47*結ばれる縁 -02-
更新しました。
今回少し長めです。
久しぶりにあとがきに「おまけ話」を書きました。
「よかったな」
ゼロが呟いた言葉にアイリスは反応する。視線の先はジェシカとグレイ。二人を囲んでいるのはジェシカの屋敷で働いていた使用人達。久しぶりの再会とおめでたいからだろう、たくさんの笑みが広がっている。
「本当ですね」
アイリスは肩をすくめる。
嘘偽りのない、花が咲いたようなジェシカの笑顔。今までは人に対し、理想の顔を見せていたことが多かった。心から笑えるようになったのは、相手がグレイだからだろう。間違いなく彼がいたから、ジェシカは父親のことも乗り越えられた。
「ブロウもだ」
「? 私?」
「グラディアン殿と結ばれたんだろう」
「え!?」
なぜそれを、という顔をすると少し笑われる。
「士官学校時代の頃から感づいてはいた。ブロウは気付いていないかもしれないが、グラディアン教官は周りを上手く牽制していたな」
当の本人は全く気付いていないが。
「今日は指輪をつけてるな。つまりそういうことなんだろう?」
「…………そう、です」
アイリスの左薬指には指輪がある。
小ぶりの花が連なった可愛らしいものだ。
指輪は今日ここに来るまでに一緒に選んだ。指輪を買おうという話は出ていたものの、まさかすぐ買いに行くとは思わなかった。店員やロイがおすすめするものを片っ端から見ていき、最終的に決まった。
これは婚約指輪というやつで、結婚式には別のものを贈ると言われている。ちなみについでとばかりにドレスやアクセサリーもプレゼントされてしまい、アイリスはどういう反応をしていいのか分からなかった。嬉しいのは嬉しいが、もらえるものが多すぎて。ロイは始終満足そうな顔をしていた。
「結婚式には俺も呼んでくれ」
「……まだ、当分先だと思います」
「貴族同士なら早いと思ったが」
「どこかの公爵が何か言いそうなので」
むすっとした顔になると、ゼロは「ああ」と気付いたらしい。少し鼻で笑う。
「あの方は女性の噂を一切聞かないな」
「愛のない結婚を求めているらしいですよ」
「あの方こそ愛がきっと必要だろうに」
思わずゼロを見てしまう。
相手は優雅に紅茶を飲んでいる。
ジェシカを迎えるのにお茶会を開いていた。メイドが入れてくれた紅茶、作ってくれたお菓子の香りが辺りに広がっている。凝視するアイリスに対し、ゼロはずっと落ち着いている。
「これは俺の勝手な主観だ」
「そんなあの方を慕ってる子も、いるみたいですよ」
「いずれ『社交界の花』になる少女のことか」
「どこまで知ってるんですか……?」
情報通過ぎやしないだろうか。
モニカのことは広まってないはずなのに。
「以前バルウィン殿下が嬉しそうに話していた」
会った時に急にそんな話になったらしい。モニカのことが王族に広まるのは分かるとして、まさかゼロにもその話をしたとは。侯爵であるし口は堅いし近しい身分だからこそだろうが。ちなみにその場にいたシリウスはモニカの名前が出たせいか不満顔だったようだ。二人の様子が安易に目に浮かぶ。
ついでとばかりにアイリスは聞いた。
「ゼロ殿は婚約者とかいるんですか?」
「いたらノニクルに声を掛けたりしないな」
「あ……そ、そうですよね」
クロエを気に入っているのは知っているが、だからといって恋愛的に見ているのかと聞かれると難しい。どちらの意味でも捉えられるだろうと聞いてみたのだが、真っ当なことを言われてしまう。だが彼も侯爵家だ。身分的な理由でも、彼の持つ肩書き的にも、おそらく話には出るだろうし、令嬢達から熱視線はあるだろう。
「俺は三男だから比較的自由だ。令息として、騎士として、やるべきことができていれば好きにしていいと言われている」
「では結婚相手も?」
「誰でもいいらしいな。両親と姉のチェックは入るだろうが」
「……ゼロ殿は、クロエのことをどう思ってるんですか?」
話の流れでやっぱり聞いてしまう。
今アイリスは、ゼロと二人で話している。別のテーブルで、リアンとロイ、クロエが話していた。何やら話が盛り上がっているのだが、何の話をしているのだろう。ゼロはそちらのテーブルにちらっと目を動かした後、また紅茶に戻した。
「可愛いと思っている」
「初めて会った時もそう言ってましたね」
「理想の自分を追い求め努力しているようだが、本心が微妙に隠しきれていない。それが可愛いな」
(どういうこと……?)
