時間を稼ぐ作戦か、俺の行動が先回りで塞がれている。あの副会長か
生徒会もアークに対応してくる。この場に残った三木島たちは生徒会が信也の後を追えないように足止めを頑張っていく。
信也は生徒会を目指し廊下を走る。放課後の今いつもなら人気のない場所ではあるがここにも生徒会は配置されており信也の行く手を阻んでくる。
「ここを決して通すな!」
「まだいるのかッ」
廊下という狭いところでは大人数相手に突破するというのは難しい。しかしソードマスターの身体能力で信也は生徒会をどかし進んでいく。階段を上がり上の階へ。生徒会室は最上階だ。
それで信也は二階へと上るがそこから先の階段には生徒会役員でびっしり埋まっていた。
「なに!?」
「ここからさきは通さないぞイレギュラー!」
せっかくの通り道も生徒会でぱんぱんだ、これをどかして通るというのはソードマスターであっても難しい。
ならばと信也は反対側の階段を目指し廊下を走る。その廊下にも関所のように生徒会が立ち並んでいる。
が、その中には生徒会役員だけじゃない、普通の制服姿の生徒もいた。
それになんだか見覚えがある。
「ふっふっふ、この俺様が臨時役員として生徒会に招集されるとは。ここで活躍すれば生徒会に買われ優遇されること間違いなし。これはまさに俺への期待の裏返しに違いない」
「さすが田口さん! さすがっすよ!」
「はっはっは! どこの誰が相手だろうと俺のダブル・サンダーヘッドでいちころよ!」
「来たぞ、イレギュラーだ!」
「なに!? イレギュラーだって?」
「ん、あいつらは」
見覚えはある。だがあまり思い出せない。
「誰だか思い出せないが俺を止めるつもりなら容赦しない!」
「ふざけるな! 俺を忘れたかイレギュラー! 俺は――」
「どけえ!」
「ぎゃああ!」
生徒会まとめて彼らも吹き飛ばし信也は階段を上っていく。そのまま最上階を目指すがその先はまたしても生徒会でぱんぱんだった。
「またかよ!」
「ここは通させん!」
仕方がなく反対側へと走る。これでは遠回りで余計に時間がかかる。
「時間を稼ぐ作戦か、俺の行動が先回りで塞がれている。あの副会長か」
「その通りだ」
信也の独り言に女性の声が答える。正面に立つ彼女の姿を見つけ信也は立ち止まった。
真田深優。さきほど花壇で話をした彼女がそこに立っていた。
別れ際、互いに笑ったのを覚えている。少ない言葉を交わし心が通じた感覚はまだ覚えている。
けれど、すべてを過去にするように深優は鋭い視線で信也を見つめていた。
そこにあの時話した彼女の雰囲気はない。
「思ってたより早く会ったな」
「まったくだ」
彼女も予想外だっただろう。それでも気持ちはすでに切り替えている。
すごいと思った。
「ここは校舎だぞ、脱がなくていいのか」
深優のトレードマークであるパーカー。そして黒のブーツもちゃんと着用している。
「あんただって靴でしょうが」
「急いでたから」
あいにく上履きに履き変える余裕はなかった。
「私はいいんだ、許可は取ってある。入るときはちゃんと拭いてるしな」
「そこはしっかりしてるんだな」
「そこは?」
「ああ、いや」
鋭い視線は相変わらずだ。正直怖い。
彼女はやはり苦手だ。気が強いというか敵視がきつくて取っ掛かりがない。
だけど以前とは違う。こんな彼女だけど誰かを思いやれる優しい人だと知っている。
「なあ、あんたはどうしてそこまで戦うんだ? 会長である天王寺のために戦っているのは分かった。でもこんなのおかしいだろ? こんな強引なやり方をするあいつのどこがいい? 人が嫌がることも反対の声もランク至上主義で押しつぶして自分のやり方しか認めない。そんなやつにどうしてそこまで真剣になれる?」
花壇で彼女は語ってくれた、戦う理由を。それは生徒会への忠心ではなく天王寺へ向けてものだ。
「やはり、お前はそう思うか」
「他にあるなら教えてほしいね」
天王寺未来という人物が人に好かれるような性格とは思えない。なぜ彼女がそこまで大事にするのか率直に不思議だ。




