表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/155

33話 ACT9-2

「すばらしいです。シキさんは戦略面に長けているんですね。シキさんのデータをすべて保有する僕でもシキさんの戦略を読むことができなかったのは、次から次へと新しい戦略が浮かんでくるからなのですかね?」


 光の粒子となって散ったはずのシャドウはシキから距離が3mほど離れた場所で改めて具現化され現れる。

 HPゲージは満タンである。


「俺のHPMP全回復薬も大概だけど、お前の不死身具合も大概だな」


「あはは。倒し甲斐がないですか?しかもさきほど倒した僕よりもレベル補正がかかっていますよ。

 シャドウのマスタープレイヤーが常にギリギリの戦いをすることでレベルアップをしやすい環境を生み出しています。簡単には倒せないけれどがんばれば倒せるレベル補正が僕にはされていきます」


「倒せば倒すほどレベル補正がかかって強いシャドウが現れると」


「そういうことです。かつシキさんの場合、戦略的に攻撃を仕掛けてくることが多いので、レベル補正かけられると王道で勝つよりもさらにやりづらいかもしれませんね」


 シキの戦略は、《時と補正のエリア》のシャドウを相手においては分が悪い。

 正面衝突で戦えば戦うほどレベルとステータスに依存した戦いをしなければならない。逆にいえば倒すに見合うだけのレベルにならないと倒せるに至らない。

 ところがシキの場合は、レベルやステータスをフォローしてしまっているプレイヤースキルだけではなく、戦略面も長けているため、本来であれば正面衝突で戦った場合で相手に勝てないレベルやステータスでも勝ててしまう。

 そこで得た勝利はプレイヤースキルと戦略のブーストが合わさっての勝利である。

 ブーストはそのタイミングのみ使うからこその威力が発揮するのであって二度目三度目に関してはその効果は半減する。

 そのため何度も何度もレベル補正がかかって復活してくるシャドウとの戦いは、前回勝てた時に使えたプレイヤースキルや戦略を読まれて使いづらくなっている分、さらに不利な状況となる。


 加えてシャドウは鉄仮面から姿をサラに変える。


「同じ戦略で戦えない俺に対する情けのつもりか?それともサラの姿になればさらに俺が攻撃しづらくなるなんて思っていないよな?」


「思っていないですよ。シキさんこそサラさんを分かっていないですね」


 シキの戦略がシャドウが保有するシキのデータを上回っているとはいえ、シキのデータから構成されているシャドウの戦略がシキの想定範囲内であるともいえない。

 シャドウは鉄仮面の姿でレベル補正しているだけでも次、十分に倒せるかどうかわからないこのタイミングでサラの姿に変身することはシキにとっては読みづらい行動だった。


 シキは【フロストボルト】を放ち様子を見るが、サラの姿をしたシャドウが放ったスナイパースキル【パワーシュート】と打つけお互いのスキルをかき消す。

 続けざまの攻撃を仕掛けてきたのはシャドウだった。

 【フェイルノート】と呼ばれる次攻撃にて確実に相手にダメージを与えることができる矢の攻撃をシキは喰らい、【フェイルノート】を放った直後に放つ30本の矢の雨が降り注いでくる【アローレイン】がシキに浴びせられる。

 連続して攻撃を食らってしまったシキは多少の攻撃を食らっていくことをやむをえなしとしてシャドウに接近していくが、シャドウはシキとより早いスピードで後退していき矢をはなち続ける。

 基本ステータスのスピードで追いつかないシキは接近を一旦諦め【マジックアロー】を投げ込むが、シャドウに避けられ、避けながら放たれた【フェイルノート】を食らい、続けざまに出血効果を出す【レイザーアロー】も食らってしまう。


 気がつけばありとあらゆる連続攻撃にシキのHPは1/3まで減ってしまい、出血状態が続いているために攻撃を受けなくてもHPゲージが減っている状態が続き、倒れこむ。


「はぁ、はぁ、はぁ、HPMP回復薬をくれ」


「シキさん、サラさんを分かっていないですよ。

 レベル補正をおいといたとしてもサラさんの持つスナイパースキルやプレイヤースキルは圧倒的なスピードと強さを持っているんですよ」


「そうみたいだな。これは俺の反省だよ」


「その割にはうれしそうですね。Mなんですか?」


「なわけねーだろ。ってか俺のデータ持ってるならわかんだろうが?」


「今の持っているデータではその要素は、、、、、ないですね。もしかしたら途中で芽生えちゃったりもするかと思いまして、聞いてみるだけ聞いてみました」


「ったく、シャドウとはいえ、サラが強い事を知れたのは仲間としてうれしいだけだ」


「なるほどですね。ちなみにHPMP回復薬はまだ渡しませんよ。今ならサラさんの姿をしていても冷静なシキさんと少しお話できるかもしれないので、このタイミングを有意義に使わせていただきます」


 そう言うと倒れて横たわっているシキの隣に座るシャドウ。姿はまだサラのままである。


「冷静な俺と話したいって、サラの姿をしていることに意味があるのか?」


「ありますあります。最初の出会いの悪ふざけが過ぎたかもしれませんが、怒り爆発でシキさんが攻撃しかけてくるのでちゃんと話す機会がありませんでしたよね。だから少しこのタイミングはうかがってました。

 僕が持つシキさんのデータを保有できているのは、AH(アストラルホライズン)と《時と補正のエリア》の仕様ですね。

 本来であればシャドウたる僕及び他のシャドウの役目はプレイヤーのレベルアップ及び精神的な成長を求めていたりします。

 リアル世界でも同じだと思いますが、事を為す人間にはそれなりの”器”が求められます。

 小さい”器”の中身をどれだけいいものにしても溢れてしまうのです。

 だから僕らは単純なステータス以外のレベルアップも求めるのです」


「いきなりちゃんとした事を言い出すからリアクションしづらいな。それで俺が今のままの”器”だとステータスだけのレベルを上げたとしても溢れてしまうのをシャドウはわかっているからゆっくり話すタイミングを見計らっていたと?」


「そう言う事です。僕が今ここで伝えたいのは、シキさんとサラさんのことです」


次も来週の月曜日の19時投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