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超創機大戦  作者: 馗昭丹
序章
12/77

見えぬ仮面


………。



…此処は何処だろうか…。



…何処かの施設内…



…行き交う生徒…



…雫と同じ制服…



『………』



…私の前に誰かが立っている…。



『………』



…セピア色に見える少年だ…



『………』



…着ている制服からして…聖マルグリット学院男子部の生徒だろうか…



『………』



…だが…



『………』



…他の生徒と比べて制服が違う…



『………』



…隣にいるのは双子の弟だろうか…



『………』



…兄の方は前髪と仮面のせいで顔は見えないが…



『………』



…弟とよく似た容姿をしている…



『………』



…何故か私にはそう思える…



『………』



…君は何故仮面を取らないんだ…?



『………』



…大切なのだろう…?


『………』



…そんなに大切なら尚更仮面を外すべきかもしれないぞ…



『…それは……も………してるから…』



…そうなのか…



『……も……するかぎり…は……せない…』



…仮面の少年は淡々と言うや…、私の意識は遠退いていく…。



『…学院で会おう…』



…最後に…仮面の少年は…私にそう言った様な気がした…。



___________________



月が沈み、朝日が登り始める…。



-チュンチュン-



雀達が鳴く中、朝日の眩いばかりの光が陰日本全てを照らしていく…。


「朝だぞクノヤロォォォォォ!!!」


屋上で朝の雄叫びをあげる短髪にYシャツと短パン姿の少年が一人…。


安眠妨害もいい所の大声で叫ぶ少年の名は栗坂勢気(クリサカ・セイギ)、兎に角元気な馬鹿である。


「くぅぅぅ!!今日も俺様絶好調ぉぉぉ!!!!!」


拳を握り締め、己が絶好調ぶりに咽ぶ。


-バァン-


「アンタ!!そんな所で馬鹿やってないでとっとと朝飯食っちまいな!!」


家から勢気に勝るとも劣らない大声で母親の栗坂凛が怒鳴る。


「おし!!飯飯!」


勢気は勢い良く家に入る。


「いたぁっす!!」

「あ!?テメエ!俺のパン取るんじゃねえ!」


「ああ!?俺様の卵取りやがったなクソ兄貴!!」


「うっせぇ!先に手ぇだして何言ってやがる!」


「だぁぁ!!うっせーぞ阿呆共!!!」


「んだよハゲ!」


「バーコード!」


「んだと、表出ろ阿呆共!」


「止めな!!今日の昼飯抜きにするよアンタら!!」


「「「………」」」


拳を鳴らす親子だったが、凛の一喝が響き、夫の豪気、長男の熱気、次男の勢気は大人しくなる。


___________________


「ん…」


「お嬢、お目覚めで?」


暦は目を覚まし、三角巾にサングラスのエプロン姿をした酒本が暦に言う。


「?…何でヘッドホンが?」

暦はヘッドホンを外して言う。


「お嬢の安眠の為に備えておきました。」


酒本は正座したまま言う。


「安眠の為…?」


「今にわかります」


首を傾げる暦に対し、酒本は言う。


____________________


「飯食ったらさっさと学校に行きな!!」


「ひっ!?恐っ!!」


「いでででで!!父ちゃんのなけなしの髪を引っ張るな!」


「行ってきまーす」


-ガッシャァァン-


-ドドドドドド-


「クォラァァ!!また玄関壊しやがったな猿共!!!」


「勘弁してくれよ母ちゃんよぉぉ!!」


-ドドドドドド-


____________________


「…と言うわけです」


「わかった、ありがとうね」


「ハッ」


酒本は言い、暦は微笑みながら礼を言う。


「さっ、お嬢は此から着替えるから、若頭は命と一緒に向こうに行って下さい」


「お…おう、すまねえな」


苅藻は酒本に言い、気が付いた酒本はそそくさと部屋から出て行く。


「あの…俺も一応女なんだけど…?」


命は言う。


「駄目よ、命は……その…」


苅藻は命の目と胸を見ながら何かを訴えかける目で言う。


「…わかったよ、苅藻…」


「…ごめんね」


命は渋々部屋から出て行く。


「お嬢、聖マルグリット学院の制服です」


「ああ、そうだったな」


苅藻は聖マルグリット学院の制服を暦に渡し、暦は微笑みながら受け取る。


「お嬢、また御育ちになりましたね、そろそろDカップの巻き方で良いかと」


「よくサイズが分かるな、苅藻…」


「はい、お嬢の成長を見てますから」


「そうだな…」


苅藻の言に暦はフッと微笑む。



「お、おい、命…さっさと着替えていけ、肩身が狭いだろうが」


「無茶言わないで下さいよ若頭、胸にサラシ巻くの大変なんですよ?」


「だったら、ブラを付けろい」


「若頭は女の子を甘く見過ぎですよ、胸ブラにはそれぞれ相性があってですね、ちゃんとしたのを付けないと胸の形が崩れちゃったり垂れちゃったりするんですー!何度か試着して見極めた上でちゃんとしたのを選ばないといけないんですよ、それに俺の胸のサイズに合う可愛いブラなんてなかなか見つからないんですからね」


