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暗躍犯の正体

 魔道灯が街道を照らし、明るい大通りの一角では、騎士数人が屋敷の前で大声を開ける。


「ノクティ男爵!ここを開けてください!」


屋敷に向かって声を上げる騎士とは対照的に、屋敷は凪の海面のように静かだ。しびれを切らした、騎士が門をこじ開けようとするのを、到着した八偉人の一人【剣聖】レベッカ・チェンバースが止める。


「レベッカ様!良いのですか!」

「まだ待ってください。合図を待ちます」

「合図?」


騎士は不思議そうにレベッカを見る。レベッカも仕事モードなのか真剣な表情だ。すると、先ほどまでそよ風も吹いていなかった街道に、強風がゴウと音をたて通り抜けた。同時にレベッカが音もなく門を一刀両断する。


「行きます!」


レベッカが騎士を率い屋敷に入っていく。




 明るい街道に反して、薄暗い屋敷の裏手を一人の男がローブの裾を振り乱しながら走る。


「こんな夜更けにどこ行くんだ?」


暗闇から響いた声に振り向くと、そこにはメイリーとトムが立っていた。


「悪いけど、あんたには聞きたいことが」


男はトムを無視して、走り出した。その瞬間エイリーが飛び出して、男の行く手を阻む。

メイリーが何かを言おうとするよりも早く、男は懐から短剣を抜き襲い掛かる。メイリーはすぐに太ももに隠していたナイフを抜いて応戦する。


「話す気なくても話してもらうぞ」


トムは、男の探検を持つ腕を斬り飛ばした。宙を舞い、ドサッという音とともに短剣を握りしめたまま腕が落ちる。斬られた腕の付け根から赤黒い血が一滴ずつ滴り落ちる。


『この出血の仕方……こいつまさか』


滴る血の様子にトムはあることに気づき、メイリーに呼びかけようとするが、同時にレベッカ達が突入した屋敷から街中に轟音が響き、火の手が上がる。それを見たトムは再度メイリーに言う。


「メイリー!セシリアを連れてこい!」


トムの要求に一瞬きょとんとする。


「こいつアンデッドだ、たぶん屋敷の中にもいる。セシリアに浄化してもらわないとまずい」

「承知しました」


そう言って、メイリーは屋根を伝いに教会の方角に姿を消す。トムは改めて目の前の男と相対する。


『アンデットにしては、肉体の腐敗臭も、崩壊もないから気づかなかったな。それだけ、高位のネクロマンサーにつくられたのか?』


刀を構えるトムに、腕を失った動揺もなく男が襲い掛かる。アンデットは、光魔法で浄化する他に、火で魂が入っているからだを燃やし尽くすことで倒すことができるものの校舎の方法で倒すと、中に入っていた魂がレイス化する事があり、放置すると近くの墓場に入り込んで、適当な死体に取り憑いてしまう。


「お前には悪いけど、お前は俺が浄化させてもらう。神父たちよりちょっと痛いが、我慢してくれ【後光】」


トムの持つ刀が、ぼんやりと暖かい光を放つ。男との距離を一気に詰め、男の体を貫く。


「浄化しろ。【聖傷】」


トムが呟くと同時に刺さった刀を引き抜く。刺した個所から光が広がり、男の体を包む。光が消えると、男は膝から崩れ落ちた。トムが倒れ込む男に近寄ると、ピクリと指先が動いた。トムはそれに気づき、咄嗟に後ろに跳びあがった。男の姿を見て驚く。先ほど切り落としたオデがくっついていたのだ。


『アンデットに再生能力なんてなかったよな』


男の攻撃を防ぎながら男の体をよく観察すると、先ほど刺した個所の服が破れ、その奥にキラリと光るものがあることに気づく。


『なんだアレ?』


トムは、男の攻撃をかいくぐり、胸を斬りつける。男はそれを、機敏な動きで躱すが服が切られ、胸元があらわになる。それを見たトムは目を丸くした。


「ゴーレム核!こいつ、人形ゴーレムか!」


男の体には紫色に光るひし形の鉱石と、黄色く輝く丸い水晶があった。


「だから、腕が戻ったのか、なら【かがり火】」


トムの刀から光が消えて、刀身が赤く染まる。


「【山丹花】」


男の攻撃をかわして、腹を斬りつける。刀で切った傷跡から、花が開くように発火した。ついた火の花は、傷口からどんどん広がっていく。トムは燃え盛る男から距離を置き、その様子を見守る。火が収まると、ハイは舞い上がり空へと消え、そこには鉱石と水晶が残っていた。トムは、鉱石と水晶を拾い上げる。よくよく観察していると、後ろから声がかかった。


「いかがでしたか?私の人形は?」


トムは、反射的に、声のする方を斬る。切った手ごたえと同時に、一匹のフクロウが地面に落ちる。


「いきなり切りつけるなんてひどいな」


男の声に邪気は無く、声だけで言えば純朴な青年のように聞こえる。


「お前が人形ゴーレムを作ったのか?使い魔を通して覗きとはいい趣味だな」

「そうだよ、僕が作った。中々強かっただろう?凄腕と評判だったネクロマンサーの死体を素材にし

たからね。と言っても、ダンジョン王の前では瞬殺だったようだけど」

「ちょいちょいこの街に手を出してるみたいだが目的はなんだ」

「もう少し会話に付き合ってくれても良いじゃないか」

「顔も知らない奴と会話できるほどコミュ力高くないんでな」

「残念だなぁ。僕たちの目的なら近いうちに分かるさ。もう、仕込みは済んだからね」

「そうか、ならこのフクロウでも捕まえて、契約者でも探ってお前のことみつけてやるよ」


そう言ってトムは、フクロウに手を伸ばす。


「それは無理だね、君はここで死ぬから」


フクロウからの声が途絶えると同時に、フクロウの腹が裂け、中から触手のようなものがトムの頭を貫こうと勢いよく伸びてきた。




最後まで読んで頂きありがとうございます!

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