いまいちピンとこない。
「女性としてはどう見てますか」
「異性として好きかどうかという話か?」
「は、はい」
(はっきり聞かれるとなんだか緊張するわね)
一応言葉は選んだつもりだ。だが男性にはこれくらい直接的に聞いた方が分かりやすいか。ゼロは特に迷いもなく口にする。
「好きだがそれが恋愛的な意味の好きかは正直分からない。興味がある、の意味合いが強いな」
「興味……」
「まず騎士としての能力が高い。男性の仕事ぶりに見劣りしないから第一部隊にいてほしかった。それに見ていて面白い。知らない一面をもっと見たいと思っている」
「な、なるほど」
「答えにはなったか」
「はい……まぁ」
(逆に疑問が増えたかもしれないわ……)
今後の二人の関係性を気にして聞いたが、今後も特に変わらないかもしれない。興味を持たれているということは、今後もクロエはゼロの目に留まるのだろう。嫌がらないかどうかだけ気になるところだ。
「友人のことだから質問したんだろう?」
「まぁ……そうですね」
ゼロの真っ直ぐな瞳がこちらに向く。
「間違っても不誠実なことはしない。何かあれば責任は取る」
アイリスは苦笑する。
「ゼロ殿が不誠実な方ではないことくらい、分かっていますよ」
学校に通っている時からだが、彼は常に侯爵の名に恥じない行いをしている。真面目であるし、女性にモテてもあっさりと断っているところを見たことがある。相手に隙を与えず、それでいて期待をさせるようなこともしない。ただ真っ直ぐ向き合っている。それは彼が誠実だからだろう。
「そうか。それならいい」
「でもあまり押しすぎないでやってください。クロエが混乱します」
「そうか。無理だな」
「え」
「ノニクルは俺の前だと絶対に逃げる。逃げられては知ることも伝えることもできない。ずっと追い続けたら、いつかは諦めてくれるだろう」
それはつまりクロエは逃げられないということではないだろうか。ゼロが引く姿勢を見せればいいのでは、と思っていると、以心伝心したのか先に言われる。
「俺から引くことはない」
「…………」
(クロエ、頑張れ)
興味を持たれたのが最後かもしれない。
真っ直ぐすぎると曲がることはできないらしい。
「え!?」
急にクロエが大声を出す。一斉に皆がそちらに顔を向け、辺りはしんと静まり返った。するとクロエの隣にいたリアンが片眉を上げる。
「ゼロが剣術大会に出たら盛り上がるだろ」
「いや……ちょっと待って下さい。まだ本人は何も言ってないでしょう」
「何の話ですか」
「っ! 急に現れないでくださいよ」
名前が出たことでゼロは吸い込まれるようにそちらに移動する。慌ててアイリスもテーブルに向かった。どうやら三人は剣術大会の話をしていたようだ。元々グレイが参加予定だったが、ジェシカと結ばれたことによって大会に出る理由がなくなってしまった。参加者を変えようか、という話になったようだ。
「今日ゼロがいるのも何かの縁。というわけで剣術大会、出ないか」
「第一部隊は常に激務で大会に出ること自体難しいですが」
「知ってる。だから今まで誘えなかった。今回はお前のところの隊長に掛け合うつもりだ。あとはお前が出たいかどうかだ」
「興味はあります」
「趣旨は聞いてるか。優勝者はなんでも願いを叶えてもらえる」
「なんでも、ですか」
「なんでも、だ」
「それなら、」
「却下」
クロエが低い声で呟く。
「ノニクル。俺はまだ何も言っていない」
「私の方を見ながら言わないでください」
「優勝したら一緒に出かけてくれないか」
「嫌です。ていうかやっぱり私に関することですか……」
