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騒乱の幕開け

トムは、天幕の中で次の教導戦に備え準備している。すると、天幕にエリーゼとドレットが入ってきた。


「お?どうした?」


質問に二人はニカッと笑い親指を立てて答える。


「「予選突破したぞ(わ)」」


同時に言う二人に、トムも笑顔で返す。


「おぉ!おめでとう!」

「次は教導戦ね!この間のリベンジさせてもらうから!」

「今度はあんな情けない結果にしねーからな」


そう言って、二人は天幕を出て行く。二人の背中を笑って送った。トムは、黒く光る重力鐶(グラヴィティリング)を両手、両足にはめる。途端に体が重くなった。それでも、しっかりとした足取りで闘技場へと向かう。ステージにはすでに見覚えのある四人の男女がいた。


「最初から豪華だな」


それは生徒会の面々だった。

歓声が上がり、実況が響く。


『さぁ始まりました!教職員と生徒による戦闘競技、教導戦です!本日教員を超える生徒は現れるのでしょうか!初戦は、生徒でありながら講師!先日アカデミーに入ったばかりの実力者、トム・ヘイカー!今回はハンデのため通常の四倍の重力下で戦って頂きます!対するは、われらの代表にして実力者集団生徒会だー!会長は不参加のようですが、それでも実力は折り紙付きです!どのような戦闘になるのでしょうか!』


審判が手を上げ、振り下ろすと同時に試合開始の鐘の音が鳴る。

同時に生徒会の面々が攻撃を仕掛けてくる。木剣を持った男子が飛び掛かり、後ろで女生徒が詠唱を始める。トムは拳で剣をいなし、避ける。


「君は何でダンジョンなんて守るんだ?」


不意に男子生徒にかけられた言葉に、トムは首を傾げる。その態度にイラついたのか、剣の振りが速いものの大きく雑になっていく。


「なぜ、あんなにも残酷なものを護ろうとする!ダンジョンのせいでどれだけの人が苦痛を抱えているか……考えたことはないのか!」


トムの目が鋭いものに変わる。


「それはここで聞くことか?」

「君はなんで……」

「お前ら高位貴族がそんなこと気にするとはな」

「なんだと?」

「毎回探索者に無茶な依頼をして、危険にさらしているのはおまえらだろ?」


そう言うと、トムは男子生徒の胸を平手で弾き飛ばす。二人の間に距離が開いた。

女生徒の詠唱が終わったらしく、魔方陣がトムの足元に出た。寸分違わず、足元に出現したことを不審に思いつつ、トムは女子生徒へと向かって行く。間に男子生徒が入るが、トムはハンデを感じさせることなく軽々飛び上がり、男子生徒の側頭部を蹴る。


「苦痛のない世界を作るため……」


女生徒の目前まで迫ったトムは、女生徒の呟きを聴いた。その瞬間、重力が急激にましたのを感じた。思わあず足を止め、地に付さないように耐える。


『おっと?どうしたトム選手の足が止まった!』

「ダンジョンは苦痛なき世界には不要なの!すべて壊さなくちゃいけないのよ!」


そう叫んだ女生徒の杖から、火球が出現しトムに直撃する。


『直撃!大丈夫でしょうか?!』


静まる会場。舞い上がる黒煙が晴れた。そこにトムはいない。


『トム選手はどこに……?!上だぁぁああ!』


実況の声と共に女生徒が上を見る。そこには降ってくる黒い影がった。避けることが出来ず下敷きにされる。


「グェ」


あまりの重さに押しつぶした声が漏れる。


「な、何で……動けるんだ……」


起き上がっていた男子生徒がこちらを見て絶句している。トムは二人を睨みつける。


「お前ら、重力鐶(グラヴィティリング)に細工したな?」

「オェエ」


女生徒が嘔吐する。少し赤いものが混じっているのを見た男子生徒が、半狂乱で切りかかってくる。


「彼女からどけぇぇえエエエエ!」


トムは、足払いで男子生徒を転ばせた。女生徒から体をどける。女生徒はかろうじて息はあるが、明らかに体の形がおかしい。それを見た審判は右手を上げ、試合を中止させた。女生徒は担架によって運ばれる。いまだ異常な重さを感じるトムは、転ばせた男子生徒に詰め寄り、胸倉をつかむ。


「目的はなんだ?そう言えば、苦痛がどうのこうの言ってたな」


そう言って、男子生徒の服を思いっきり引き裂いた。あらわになる上半身。突然の奇行に動揺する観衆。トムは、男子生徒の左胸に見覚えの有るマークを見つけ、舌打ちする。


「チッ、こんなところにまでいやがるのか【苦痛なき世界の会】」


さらに、問いつめようとするとラッパのような音が鳴り響く。同時に、上空に大きな魔方陣が展開される。そこから、数千を超える天使のような形をした人型の何かが、アカデミーに向かって飛んできた。




最後まで読んで頂きありがとうございます!

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