政府に近づく道のり
(行ってしまった…)
先程まで蒼空達の前に居た謎の男は仲間達とカラオケという意味不明な用事で帰ってしまった
「ねぇみんな…さっき来た男の人組織とか言ってたけどあの人は組織のボスなのかな?」
「確かに、あんな迫力と力がある奴だ組織ぐらい作られていてもおかしくは無い」
「それに、カラオケと言っていました…都市が崩壊した現在、建物はもうないはずです、それなのに商業施設ができるてるってことは……」
「あぁ…」
「世界が復旧し始めているって事ね」
「僕はあの男について気になる点がいくつかあります…なぜ出会った時に僕たちを殺さなかったのか、なぜあの男は僕にだけ目をつけたのか…そして……」
「なぜあの人はあなたを連れさらわなかったかって事ッスよね」
「!?」
「あぁ驚かせてしまってすいませんッス、
自分あの組織に見捨てられたんで行く宛てが無いんッスよ
あの人からはあなた達の味方につけとか言われましたが、
先程まで敵対していた自分があなた達の味方に着くとあなた達が不快な思いをしてしまうのではと思ったので味方にはつきません、
おさがわせしてすいませんッス」
薙刀の少年は頭を下げ
蒼空達から逃げるように走り出した
「ちょっと待って!」
「…なんで止めるんスか、味方にはならないと言いましたよ
もしかして殺しに来るんスか、
いいッスよどうぞ殺してくださいッス」
「違う、味方になって欲しい
あの男の情報を集めるには君が居ないと駄目なんだ」
「自分が居なくとも情報は集められるッス…
自分はいりません」
「ちょっと薙刀くん!仲間になるってことは君を信頼してるって事だよ…なのになんで」
「今信頼してても後で裏切られるから」
(めっちゃ根に持ってるじゃん…さっきの事)
「俺たちは組織について追求するには人数が少なすぎるだから今は仲間が必要なんだお願いだ俺たちについて来てくれ…頼む」
「君が『必要』なんだ!」
「!!…それでも自分は……いや、やっぱいいッスそこまで言うなら仲間になります」
「仲間になってくれるの?」
「はい、ただし絶対に見捨てたり裏切ったりしないでくださいッスよ」
「それは俺達も言えるセリフだけどな」
「ふふっ…これからよろしくッス!」
「よろしく、僕は戌亥 蒼空」
「私は飛来 冬華!これからよろしくー」
「俺は柳根 啓斗、よろしくな」
「自分、永酊寺 政宗って言います、よろしくお願いしますッス」
「政宗さん早速なんですがなにかこの世界について知ってることとかありますか出来れば組織のことについて覚えてる限り教えて欲しいんだけど」
「分かりましたっス、教えますですがその代り今から言うことに対して絶対に驚いたり、自分を恨んだりしないでくださいッス」
「お、おう、わかった」
(そんな心構える話なのか…一体どんな…)
ゴクリ…
「まずあなた達は…この世界の政府を敵に回しましたッス…」
「!!」
3人は体が凍ったかのように動かなくなってしまった
「でも、どうして…」
「今皆さんが出会った人は政府のボス
そんな人に少しでも口答えしたら…」
「は? な、何を言って…そんな事政府を知らない側からしたら理不尽だろ……」
「でも、もしかしたらまだ全員に知れ渡っていない可能性も……」
「それは絶対無いッス」
蒼空の願望は無惨にも即否定された
「恐らく蒼空さん達がこの世界で現状1番最後に起きた人類の可能性が高いッス
蒼空さん達が起きる前には既に政府が作られていたと思いますッス…まぁ自分も起きたのは二ヵ月前なんスけどね」
「二ヵ月前って…組織はいつから作られ始めたとかって分からないの?」
「自分には組織の記憶が消されているので何も分からないッス」
「そっか……ごめんね」
冬華の質問の後しばらくの沈黙が続いた
「でも、この国で1番最初に復旧した街に何か手がかりがあるとかないとか…」
(どっちだよ……)
「でも…行くにしても恐らく道中にいる政府に止められると思うッス」
「まぁ、どうせ止められたとしても結局俺達が犯罪者扱いなのは変わらねぇ…
行ってみる価値はあんじゃねぇか」
「うん…行く価値はあると思う、けどみんな場所は分かるの?」
再び会話の中に沈黙の時間が流れた
「ま、まずは情報収集から…みたいですね」
「あぁ、まずは街までの手がかりを探さないとだな
政宗、街までの経路でなにか覚えていることはあるか?」
「確か南東からここまで走ってきて…
それ以外はあまり、お役に立てずすみませんッス」
「いや、南東に街があるってだけでも充分です
他の手がかりに関しては後で進みながら見つけていきましょう
少し不安なところはありますが、これが現在1番効率的なやり方です…
アクシデントがあればその時はその時です
気を引き締めて行きましょう」
「それじゃあ街までレッツゴー!!」
「冬華さん、あまり走り回らない方が…」
「おい冬華、あまり無駄な動きはすんなよ
街に近づくほど敵の数も増えるだろ」
「はーい」
-6時間後-
「なかなか着きませんね」
「もうげんか〜い、1回休もうよ〜」
「キュュュュ…」
「そうだな…そろそろ俺も体力の限界が近い
そこの湖の近くの木陰で休もうぜ」
「そう…ですね……ちょっと僕も…頭が」
「蒼空さん?!顔が真っ青通り越してとんでもないことになってますよ!!」
「大丈夫…で……す」
バタッ…
「おい!蒼空!しっかりしろ!!
お、おい生きてるよ…な」
「息はしてるから大丈夫」
「とりあえず運ぶか」
一同は蒼空を担ぎ全速力で木陰まで走った
「そっか、蒼空くん不登校だったから運動してなかったんだ」
「そうなのか?
まぁなんかそんなような体つきだからな」
「そんな体でいつも鎖を振り回してる蒼空さんって…一体何者なんスかね」
「とりあえず、蒼空が起きるまでここで休憩するか」
「やっと休めるー」
「俺の技ってそこの水を再利用とか出来るのか? 」
「自分は周りを見て来るっス、なにか使えそうなものとかあるかもッスから」
「おう、気をつけて行って…」
パシュン!
「!?」