「欲しいものは大体手にしている。それ以外でお願いすることがない」
クロエは小声で「むかつく……」と呟いていた。本音を隠そうともしない。アイリスとロイは、はらはらしながら皆の会話を静かに聞く。
「優勝したら俺の権限で何でも叶えるぞ。クロエのこともな」
「殿下……!」
余計なことを、とでも言いたそうにクロエは眉を寄せる。面白いこと好きなリアンのことだ、この二人の関係性も面白がっているに違いない。
「ノニクル、一度だけでいい。もし一緒に出かけて俺のことが嫌になったら、二度と会わないと約束してもいい」
これにはクロエも少し揺れた。
アイリスから見ても意外だった。そんな約束をしてしまったら、二度と会えない可能性がありそうなのに。と思いつつ、ゼロのことだ、何かしら考えはあるのだろう。
「なら……大会抜きに一度出かけてもいいですけど」
「いや大会は出ろ」
「殿下っ!」
「願い事がある方が張り合えるだろ色々と」
「出て欲しいのが本音じゃないですか」
「そうだが?」
「分かりました。隊長に確認します。ノニクル、それでいいか?」
「……いいですけど、約束は守って下さいよ」
「誓う。楽しみにしている」
「「「…………」」」
ゼロの表情、言葉的に勝つ前提の話になってる。が、その場にいた者達はゼロが優勝するだろうと確信した。
「はぁ……」
「お疲れ」
雪崩れ込むようにソファーに腰を下ろしたアイリスの隣にロイが座る。お茶会が無事に終わり、解散となった。ジェシカとグレイは屋敷に一泊する予定だ。使用人達ともっと関わりたいだろうし、アイリスも話したいことがある。
この後は四人で一緒に夕食を取り、ゆっくり過ごす予定だ。それぞれ恋人同士にはなったものの、もちろん部屋は別に用意してある。
「ジェシカ嬢の件が落ち着いてよかった」
「ですね。……今度はクロエの件で何か起きそうですけど」
アイリスは頭を抑える仕草をしてしまう。
ロイは苦笑した。
「まさかギルベルトが大会に出るとはな。他の騎士からすると嬉しい話だ。常に多忙で、稽古をつけてもらえる者も少ないから」
「ロイ殿から見てもゼロ殿ってやっぱりすごいですか?」
「英才教育を受けていたのもあると思うが、ギルベルトは剣だけでなくどんな武器も一通り扱える。加えて器用で要領がいい。天性のものを感じるな」
「まさに騎士として生まれた人ですね」
同じ騎士として少し悔しいが、ゼロの剣技は見たことがある。一切の隙はないし迷いもない。性格がよく出ている、真っ直ぐで綺麗な戦い方をする人だ。
それにしても、とロイは首を傾げる。
「ギルベルトはなぜノニクルに構うんだ……?」
「え、ロイ殿知らなかったんですか?」
「よく会いに行ってる姿は見かけていたが、理由はよく分からなくてな」
「私も聞いてみたんですが、よく分かりませんでした。クロエに興味があるみたいです」
「興味か……なんだかギルベルトらしい」
「そうなんですか?」
「知りたいことはなんでも自分で調べるんだ。よく図書館にいたりする。ノニクルのことも色々と知りたいのかもしれないな」
「クロエは迷惑そうにしてましたけど……」
「……ギルベルトだからな……自分が納得するまで調べ尽くそうとするかもしれない……」
「「…………」」
二人で顔を見合わせる。
ロイはソファーに背中を預けた。
「多分大丈夫だろう」
「そうですね」
二人して一旦考えを放棄する。
アイリスも同じようにソファーに背中を沈ませた。屋敷は元々ブロウ侯爵家で所有していたものだ。アイリスも何度か来たことがある。見知った匂いがする屋敷がロイの物になって嬉しい気持ちと、懐かしい気持ちになった。
