えた発言しながら、戦意を解いて騙し討とうなんて考えだったら、それは効かないぜ。ただの時間稼ぎと判断したら迷わず攻撃開始するぞ」


 シキは、そう言いながらも、セリカが”タメ”をしていない事を見て分かっていた。今のセリカからは戦意が全く感じられない。戦意がない状態では”タメ”をするのにも、瞬間的だが、時間を要するは分かっている。その瞬間的な間をシキが見逃さないのも、セリカもまた分かっていた。

 つまり、この状態は、この状態においても、お互いの牽制がされている状態にある。そう思えたシキは、セリカから変な挙動が見られない以上は、言う通りにする事にした。


「せっかちさんね。つまらないわ。やりとりで手玉にとられて感傷的にならない為の意識が強いのでしょうけど、今の坊やなら大丈夫よ。リンカさんやマリアさんと違って」


「そうかい。褒めてもらったところで何も出ないけどな。ちなみにリンカの感傷的はともかく、マリアは手玉に取られるようなタイプに見えないけどな。お前らは、仲間のつもりでいたんだろ?」


「マリアさんは、気付かれてないと思っていた様だけれど、こうなる事は私は予想していたわ。そもそもあの子は帰化プレイヤーでないでしょうし」


「え??そうなのか?泳がしてたんのか?」


「そうね」


「なんのために?」


「そうね。なんでかしらね?面白いから?」


 ニコニコ笑って答えるセリカの表情には、嘘がないように思える。セリカは接触してから今に至るまで、EG(エンペラーゲート)幹部の割に、ガインのような明確な目的への達成意識を持って動いているようには見えない。

 そう思わせる事がセリカの策略なんだとシキは思っていた。しかし、こうも一環した態度だと、"そこ"が本音のようにも見えてくる。

 会話をし続ける事で、戦闘を回避できるのであれば、確かにそれに越した事はない。キルを目的としている帰化プレイヤーのガイン、セリカ、サラと違い、マリアは例外として、シキ、リンカはキルまでは持って行かずに倒したい気持ちは、今でも残っている。

 セリカにおいては、キルをせずに済むのであれば。という感情がないのは、ムキムキ男の時に分かっている事だが、そもそも戦う事への執着心がないのであれば、戦わずして勝利に導く方法も確かめてみたい。


 会話でバトルの勝利まで持っていく戦略における、知能戦をするのがシキである事以外は、、、、、、本人の中では、腑に落ちた選択ではあった。


「お前にとってEG(エンペラーゲート)は何なんだよ?」


「何なんだよとは面白い事聞くわね。大事な組織よ。私がそう思っているように、見えないかしら?」


「そりゃそうだろ。マリアをただ面白いって事だけで泳がすには、組織崩壊のリスクが高すぎるだろ。俺達の作戦は失敗に終わったけど、もし成功してればEG(エンペラーゲート)崩壊につながったかもしれないんだぜ」


「そう思っているのは、坊や達が短楽的だからよ」

次回も月曜日の19時に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