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60*騎士の二人 -02-

本日3話同時に公開します。


こちらは3回目の更新です。

完結となります。

 その後はどうなったかというと。


 剣術大会では予想通りゼロが優勝した。

 ぶっちぎりすぎて逆に清々しいほどに。


 そして。


「ノニクル!」


 観客席にいるクロエに向かって名前を呼んだ。


 クロエは貴族令嬢並みに着飾っていた。ゼロの屋敷の侍女達に力づくで綺麗にされたのだ。元々顔立ちは整っている方なので、黙っていれば可愛い女の子になっている。だから周りからの注目も集めた。顔は不服そうで台無しになっていたが。


「俺の恋人になれ」

「……話が違う!!!」


 優勝したら一緒に出掛けよう、という話になっていたはずなのに。ゼロ曰く、あまりに逃げるので面倒くさくなったらしい。恋人という関係性になれば、会うことへの理由も作らなくていいと。合理的というかなんというか。


 普通は本人の意志で断れるはずだが、ここは剣術大会。そして優勝賞品は「全ての願いを叶える」というもの。結局クロエはゼロの恋人になる羽目になる。承認はその場にいた者達だ。


「……絶対に嫌!!!」

「安心しろ。好きにさせる」

「ふざけんな自信家っ! そういうところが嫌いなんだよっ!」

「俺はノニクルのそういうところも好きだ」

「うるせぇ!」


 アイリス達ははらはらしながら見つめていた。

 おそらく前途多難だ。







「セバスチャン聞いて! 今日新しい友達ができてね」

「それはようございました」


 ロイの妹であるモニカは社交界で次々友人を作っていた。元々社交性があり人と仲良くなるのも上手い。互いに勉強やお茶会を行ったり、商家の娘であるカルティナと商売の話もしていたりする。貴族令嬢として着実に一歩一歩進んでいた。


 シリウスはというと、あれから何も変わらない。モニカと接点を持つこともなく、社交界に顔を出すこともしていないらしい。つまりすれ違っているわけだが、バルウィンはよくけしかけているらしい。「いつまでも僕がいるわけじゃないんだからね?」と冗談めいて言っているらしいが、地味にイライラを与えているようだ。もし本当にバルウィンがいなくなったらどうするのか、シリウスは特に言及していない。リアンの仕事をサポートするようになるのか、王族と接点を持つより自分の領地のことに集中する可能性もある。


 今後シリウスとモニカに接点があるかは分からないが、モニカは社交界の花になるべく努力は続けているし、時間の問題な気がする。何でも腹を割って話せる友人が去ってしまえば、おそらく彼も無傷ではいられないだろうから。


 リアンとバルウィンは互いの公務に集中している。


 たまに婚約者に連絡を取っているようだ。互いに心の支えになっているようで、柔らかい表情が増えたと周りから言われている。バルウィンの婚約者は歳が幼いので、人によってはシスコン好きなのかと噂されているようだが、逆にそう言われた方が好感度が下がるからありがたい、と言っていた。期待されるのもなかなかしんどいのだなと思わされる発言だった。


 リアンは真面目に公務に取り組んでいる。


 取り作るのはもうやめたらしい。アイリス達の前では今も口調が崩れていたりするが、それ以外は真面目な王子になっている。婚約者のおかげで変わった、と言われているが、リアンはそもそも噂話は何も気にしないタイプだ。メンタルが強いところも国王向きかもしれない。


 そして、アイリスとロイは。


「アイリス」

「はい」

「一か月は留守にする。後は頼むな」

「かしこまりました」


 あの日以降、本当に忙しく走り回っている。

 長期間屋敷にいないことも、アイリスは慣れてきた。


「……アイリス」

「? なんですか?」

「そろそろ敬語を外してほしいな」

「えっ。でも、ロイ殿は年上ですし」

「敬称もなくていい。そろそろ『ロイ』って呼んでくれないか。……夜呼んでくれるように」

「っ! 今昼間ですよっ」


 いつの話を持ち出すんだ。

 思わず肘でどついてしまう。


 忙しい合間でも、互いの時間は取るようにしている。夫婦としての関係性を大切にする上でも。ロイと一緒だと、最初から最後まで優しくて心地よいと思ってしまう。これが安心感、と呼ばれるものなのだろう。それは夜も変わらなかった。


 だが、酒で酔った時のことは少し根に持っていたらしい。優しいだけかと思えば、やたら噛んできて困らせてきたこともある。甘噛み程度だが、さすがにその時は甘んじて受け入れた。


 ロイはくすくす笑う。


「でも本当に、そろそろなんとかしてくれないか? 俺達は夫婦だから」

「夫婦でも、ずっと敬語の人もいますし」

「ほら、呼んで」

「…………ロイ」

「うん」

「気を付けて、ね」


 なんとか敬語にならないように気を付けたら変な言い方になってしまう。照れで少し笑ってしまうのだが、ロイに思い切り抱きしめられてしまった。


「可愛い」

「は、恥ずかしいから……」


 軽くアイリスも抱きしめ返した後、二人は顔を重ねる。唇を合わせるのも日常になってきた。


 これからも二人は騎士でいる。


 側近として、臣下として、与えられる役割を果たしていく。剣の師弟関係として育った二人は、今や夫婦になった。


 これからも、二人で愛を深めていくだろう。

 まずはここまで読んでくださり、ありがとうございました。


 最初から「両片思い」の話を書くのは人生初で、書くのが難しい部分もありましたが、無事に完結できてほっとしております。今作は「強い・凛としている女性」が幸せになってほしいという思いがあって生まれました。


 サブキャラ達の話が多くなってはしまいましたが、騎士であり臣下であるアイリスやロイは、周りのサポートをたくさんしてくれました。二人は二人で、きっと素敵な人生を歩んでくれると思います。


 おまけ話も少しだけですが書かせていただいて、少しは楽しんでいただけましたでしょうか。番外編を書く予定はありませんが、好きなお話やキャラがいればぜひ教えてください。スタンプなどもいただけると大変励みになります。シリウスとモニカに関しては、もしかしたらシリーズもので作品を書くかもしれません(あくまで予定です)。


 ここまで読んでいただけたこと、ブックマークやスタンプ、評価など、本当に励みになりました。仕事が忙しかったりスランプに陥った時はどうしようと思いましたが、読者の皆さんがいて下さったから完結できました。


 本当にありがとうございました。

 またどこかでお会いできると嬉しいです。


 2026/03/21 葉月透李

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