24話 ACT7-2
途中で何度もチャンスをうかがって走って巻いてしまおうかとさえ思っていたが、中々その機会を得ることもなく探索を続けているとレッドボアとエンカウント(遭遇)。
でかいイノシシのモンスターであるレッドボアもリストに載っているシキが集めたい素材を持つモンスターである。
シキは引き続き【マジックアロー】で攻撃しようと木の杖で構えるが、レッドボアのスキル【突進】を不意に食らってしまう。
「ぐは!!」
【突進】に吹き飛ばされるシキは、体制を整え距離を取るが、【突進】を繰り返してくるレッドボアには遠隔の魔法攻撃が向いていないのがわかる。
いつもの通り近接戦闘で戦えばなんて事ない相手であるものの、目の前には参戦という名の観察をしているマリアがいるので思ったような行動をできない。
避けては構え、避けては構えを繰り返しているシキ。
「【エクスプロージョンダガースロー】」
マリアから放たれたスキル。
レッドボアにダガーが刺さり爆発し、レッドボアは光の粒子になり散る。
その姿を見届けた後、マリアのほうを向くシキ。
基本職シーフとその上級職のアサシン、ニンジャ、スカウトのジョブとそのスキル群は以前ミティと行動を共にした時にマイページのマニュアルから確認したことがある。
その時に【エクスプロージョンダガースロー】と名称のスキルは見たことがなかったような気がした。
【ダガースロー】はダガーの幻影を放って相手に攻撃をするシーフのスキルである。
「フォローさんきゅーな。ちなみにこれって何のスキル?」
「いえいえ。結局シキさんが猫被ったままでバトルのやりくりするから。
私が先に見せることになっちゃいましよ。
これは私のジョブ、上級職アサシンと基本職シーフのスキルを組み合わせた特殊なスキル発動です。
どうです?さきほどのシキさんのと似てませんか?」
ドヤ顔になっているマリア。
だが、シキは「すごいでしょ?私」といわんばかりのドヤ顔のことよりも、マリアから放たれたスキルが与えるレッドボアへのHPゲージ消費スピードの凄さにびっくりしていた。
マリアのレベルは相当高いのではないか。
レッドボアに対してそこまで強いスキルを使わなくてもいいように思える。
あえてわざわざそこまで強いスキルを使うマリアの狙いもなんとなく見えてきた。
ここは敢えて会話に乗っかってみることにする。
「自分も通常スキルとは違うスキルを持っているから、ウィザードスキルを近接戦闘とくっつけて戦う俺の攻撃パターンに食いついてきたのか?」
「この街の人は特殊スキルを求めているプレイヤーさんが多いいんですよね?シキさんはどうなのかな?って」
うーんと人差し指を顎に当て上目づかいをしながら答えるマリア。
いまいち確信を迫ったやりとりがマリアとの間で見えてこない。
対応に悩んでいるシキをさらに見つめがら目で訴えかけてくるマリア。
言葉はいいから早くお前の特殊なスキル発動を見せろよ。と言われているようだった。
ここで探り合うような駆け引きをしていてもラチがあかねーか。
そうシキが考えていた矢先にマリアのちょうど後ろに現れたレッドボアがマリアに向かって【突進】をしてくる。
シキはマリアのすぐ傍まで寄り、左手でマリアをシキの後ろにどかして【突進】してくるレッドボアに【マジックアロー】を宿した拳で右フックで殴りつける。
シキの右フックで吹き飛ばされたレッドボアは光の粒子になって散る。
シキを問い詰めることに意識が向きすぎてレッドボアの存在に気づいていなかったマリアは、シキが瞬間的な入った助けにドキッとしてしまう。
「あ、ありがと」
「ったく、気をつけろよ。あと、これがマリアのお目当てだった俺の特殊なスキル発動」
その場にサラやリキがいたら注意さてしまいそうであるが誰が敵で誰が味方かなんて正直会ってすぐに判断するのは難しい。
だからといってその度に自分のスタイルを変えていくなんてこと自体がシキの性に合わない。
リンカに対しても特殊スキルを隠して続けることもそのうち嫌になってくるのはわかっていた。
だったらどこでもだれにも今の自分をそのまま見せていけばいい。
「それじゃ、俺の特殊なスキル発動も見れたしもういいだろ」
シキはレッドボア2匹から得たレッドボアの骨と皮と牙のセットを2つアイテムボックスに入れ、特殊な発動スキルができるようになった経緯を問われる前に去ろうとする。
「ちょっと待ってくださいよ。特殊なスキル発動のお披露目をお互いにしたのに、避けようとしなくたっていいじゃないですか?」
再びシキの服を引っ張り別行動を止めようとするマリア。
「別に一緒に行動するのはいいけど、俺の素材集めを一緒にしたいわけじゃないだろ?俺は素材集めに集中したいんだ。悪いけどマリアの好奇心を満たしてる時間はない」
どこでその特殊な発動スキルを手に入れたんだ?という会話の流れはシキとしては避けたい。
今度は服を引っ張られようとも「これ以上は何もでないぞ」と牽制して早く去ろうとするシキ。
「冷たいなぁ。それじゃ私が勝手にしゃべるので聞いてください。その話を聞いてシキさんが興味ないならもうしつこくしないです。」
根掘り葉掘り聞こうとしていたのをシキに嫌がられているのをマリアは理解したのか、アプローチ方法を変えてくる。
「まー・・・、それなら。ほら、なんだ?」
シキは立ち止まり、マリアのほうを向きなおす。
「ふふ。ありがとうございます。それでは独り言始めますね。
この街は特殊スキルを求めてプレイヤー達が集まってきています。
だけど実際に特殊スキルを得たプレイヤー達を見たことはない。
でも俺には、私には、と特殊スキルを得られる権利を得たかもしれないと主張するプレイヤー達がいる?ここまでOKですか?」
「もうすでに独り言じゃなくて聞いてきてるじゃねーか。それはいいとして、俺がこの街に何しに来ているのか分かっているような言い方だな?」
ここまで突っ込んだ話をしてくることを考えるとマリアはシキのことをただの興味本位で探りを入れているプレイヤーというわけではなさそうだ。
「さすがお察しがいいですね。でもシキさんをたまたま見かけたのは本当ですよ。ただこの街で”特殊スキル"を得ようとしているプレイヤー以外のプレイヤーで"特殊なスキル発動"を持っているプレイヤーを探してました」
「ん??どういうことだ?"特殊なスキル発動”と”特殊スキル"ってのは違うのか?」
「はい。違います。私やシキさんのようにジョブ固有のスキルを違う形で使ったり組み合わせたりするのが"特殊なスキル発動”です。
"特殊スキル”は新たに生み出されるスキルですね。もちろんどちらにせよAHでは公開されていないスキルです。」
「それでお目当ての"特殊なスキル発動”を持っていた俺を見つけて何をしたいんだ?」
「そこまで聞いてくれると話が早くてうれしいです」
「ここまで確信犯的に絡んできてて何言ってんだ」
「あはは。すいません。それでは話戻りまして色々聞いてもいいですか?」
「質問の内容によるな」
「もう、意地悪ですね。シキさんは特殊スキルがほしくてこの街に来ているわけじゃないですよね?
そしてこの街で特殊スキルを得ようとしているプレイヤーがどうなるのかを知りたいんですよね?」
「そう、、、だな」
「ずばり私やシキさんが持っている特殊なスキル発動と違って、特殊スキルは帰化プレイヤーにならないと得られないスキルです」
本日はもう一本18時に投稿します。




