よく見知った顔が・・・・・・
そこにいたのは俺の元々のパーティだった。
「あっソルマ!」
と言ったのはリーダーのクライア。
もちろん勇者で武器は大剣だ。
真面目で仲間思いのいいやつだ。
今は城で小隊の隊長をしている。
「お前も来てたのか。」
彼はガンテ
武闘家で根っからの脳筋。
酒が好きだが酒癖が荒く
度々他のパーティと衝突していた。
今は道場を経営している。
「久しぶりね。」
彼女はエレウス
僧侶で回復役だ。
パーティーの紅一点でとても美人
話しかけると酔ったガンテの酔いが覚めるくらいだ。
俺もエレウスの回復魔法に何度助けられたか分からない。
今は教会で働いているらしい。
久しぶりの再会だがそう喜んではいられない。
彼らは勇者で
俺は魔王なのだから・・・・・・
まだクライア達は俺がこのダンジョンを攻略しに来たと思っているが
俺が魔王だと知られたらどうすればいいんだ?
とりあえず今は隠しておこう。
「ちょっとここは危険だから街へ行って話さないか?」
「いいぜ!」
俺は転移魔法でみんなを街へ移動させる。
「ここのケーキ美味しいんですよね。」
ここは街中のカフェだ。
全員ケーキと飲み物を頼み話す。
「ソウマはどうしてソロでダンジョンにいたんだ?」
「依頼を受けてあのダンジョンに落としたものを探していたんだ。」
とりあえず嘘をついておく。
「あのダンジョンには最近魔王が住みはじめているらしいんだ。
俺達は魔王が本当にいるか調べに来たんだ。」
ここで居なかったと言えばもう来ないと思うが
そうしたら他の勇者も来なくなってしまう。
でも仲間と戦うことになるよりはましだ。
「奥まで行ったけど魔王なんか居なかったぞ。」
「そうかガセネタだったのか
まぁ別に金に困ってるわけでもないし
魔王はいない方がいいよな。」
お前等は仕事があるからな。
「ソウマは今何をしているのですか?」
「俺は旅に出ているんだ。
大魔王がいなくなったからといってもモンスターはまだいるし
困っている人もたくさんいるんだ。
俺はそういう人を救うために旅をしているんだ。」
我ながらいい嘘だと思う。
「それは良いことをしてるな。」
「まぁね
ところでエクテスは?」
エクテスというのは同じパーティの仲間で魔剣士だ。
クールでいつも無口。
しかし実力はかなりあり
たぶんこのパーティでは一番強いと思う。
「・・・・・・エクテスは魔王になったんだ。」
えっ!あいつも魔王になったのか。
大魔王に同業者増えたら教えて貰うべきだった。
「あいつがか?」
「なぁどうすればいいと思う?」
「エクテスには考えがあるかもしれないから
今は放っておいた方がいいと思う。」
「そうか!そうだよな。
エクテスがただ魔王になるだけとは考えられないからな。」
よかったエクテスを倒しに行こうと誘われたら危なかった。
「俺そろそろ依頼人のところ行かないと。」
「旅がんばれよ。」
「ありがとう
じゃあまた今度。」
とりあえずこれで時間を稼げるはずと安心して
俺はダンジョンへと戻った。




