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こじらせぼっちはハーレムエンドを目指さない  作者: 猫派
二章 このハーレムは重すぎる
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三節 お医者様でも草津の湯でも



「ハーレム……?」


「そう。ハーレム」


「むぐぐ……そう来ましたか……」




 いまいち分かってなさそうなツンデレちゃんに対して、妹ちゃんの反応は渋い。彼女には妹としての立ち場がある。家族としては至極まっとうな対応だろう。


 とりあえず私は、鍋の具をつまみながら、本日二度目の逃げ道を使って説得を試みる。




「なにも海外に移住してみんなで結婚、なんて話じゃない訳だし、とりあえず彼が一人を選ぶまでお試しで、ね?」


「別に強くは反対しませんけど……それを言い出すにはちょっと早すぎませんか? まだ兄ちゃんの気持ちも聞いてないんですよ?」




 ぐっ……さすがに痛い所を突いてくる。私だけ既に告白しようとして振られかけている事は、知られる訳には行かない。プレッシャーをかけようにも、実妹である彼女には通用するはずもない。


 やはり障害となるのは家族か……




「それにしても、あんたがそんな事言い出すとはね……」


「まぁね……私にも色々あるんだよ」


「……本当に、意外っすね。あなたは行動力も決断力もあるし、たぶんあたしよりも頭が良い。あなたが本気になれば兄ちゃんだって……」


「ご主人を見くびりすぎだよ。小手先の策を弄した所で、騙されるような人じゃない。私が思うに、女の子を見る目はあるよ、あの人……」




 私が惚れるほどの子を二人も惚れさせているんだから確かだ。




「そんな大した奴には見えないけどねぇ……」


「ふぅん。それじゃああなたはなんで彼を好きになったのかな?」


「ふぇっ?! ち、違う! 好きになった訳じゃないから! ただ、あいつが私の知らない所で誰かと付き合って、私より先に、その……結婚とか……したりするのがいけ好かないってだけで……っ!」


「……それは、彼の初めては渡さない宣言って事で良いのかな?」


「は、はじめてって……っ! そんなつもりで言ったわけじゃ……うぅ……」


「それにしても、結婚とはまた大きく出ましたね。明るい未来予想図ですか? 子供は何人欲しいとか、決めてたりするんすか?」


「妹ちゃんまで!? 良い人のお嫁さんになりたいって普通の事じゃ……」


「お嫁さんかぁ……」


「良いですね、お嫁さん……」


「ちょっ、ニヤニヤすんなよ! 良いだろ別に!」




 耳まで真っ赤になっちゃって、可愛いなぁ……。彼がいじめたくなる気持ちも分かる。見た目も小動物みたいだし。


 ショートボブの髪にくりくりの目。どこか我の強そうな顔立ちは、いいとこ中学生くらいにしか見えない童顔だ。背もちっちゃいし、やっぱり中学生にしか見えない。




「……なに?」


「うん? 可愛いなって」


「なっ……!?」


「……うん。驚いた顔もかわいい」


「見境なしかよ……」


「あっ、そろそろうどん入れる? シメにさ、買ってきたんだよね」


「お好きにどうぞ。あたしはもう満腹なんで」


「あ、私ももういいかな……おなかいっぱい」


「そう? じゃあいっか」




 ツンデレちゃんはちょっと引いてるように見えた。女の子が女の子を可愛いって言うのは、やっぱり少しおかしいのかもしれない。高校でただ一人の友人の影響を受けている事は否定できない。


 なんとなくで人を好きになってしまうあたり、私も結構惚れっぽいたちなのかもしれない。でも、人間こればっかりは理屈じゃどうにもならないものだ。こういうの、なんていうんだっけ……えっと、たしか……


 具のはけた鍋を見てふと思い付いた事を口にしてみる。




「ねぇ、今度みんなで温泉にでも行こうか。ご主人と後輩ちゃんも入れて、5人でさ」


「あ、あんた……頭の中どうなってんのよ……?」


「温泉……うぅん……ハーレムも悪くない、かなぁ……?」


「えっちょ、妹ちゃん? そんな軽い感じなの!?」


「でもちょっと季節感ないですよね」


「お金ないしね……」


「えっ、もうそんな距離感なの? ついて行けてない私がおかしいの?」


「あ、そうだ! あなた私のお嫁さんになりなよ! それで私がご主人と結婚すればほら、みんな家族!」


「あんたやっぱおかしいわ……」


「後輩さんはどうします?」


「あー……あれはいいよ、愛人とかで」


「急に適当!?」


「この場にいない者に発言権はないね」




 今この瞬間も彼とデートしているんだろうし……それくらいが丁度いい処遇だ。


 そんな訳で、彼のいない席での三者面談は、一応の合意の下でお開きとなったのだった。あとは、今日のデートの行方次第なんだけど……人事を尽くして天命を待つ、って感じ? いや、違うか……今はむしろ……


 男は度胸、女は愛嬌ってやつ……?

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