到着
王都の各地で戦闘音が鳴り響く中、トムはある魔力を追っていた。それはどこか懐かしさを感じさせるもの。幼いころ見た光景をリフレインするような感情が湧いてくる魔力。直感的に父親の魔力だと判断したトムは、その魔力反応を追い激戦区を目指す。
セシリア、ポチ、タケルの三人は魔人相手に苦戦を強いられていた。
「厄介ですね」
セシリアのつぶやきにタケルが同意してうなづく。その目の前には、砂でできた球状の繭。ポチがその外殻を殴りつける。多少のへこみはできるが、すぐに戻ってしまう。加えてポチの手が急激にしぼんでいく。
「ポチ!」
セシリアが呼び戻すと、腕は元に戻った。
「くぅーん」
ポチが情けなく鳴く。そんなポチの頭にセシリアが手を置いた。
「水分ですかね?」
「それだけではなさそうだ」
魔人の未知の能力に攻めあぐねていると、繭の上に水球が出現する。その水球から水でできた針のようなものが放たれる。セシリアが結界を張り防いだ。
「!?」
水の針は結界にぶつかるも、消えることなくギャリギャリと音を立てて結界に突き刺さった。その針は少しづつ結界を削り取りついに結界を穿った。結界を破られたことに驚いていたセシリアをポチが抱えて後ろに飛ぶ。水の針が地面に刺ささる。その地面が砂へと変わっていく。
「吸水、浸食、風化、水の事象に干渉する魔法か」
「そのようですね。どうしましょう」
「給水の範囲をもっと絞ろう」
「わかりました」
セシリアが手を繭に向かって広げる。
「【二章 留まる旅人】」
詠唱と同時に、繭の周りに結界が張られる。同時にポチとタケルが駆けだした。再度水球から放たれる。水の針は結界の壁を通過した。タケルとポチは水の針を避け、繭へと向かう。地面に刺さった針は、わずかに地面を濡らした。タケルは手刀を横なぎに振るう。
「【空の刀身】」
繭に斜めに切り筋が入りずれていく。あらわになった。そこに間髪入れずポチが全力の拳を叩き込む。しかし、そこに魔人の姿がない。
「あ、あなたの結界術、厄介すぎます。お、大人しく死んでください」
セシリアの背後で声がした。振り向くと魔人が立っている。その手元には水球が渦を巻いていた。セシリアがとっさに結界を張る。水球はセシリアの結界と接触すると甲高い音を上げながら突き破ろうとする。拮抗状態が続くかと思われた状態で上から声が聞こえてきた。
「セシリア!」
魔人とセシリアが同時に上を向く。そこには、太陽を背に白いマントをはためかせながら落下してくるトムの姿があった。
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