「そ…そうなのか…?」


命はサラシを巻きながら酒本をまくし立てる様に言う。


「そうです、女の子の嗜みを甘く見てたら痛い目みますからね」


「…すまねえな」


「てか、何時まで其処に居てるんですか!?向こうに行って下さいよ!」


「…お…おう!」


酒本は追い出される形で玄関へと向かう。



「…不公平だ…」


玄関で命(兄)は呟きながら着替える。


命(男)は鵺の命を受けて急行し部屋を確保していたのだが、予定外の人(妹の命と酒本)が来た為、半ば追い出される形で玄関廊下で寝る羽目になっていたという…。


「命、女ばかりで肩身が狭いだろうが…学院内でのお嬢の護衛は任せる」


酒本は命に言う。


「………若頭、俺…泣いてもいいですか?」


命は言う。



「…似合ってるぜ、…お前…案外…く…」


「…あぁぁ!もう!笑いたきゃ笑えば良いでしょ!笑えば!」


妹によって、性別を書き間違えられ、命は聖マルグリット学院の「女子」高等部の生徒として登校するはめになっていた命は半ばやけくそ気味に言う。



「…バレたら絶対変態扱いだよな…これ…うっ…うっ…」


命はパットを入れ、妹に買わされたブラを付け、同じく買わされた下着を穿きながら呟き…泣く。


幸いにして命は妹同様に容姿が良く、女装してもあまり違和感は感じない…筈である…。


___________________


『聖マルグリット学院前、聖マルグリット学院前』


「お嬢、降りましょう」


「ああ」


バスのアナウンスが流れ、苅藻が暦に言う。


「命、降りるぞ」


 ・・

「お姉、行こうか」


命は妹を起こし、命は兄の後ろに付いて言う。


「………」


暦達の前では銀髪眼鏡の生徒が降り、そのあとを茶髪癖っ毛の生徒が慌ててついていくのが見える。



「……?」



一瞬、暦はその二人を見て何かを感じるが…。



「…お嬢?」


「…何でもない」



苅藻は暦の様子を見て尋ね、暦は直ぐに頭を切り替えてバスを降りる。



バス停から早歩きすること数分…


聖マルグリット学院の敷地内に入り、学院のチャペルを目指して暦達は歩む。


聖マルグリット学院では8:30に朝礼、その10分前に朝のお祈りを済ませる必要がある。


当然、朝のお祈りに遅れれば遅刻扱いになり、実質8:15までに学院のチャペルに到達しないと朝のお祈りに間に合わずに遅刻扱いになってしまうというシステムである。


アリエスティ学園にも似たシステムがあり、数年前はこの学院に通っていた事もあって、暦達はこの学院のシステムにも難無く適応していた…。



朝のお祈りを済まし、暦達は教室へと向かう。



「皆様御静粛に、今日から共に学ぶ事になった方々を紹介します」


-スッ-


「…え、天郷…暦…?」


上品そうな深緑髪の女教師が言い、女子生徒達がホワイトボードに書かれた名前を見て少し騒ぐ。


「では、皆様お入りになって…」


深緑髪の女教師は暦達に入室を促す。


「「「「………」」」」


暦達は教室に入り、教壇の前に立つ。


「では、自己紹介をお願いしますね」



天郷暦(てんごう・こよみ)です、此から宜しくお願いします」


斯堂苅藻(しどう・かるま)、宜しく」


黒田命(くろだ・みこと)


「同じく黒田命、双子で私が妹ね」


「…んと…」


暦達は簡潔に自己紹介をし、女教師は何かを言いかけるが、暦達の異様な雰囲気に何も言えないでいた。


生徒達は質問するかしまいかを迷っていたが、苅藻と命(妹)の眼力がそれを許さない。


「…えぇと、では…天郷さん達の席は後ろの彼処にしますね」


女教師は後ろの席を指し、暦達を誘導する。


-スッ-


-ギロッ-


「……!?」


暦に脚払いを仕掛けようとした金髪の女子生徒は、苅藻に睨まれ、脚を引っ込める。


他にも二人の命は周囲の威嚇を担当し、暦に敵意を持った者達を射竦める。


三人のガン付けに護られつつ…暦は堂々と席に移動して座る。


___________________


昼休み…


先日に清水学院長から呼び出しを受けていた暦達は、修道院棟にある食堂へと向かう。


暦達は生徒達で溢れかえる廊下を進んでいき、女子生徒達の好奇が入り混じった様な視線を浴びつつ、修道院棟へ向かう。


その途中…



「…(…夢で見たのは此処で間違いないわね…)」


暦は夢と一致する場所で足を止め、後ろを振り向くと…


「…御機嫌よう」


「………!?」


後ろに居た銀髪眼鏡の男子生徒が歩みを止める。


当然、苅藻達も歩みを止め、男子生徒を見る。


「待ってよ兄さん!」


「…(…何だ…コイツは…)」


男子生徒の直ぐ後ろから茶髪癖っ毛の男子生徒が追いつく。


「…初めまして、私は女子高等部一年の天郷暦と言います」


「…む、男子高等部三年の石動智(いするぎ・とも)だ、生憎急いでいる身でな、失礼させてもらう」


「えと、男子中等部一年の石動勇(いするぎ・ゆう)です、わわ、置いていかないでよ兄さん!」


智は銀縁眼鏡を直しつつ言い、早々に立ち去ってしまう。


勇は自己紹介を済ませるや、慌てて兄の後をついて行く。



「お嬢、また夢を…?」


「…そう、少し違ったみたいだけど、あの石動智という生徒で間違いない…」


苅藻は暦に尋ね、暦は頷く。


「…(だが、石動智は仮面を被っていなかった…、…となると、あの仮面は彼の心の現れか?)」


暦は智の様子から夢内容を分析する。



…この後、石動兄弟と再びかち合い、共に清水学院長に会って、昼食を一緒することになる…。


___________________

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