根暗な空手少女あかり10話「高校生編・初めて男子にされた愛の告白と危機」
高校2年生の秋。
文化祭が終わったばかりの放課後。
あかりは空手部の練習を終えて、教室で忘れ物を取りに来ていた。
教室にはもうほとんど人がいなくて、夕陽がオレンジ色に差し込んでいる。
そこに、クラスメイトの男子・しょうごがやってきた。
しょうごは背が高くて目立つけど、あかりにとってはタイプじゃなかった。
話したこともほとんどないし、なんとなく距離を置いていた。
しょうご「あかり、ちょっと話があるんだけど……」
しょうごは緊張した顔で、突然告白してきた。
「俺、あかりのことずっと好きだった。付き合ってくれないか?」
あかりの心臓がドキッとする。
(え……急に……!?
告白されるの、初めて……
嬉しいような、びっくりするような……でも、しょうごはタイプじゃない。
性格も合わない気がするし、好きって気持ちない……
根暗だった頃なら、逃げてたかも。でも、今の私は……
ちゃんと、堂々と断らなきゃ。相手の気持ちを傷つけないように……)
あかりは深呼吸して、丁寧に言った。
「ごめん、しょうご。気持ちは嬉しいけど……私、好きって気持ちがないから。
付き合うのは無理だと思う。ごめんね。」
普通ならそこで終わるはずだった。
でも、しょうごの顔が一瞬で歪んだ。
しょうご「……は? ふざけんなよ。
俺のことバカにしてんの? 可愛いって言われて、調子乗ってんじゃねえよ。」
声が低く、怒りがこもってる。
あかりの背筋に冷たいものが走る。
あかり(え……何この反応……? 断られたからって、こんなに怒る……?
怖い……教室に誰もいない……
中学校のスカートめくり、電車の痴漢、露出狂……全部思い出した。
男の人が、急に怖くなる瞬間……
でも、私はもうあの頃の根暗なあかりじゃない。
空手部で鍛えて、金的蹴りは何度も実践してきた。
心が震えてるけど……体は覚えてる。護身術を……)
しょうごが一歩近づいて、あかりの腕を掴む。
力ずくで壁に押しつけようとする。
しょうご「断るなら、せめて体で責任取れよ……
どうせ他の男とやってんだろ?」
その瞬間、あかりの頭の中で何かが切れた。
あかり(……許せない。
好きって気持ちを、こんな暴力で汚すなんて……
私の「堂々として」って努力を、踏みにじるなんて……
怒りが、怖さを上回った。
金的……ここだ……!!)
あかりは掴まれた腕を捻って抜き、同時に膝を鋭く上げる。
ゴッ!!
完璧な金的膝蹴り。
空手部の練習で磨いた一撃が、しょうごの股間に直撃。
あかりの膝に自分にはついてないやわらかい感触のモノが乗っかる。
それをあかりは潰れてしまうんじゃないか、という勢いで遠慮せずに膝に乗せたまま、しょうごの股関節に挟む形で思い切りめり込ませる。
そのヤワな感触の物体がひしゃげる感じに、あかりは思わず「これ、やばいかな・・・」と思う。
空手道場では男子はファールカップをするから、金的を入れてもしばらくすると回復するけど・・・
この感触は生の睾丸の感触・・・
昔ファールカップなしで蹴った時は私も小さかったし、今の私の力だと・・・
しょうご「ぐあぁぁぁっ!!!」
あかり(やっぱり・・・)
しょうごは目を白黒させて、両手で股間を押さえながら崩れ落ちる。
膝をついて、息も絶え絶えにうずくまる。
痛みで声も出ない様子。
一瞬やりすぎたかな、と思いかけるあかりだが、すぐに自分がされた事を思い出して我にかえる。
そして、あかりは息を荒げながら、後ずさる。
あかり(やった……また、守れた……
体が震えてる……怖かった……本当に怖かった……
告白が、こんなことになるなんて……
涙が出そう……でも、泣かない。
私、強くなった。根暗な自分を、完全に蹴り飛ばした。
この膝蹴りで、私の尊厳を守れた……
でも、こんな形で護身術を使う日が来るなんて……
男の人、怖い……でも、全部がそうじゃないってわかってる。
はるかや、道場のけんた君みたいに優しい人もいる……
だから、こんな暴力は許さない)
あかりはすぐにスマホを取り出して、教師に連絡。
その後、警察にも話が通った。
しょうごは退学処分。
学校中で「あかりちゃん、実は空手部で超強い」「金的一撃で撃退したらしい」って噂が広がった。
はるかが心配して駆け寄ってきて、
「あかり、大丈夫!? 怖かったよね……でも、かっこよかったってみんな言ってるよ。」
あかりは少し疲れた笑顔で、
「うん……怖かったけど……自分で守れたから、ちょっとだけ誇らしいかも。」
心の中で、静かに思う。
(これが、私の堂々たる一歩。
好きって気持ちは大切だけど、強引なのは絶対許さない。
高校生になって、大人になる途中で……
こんな試練もあるんだね。
でも、私はもう、誰かに守ってもらうだけの子じゃない。
自分で、自分の未来を蹴り開く)
それから、あかりは空手部の練習をもっと真剣に取り組むようになった。
護身術の大切さを、改めて胸に刻んで。




