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25話 ACT7-3

「帰化プレイヤー・・・」


 シキとリンカで得たいと思っていた確信情報をマリアは持っているように思われる。

 今すぐここにリンカを呼び出したい気持ちに駆られるが、まだマリアの意図がしっかり見えていないシキは落ち着いて対応する事にする。


「ふふ、シキさん、わかりやすいタイプですね」


 さきほどまでのマリアに対するあしらう対応とは打って変わったシキにマリアは微笑する。


「悪かったな。それじゃ特殊スキルを得ようとこの街に集まっているプレイヤー達の大半はほとんど帰化プレイヤーになっているって事なのか?」


「まだそうでもないです。段階的に帰化プレイヤーの比率を高めていこうとしているのが私の所属するギルドのミッションです。

私のギルドの最終目的はこの街だけに限った話でなく最後はAH(アストラルホライズン)全体です」


 自らのギルドが帰化プレイヤーを増やしていく為のギルドだと言うマリアに少しだけ戦闘体制に入るシキ。


AH(アストラルホライズン)全体で・・・。それで俺を帰化プレイヤーにしようと近づいてきたと?」


「素直に聞いてしまうところがかわいいですね」


「ほっとけ」


「違いますよ。後、私は帰化プレイヤーではないです。ただ帰化プレイヤーを装ってます。知っている情報もあるかもしれませんが説明させてください。

その上でなぜ私が帰化プレイヤーを装っているのかと。

そして色々な話をシキさんにした上でシキさんに何を求めているのかもですね」


 マリアの説明はシキがわずかに思っていた願いをすべて覆すような内容だった。


 AH(アストラルホライズン)にいるプレイヤー達はリアル世界にログアウトできなくなり、もちろん実体にもリンクできない。

 その状況が起きたタイミングと重なり、PK(プレイヤーキル)されると以前であれば近くの教会に死に戻りしていたプレイヤー達が帰化プレイヤーと化されてしまうようだった。

 ここまではリンカから話を聞いていたのもあったが、信じたくない気持ちのほうが強かった。

 リンカの話はあくまで不確定要素の多い話だったが、マリアは明言する。


 帰化プレイヤーは種族でいうヒューマン以外の獣人、機人、エルフ、オーガ(鬼)の種族になり、中には上級帰化プレイヤーとして魔人族という種族もあるらしい。

 まるでその選別は人間という存在を忌み嫌っているように思えた。

 帰化プレイヤーは特殊スキルを与えられ、リアル世界の話をみな忘れてしまったのかないものとして考えたいのか一切話題に出さなくなり、プレイヤーが呪われていると認識する。

 帰化プレイヤーによるPK(プレイヤーキル)はプレイヤーを呪いから救うためにという考えになっているようだった。

 そしてマリアの所属しているギルドがまさに帰化プレイヤーがその使命に駆られているギルドだった。

 一人でも多くのプレイヤーをPK(プレイヤーキル)し帰化プレイヤーにしなくてはいけない。

 その手始めとしてソロプレイヤーやギルドマスターへのアプローチを段階的に始めPK(プレイヤーキル)を起こしていく。

 また特殊モンスターも用意し、モンスターがPKしても帰化プレイヤーになるように色々と仕掛けていく。

 マリアのギルドの方針説明を聞いていると、上級ポイズンウーズの存在やサラとシキを襲ったあの鉄仮面の動きがまさに当てはまる。


 シキはソロプレイヤーやギルドマスターではない。それでも早期に帰化プレイヤー化の対象となったのは、サラとも散々話し合った自身のAH(アストラルホライズン)における特有の状態が巻き起こしたものなのだろうか。


 ここまでの説明をマリアから聞いた上でシキは改めて確認する。


「それで、マリアは俺に何を求めているんだ?」


「はい。私が帰化プレイヤーを装っているのはこのギルド、EG(エンペラーゲート)に潜入するためにです。そしてシキさんに協力してほしいことは私と一緒にEG(エンペラーゲート)に潜入してほしいんです」


 今までの対応とは打って変わり、すがるような表情でシキに求めるマリア。


「帰化プレイヤーギルド、EG(エンペラーゲート)に潜入できる可能性があるとすれば、”特殊スキル”を似たスキルを持つ”特殊なスキル発動”の所有者ってことか?」


「はい。補足すると私の見解では”特殊なスキル発動”は帰化プレイヤーには得られないようですが、そのことに気がついている帰化プレイヤーがいないように思えます。だからこそ私が潜入できているんだと思います」


「俺でできることがあるならもちろん協力するよ。ただパーティー組んでいる仲間が一人いるんだ。

彼女もAHアストラルホライズンからリアル世界にログアウトできない状況、実体にリンクできない状況、その逆のリアル世界からAHアストラルホライズンにログインできない状況の原因を探っている。

帰化プレイヤーの存在を紐づけていて、何か帰化プレイヤーにつながる情報を得られるんじゃないかって思って俺と一緒にこの《イースの街》にきている。

ソロプレイヤーに奇妙な誘いがくるってところまではわかってて、あえて一旦パーティーを解除して別行動しているだけだから、今のこの話を彼女にも説明したい」


 マリアは少し考えているようで、間を空けて答える。


「本当はギルドに潜入するプレイヤー同士の情報は、機密にはしておきたいです。

まだ事を大きくしていいタイミングではないと思うので。でもシキさんの仲間であればそこは目をつぶります。私もお願いしている立場ですし。ただ、その子は”特殊なスキル発動”を持っていないですよね?そうなると潜入はできないですよ」


 確かに・・・。リンカの性格を考えるとシキだけの潜入を了承するかどうかは怪しいところである。

 そしてまだリンカにシキの”特殊なスキル発動”の共有もしていないことも思い出す。

 これは色々と骨が折れそうなだな・・・。


「自分から言っといてなんだけど、仲間にどこまで話すかは少し考えさせてくれ。

ちなみにギルドに潜入してマリアは何がしたいんだ?

もちろん帰化プレイヤーを増やしていくなんて思想のギルドはなんとか阻止しなくてはいけないのはわかっているけど、潜入してどうにかなる問題じゃないだろ?」


「潜入の元々の目的は情報収集でした。でも知れば知るほどこのギルドの危険を感じてしまって・・・。

近々EG(エンペラーゲート)のイース支部のギルドマスターが変わるって聞いています。

今のイース支部と次のイース支部のギルドマスターが接触するタイミングを見計らってイース支部の新旧ギルドマスターを倒してしまおうかと思っています。

EG(エンペラーゲート)は特殊なギルドでして、ギルド全体で活動することが今はほとんどないんです。

ギルドマスターであるトップから指令が下され、多くの帰化プレイヤーはその指令に沿って各自が行動しているだけです」


「ちょっと待て。今、イース支部のギルドマスターって言ったよな?」


「はい・・・。本部は別にあります」

次は明日の19時に投稿します。

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