ロイがぽつりと呟く。
「ブロウ侯爵には感謝しないといけない。いただいてばかりだ」
「ロイ殿の功績が認められただけですよ。父は見る目がありますから」
「大事な娘も俺に託して下さるなんて、懐が大きい」
「…………。私、だって」
「?」
「私、だって、ロイ殿のことを……認めている、というか、尊敬している、というか……だから、こう、こうやって、婚約関係になったというか」
(何言ってるのかしら私)
父ばかり褒められて少しずるいと思ってしまい、自分だってロイのことを考えていると伝えたかった。が、上手く言葉にならず、しどろもどろになってしまう。だが相手は理解してくれたのか、小さく微笑む。
「そうだな。アイリスが俺を受け入れてくれたから」
「う、受け入れるというか、その、好きですから……」
後半だんだんと声が小さくなってしまう。
言いながら恥ずかしくなってきた。
するとロイが静かになったので、恐る恐る顔を見る。いつの間にかじっと見つめられていた。嬉しそうなのが表情で伝わってきた。
「やっと二人きりだな」
「……そう、ですね」
一緒に買い物行きましたけど、と内心思いながらも、そういう話ではないだろう。先程まで普通に会話をしていたわけだが、少しだけ雰囲気が変わった気がする。変えたのは自分でもある。でもそれを、望んでいなかったわけじゃない。
しばらく二人は見つめ合い、ロイが手を伸ばす。頬を撫でられ、身体が近付いてくる。アイリスは緊張してすぐ目を閉じてしまう。しばらく待っていると。
「お兄ちゃーん?」
急にドアが開く。
アイリス達は慌てて距離を取った。
「あ、アイリスさん。こんにちは」
「こ、こんにちはモニカ」
「……もしかして、お邪魔でした?」
「そ、そんなことないわっ!」
気を遣わせないように言ったつもりだが声が裏返ってしまう。するとモニカがごめんなさい、と言いたげに両手を合わせて謝ってきた。
「モニカ……急にドアを開けるな」
「そういえば今日が皆さん集まる日だったね」
モニカは定期的にアイリスの屋敷で淑女教育を受けている。それが終わって帰ってきたようだ。ロイも屋敷を手に入れたので、モニカは普段ここで暮らしている。それをロイから説明を受けていたのに、すっかり忘れていた。
モニカは少しだけ口を尖らせる。
「二人きりになるならお兄ちゃんの部屋に行けばいいのに」
確かにここは誰でも入ることができる広い部屋だ。客人がほとんど帰宅して気が緩んでいたのもある。
「それは、まだ早い」
「キスしようとして何が早いんだか」
「モニカっ……!」
見てたのか、とロイが慌てる。
モニカはくすくす笑っていた。
そんな微笑ましい会話に、アイリスも顔が緩む。この兄妹の関係は傍から見ても素敵だ。だから二人共のことが好きだったりする。
「来週はいよいよデビュタントね」
「はい。他の方々の失礼にならないよう、精一杯ご挨拶いたします」
言いながらすっと姿勢を正して挨拶をしてくれる。完璧なくらい綺麗だった。これなら誰も文句はないだろう。確かエスコートは兄であるロイがするはず。アイリスもリアンの側近として参加予定だ。
デビュタントに参加する貴族は、王族に挨拶する機会がある。当日一緒に行動することはできなくても、勇士を見届けることはできるはずだ。
モニカが「あ」と声を出す。
「そういえば私宛に贈り物が届いてたらしくて」
するとタイミングよく「失礼いたします」とドアがノックされる。声の主はこの屋敷の執事長、御年七十を超えるセバスチャンだ。元々ジェシカの屋敷で働いていたようだが、この屋敷で働くこととなった。執事歴が長く、屋敷のことはなんでも熟知している。
