第五章 団結
第五章 団結
信也たちが動き始める少し前、生徒会室には深優を除くいつものメンバーがいた。目下の課題であるイレギュラーこと神崎信也の排除、それを達成し室内は平穏ムードだ。
そんな中、紅茶を飲んでいた時雨の眉が大きく曲がる。
「まずいわね」
「すみません、副会長。煎れ間違えましたでしょうか」
「いえ、そうじゃなくて」
瑠衣が心配そうに聞き返すのを手で制しつつ時雨の表情はみるみる固まっていく。
「なにを視た?」
その様子を会長席に座る天王寺が尋ねる。
「ここに反対派がくるわ、大勢ね。高確率、いえ、確実に」
「なによあいつら、甲斐性なしだと思ったら結局やるんじゃない」
「いや、それが」
「ん?」
華音がゲーム画面から時雨の顔を見る。
「やつがいるのか?」
天王寺の目つきが鋭くなる。その刺すような視線に時雨も真剣な表情で応える。
「ええ、神崎信也。あのイレギュラーがいるわ」
「まさか」
「噓でしょ!? あの課題の量をどうやったら一日でクリア出来るのよ、アークを使っても無理でしょ?」
「背後に大勢の人が視えた。きっと彼らが分担してやったのよ」
「おのれ卑怯者~! 普通自分でやるものでしょうがッ」
「副会長、どうしますか?」
「課題をしてもらえるのは学生としては嬉しいけどこうも早いとね。仕方がない、提出を防ぐわよ。琉衣、生徒会役員に至急伝達。ここを立ち入り禁止にして彼らを足止めして。彼らも数が多い、深優にも連絡するわ。いいわよね会長?」
「フン」
事態が事態だ、天王寺もああ言った手前簡単に撤回することはしないが黙認する姿勢を見せる。
「分かりました」
琉衣は早速瞬間移動で伝達に走る。こういう時もランクA+は便利だ。
「じゃあ私たちも行くわよ、さっさとゲーム止めなさい」
「むう~、もう少しだったのにぃ」
奏音はゲーム機をしまいソファから立ち上がる。
「じゃあ、行ってくるわね」
「ああ」
「まったく、のんびり遊ぶ暇もないわね」
「当たり前でしょ」
二人は生徒会室から出ていく。その後ろ姿を見送ると天王寺は目線を下げた。
「神崎信也」
ここにやってくるという同じランクを持つ少年。
「ここでも、お前はみなを引き付けるのか」
彼は強い。その強さとランクは生徒会への脅威となる。
だが、そうつぶやく彼女の顔は危機感ではなく静かなものだった。
それから時間が経ち、信也が生徒会室がある棟の前に着く頃には入口前は生徒会役員が列を作り封鎖していた。白い壁のようになって玄関前を塞いでいる。
「現在ここから先は立ち入り禁止だ、引き返せ」
「立ち入り禁止ってどういうことだ、俺は課題の提出に来たんだが?」
「提出の受付もしていない。引き返せ」
「なんだそれはー、おかしいぞー!」
「やはりか」
生徒会はなんとしても課題の提出を防ぐつもりだ。強引なやり方に姫宮は抗議しているが信也としては予想通りだ。
「あんたらがどんな指示を受けているかは知らないが俺も生徒会の役員にこれを出すようにきつく言われててね、なんとしても出さなくちゃならないんだよ」
「駄目だ、力づくでも押し返すぞ」
「俺もそのつもりだよ」
ずらりと並ぶ生徒会メンバー。その正面にいる男子生徒と信也は睨み合う。
彼らの数は多い。しかし信也だって負けていない。
「課題を出させないための封鎖でしょ!? 卑怯だぞ!」
「私たちは生徒会室に部長参加の件で抗議しに来たの、そこをどいてちょうだい」
信也の背後にはみんながいる。彼ら彼女らの声が背中を押してくれる。
「いくぞみんな!」
信也の掛け声にみんなが「おー」と応えた。
「俺はランクA、パラレル・フュージョン発動! ソードマスター!」
ランクAの行使。ここで誰よりも高いランクの発動に皆の視線が集まる。これが反撃の狼煙。
「そこをどけええ!」
信也は突撃した。それに続きみんなも走り出す。
「こいつらを食い止めろ!」
両陣営が衝突する。信也はしがみついてくる生徒を引きはがし飛び道具を剣で打ち落とした。そうして生徒会の壁を切り開く。そのあとをみなも進もうとするが生徒会も必死だ。数はこちらが上とはいえ相手も士気が高くなかなか通してはもらえない。
「ランクCアーク発動! 光子妖精の戯れ(ライブ・コンサート)!」
そこでアイドル部部長の三木島がアークを発動する。光を操ることで視覚を支配する。この能力で生徒会に偽りの光景を見せた。
「なんだこれは!?」
「数が増えたぞ!」
生徒会のメンバーには反対派の人数が二倍にも三倍にも見えている。どれが本物でどれが偽物かこれでは分からない。
「信也君、君はさきに行って! ここは私たちが」
「分かりました!」
彼女のアシストもあって信也は封鎖線を突破、校舎へと入っていく。信也が穴をあけたことでそこからみんなも後を追う。
「見た目に惑わされるな! 音で判断しろ!」
「ち」




