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救出

トムとテディベア【ロシュ―】は、達人同士の戦いかのような、見事な接近戦を繰り広げる。トムは、このやり取りの中で何度もエリトリッヒを呼ぶが反応がない。


「聞こえないのか」


トムは、テディベアの腹に蹴りを入れて吹き飛ばす。ぬいぐるみだからか、足はおなかにめり込み、ボールのように跳ねて飛んでいく。しかし、何事もなかったかのように立ち上がる。


「ちぎってバラバラにしてもいいなら、話は早いんだけどなー」


首を鳴らしながら、もう一度テディベアに向かって構える。その様子をハラハラして見ているリコと、満面の笑みで、スポーツ観戦でもしているかのようなはしゃぎっぷりのリルイのもとに、マリーとナタリアがやってきた。


「マリーから、トムがテディベアと戦ってるって聞いて、何事かと思ったけど実際に見るとすごいシュールね」


ナタリアは、可愛らしいテディベアと自分の従姉が見事な戦闘している場面をみて、感想を口にした。


「にいさーん!連れてきましたー!」


マリーの声に気が付き、ナタリアに向かって頼む。

「ありがとうマリー!ナタリア姉さん!このぬいぐるみの身動き止めてくれー!」

「燃やしていいの?」

「なるべく傷つけないように!」

「【バインドチェーン】」


ナタリアが魔法を唱えると、テディベアの足元に魔方陣が広がる。そこから、鎖が飛び出し、テディベアをぐるぐる巻きにしていく。トムがすかさずテディベアを押下押して馬乗りになる。その口に両手を差し込んで無理やりこじ開ける。開いた口に右手を肩まで差し込んで、テディベアの中を探る。しばらく探ると、柔らかい人の手があった。その手を掴み、テディベアから引きずり出す。引きずり出されたのは、アカデミーの制服を着た肌が白く、体も細い、いわゆるもやしっ子だった。


「おーい、起きろーエリトリッヒ」


エリトリッヒをおろして、そう言いながら、頬を叩く。


「うーん?あれ?君は……トム!トムじゃないか!」


そう言って起き上がろうとするもよろけて倒れそうになる。そこをトムが支えて、ナタリアの方に連れていく。


「いやートム久しぶりだー1年ぶりくらいか?」

「あほか、もう3年は経ってるよ」

「へ?」

「その話はおいおいだ、さっさと保健室行くぞ」


トムは、エリトリッヒを見て驚いているナタリアに渡す。


「あなたエリトリッヒ君?」

「あれ?ナタリア先生?」

「ナタリア姉さん保健室に頼む」

「えぇ」


トムはエリトリッヒの肩を叩きながら保健室に送り出す。


「あとでな」

「あ、あぁ」


未だ事態を飲み込めていないエリトリッヒはなんとか返事をしながら、ナタリアに担がれ保健室に行く。トムは、横たわっているテディベアに近寄って、担ぎ上げた。


「兄さん、それ持ってくんですか?」

「あぁ、こいつがないとエリトリッヒがうるさいからな」


テディベアを背負ったトムの横をマリーとリコ、そしてテディベアの頭にリルイが載っている。そのまま、保健室に持っていこうと歩き出すと後ろから声がかかる。


「待ちたまえ。この騒ぎは君たちが原因か?」



トム達が振り向くと、アカデミーの制服に【生徒会】と書かれた腕章をした生徒達が立っていた。


最後までお読みいただきありがとうございます!

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