「旦那様。王宮から贈り物でございます」
「王宮から?」
渡された箱には手紙が同封されている。
紋章はこの国の王族を示すもの。本物だ。
手紙には達筆な字でこう書かれていた。
『これは僕からモニカ嬢へのプレゼント。デビュタントに絶対つけてきてね。バルウィンより』
まさかの第一王子からの贈り物で皆が少し後ずさりする。そっと箱を開ければ、赤いルビーのペンダントが入っていた。宝石のサイズは小ぶりだが、首元にあれば誰もが目を奪われるほどの輝きだ。王族からの贈り物。どう考えても高価だろう。
皆が一斉に黙り込む。普段堂々としているモニカも、少しだけ顔を引きつらせていた。意を決してアイリスに質問する。
「あの、こういうことってよくあることなんですか……?」
アイリスは何度も首を横に振る。
そんなことがあったら大変だ。
「なぜこれを……」
「バルウィン殿下が……」
「…………?」
三人で顔を見合わせるが、皆で首を傾げる。
セバスチャンだけが、小さく微笑んでいた。
~おまけ話「親友と話す夜」~
「まさかアイリスと一緒に寝ることになるなんてね」
「別にいいでしょ」
「ええ、いいわ」
夜。ロイの屋敷でアイリスとジェシカは一緒のベッドで寝ることになった。それぞれ部屋は用意していたのだが、アイリスが思いつきで提案したのだ。すると意外にも受け入れてくれた。
広いベッドのおかげで、二人並んでも狭さを感じない。士官学校時代は寮で一緒の部屋で過ごしていたが、卒業してからは初めてかもしれない。
「皆と話せた?」
「ええ。たくさん時間を取ってくれてありがとう」
「グレイとは?」
「……話し足りないわね。でもこれから、ずっと一緒だから」
「ジェシカ、変わったわね」
「え?」
「自然と笑ってる。やっぱりグレイのおかげか」
「……そう、ね」
自然と笑みがこぼれている。
グレイのことを思い出しているのだろうか。
(私より素直だわ)
すっかり毒気がなくなっている。
正真正銘の高嶺の花だ。
「アイリス、本当にありがとう。……ごめんなさい、私のことで、色々と心配をかけてしまったわ。グラディアン教官との時間もあまり取れなかったでしょう」
「何言ってるの。親友のことも大事よ。それに、私だってこれからずっと一緒だもの」
「ありがとう……。クロエのことは、私が気にしておくから」
「あ、会話聞こえてた?」
「面白い話をしていたわね」
「ゼロ殿の思考がよく分からないわ……」
「ギルベルト様はあまり女性に興味はなかったわ。クロエだから興味があるんでしょうね」
「クロエは嫌がってるけど……」
「案外、いい組み合わせかもしれないわよ」
「あんなにかみ合ってないのに?」
「お互い、見えている部分は少ないわ。知らない一面を知ると、もっと情が寄るでしょう」
「……見守るしかないわね」
「そうね。でもアイリスは、グラディアン教官のことを一番大事にして」
「うん……」
「あら素直」
「っ! ……いつまでも、師匠と弟子の関係じゃ、前に進まないし」
「前に進みたいのね?」
「ち、ちがっ……、その、相手が……」
「グラディアン教官がそれを望んでいるの?」
「も、もうこの話おしまいっ! そういうジェシカはどうなのよ。前より関係は進んでるの?」
二人は今日結ばれたばかりだ。さすがにそれはないかと思いつつ、照れくさくて話題を変えてしまう。するとジェシカは目を丸くして「え……?」と呟く。
しばらくして、少しだけ頬を染めた。
「そう……ね……」
(待っていつの間に?)
グレイ恐るべし、とアイリスは心の中で唸った。




