合流
エリーゼたちは、苦戦していた。現在、エリーゼたちにはマリーがいない。魔法使いがいないために対空の術を失っていた。さらにリコという盾も不在のため、隙を伺おうにも耐久ができない。現状、建物の影で様子を伺いながら、打開策を考えていた。今も、空を飛びまわり、こちらを探している巨大な怪鳥はどこかに飛んでいく様子が無い。
「ちょっとまずくないか?」
「そうね、正直手詰まり感が強い」
「エリーゼ先輩の風魔法で飛んでいけませんか?」
「行けないことは無いけど……自由に飛び回れるわけじゃないのよ。飛び回る鳥相手だとすぐやられるわ」
「う~ん」
「ギャアアアアアアアアアアアァァアア」
突如響いた金切声に近い鳴き声に、堪らず耳を塞いぐ。隠れる三人にしびれを切らしたのか、怪鳥は甲高い鳴き声を張り上げ、羽を弾丸のように飛ばしてくる。羽は容易に、建物の壁を壊していく。その羽を、雨のように次々と打ち出してくる。
「おいおいおい冗談きついぜ!」
「走って!止まっちゃダメ!」
「わわわわわ!」
三人は崩れ落ちる建物から飛び出し、羽の雨を走り抜けていく。エリーゼは、走りながらも怪鳥の動きを追う。怪鳥は羽を打ち止めると、空高く舞い上がる。そして、エリーゼたちめがけて急降下してきた。
「ドレットお願い!」
「おう!【ガイアウォール】!」
ドレットは、すぐに槌を構え、地面を思いっきり叩く。同時に、地面がせり上がる。怪鳥は、作られた壁に突進した。轟音とともに、地響きが起こる。起こった土埃から、クロムとエリーゼが飛び出す。エリーゼは、思いっきり足で地面を蹴ると怪鳥の背へと飛びあがった。怪鳥が、再度飛ぼうと翼を持ち上げる。
「【ウィンドル・サージ】」
しかし、エリーゼの細剣から放たれた鋭い突きの連撃が、怪鳥を地面へと縫い付ける。
「クロムちゃん!」
「行きますよ~!」
クロムは。拳に魔力が集中させる。集まった魔力は、ろうそくの炎のように揺らめいた。
地面に倒れる怪鳥の嘴めがけて、拳を放つ。
「【エクト式・破衝】」
拳と嘴が触れ合った瞬間、凄まじい衝撃と共に嘴が粉々に吹き飛ぶ。
「ギャアアアアアア!」
断末魔のような叫びがこだまする。エリーゼたちはすぐにその場を離れた。怪鳥と距離を置き、武器を構える。怪鳥はゆらりと立ち上がる。翼には、ところどころに穴が開き、嘴はつぶれそこから血が垂れている。ほぼ死に体ではあるものの、いまだその目は闘志を宿していた。怪鳥は、体を激しく揺らして羽毛を逆立たせる。そして、わずかに残った口を大きく開けた。怪鳥の体が光を帯びる。
「まさか、ブレス!?」
「くっそ!」
エリーゼが焦った声に、ドレットが全員の前に飛び出す。
「ギャア!」
短い鳴き声と共に、光球が放たれる。範囲が巨大すぎて、逃げる場所がない。ドレットは槌を握り締め覚悟を決めた時、後ろから人影が飛び出した。身の丈ほどある盾を、地面に突き立てる。
「【断界の盾】!」
盾から、光が広がり光弾を受け止めた。ギャリギャリという音を立て爆発する。凄まじいい轟音とともに衝撃波が広がるが、盾はビクともしない。エリーゼはクロムを支えた。治まったのを確認し、前を見る。盾を引き抜いたニコが、申し訳なさそうに三人を振り返った。
「すみません。遅れました」
その姿に、不思議と安心感を覚える。それと同時に、怪鳥の次の攻撃に備えるべく態勢を立て直そうと立ち上がった。
「もう大丈夫です」
ニコが、怪鳥を見ながら言う。エリーゼたちも怪鳥の方を見ると、怪鳥は血の池を作りながら倒れ伏している。どうやらさっきブレスは、最後の力を振り絞って打ったようだ。
「よかった~」
張っていた緊張の糸が切れ、その場に座り込む。
「警戒は私がします。そのまま聞いてください」
ニコが、周りを気にしながら三人に告げる。
「もうすでにダンジョンの中に入っています。体力が回復次第、セーフゾーンへ向かいましょう」
「え?」
驚きに、目を向く一同の耳に人の声が聞えてくる。
「お~い」
声のする方角を見ると、リク達が手を振りながらこちらに来ている。
「ここよ~」
エリーゼたちも手をあげて応えた。
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