森を殺し、人を救う。人を殺し、森を救う。
長い間更新できておらず申し訳ございません。
この世界には、たくさんの森がある。しかし、同じ森といっても人々に薬草や木の実、野生動物の肉などの恩恵を与えてくれる森もあれば、危険な魔物が徘徊し、近隣の村を襲うような危険な森もある。後者の森の場合、その土地を納める領主は、森精霊と契約し、共に管理する【森人】を立てるか、【森殺し】と呼ばれる、森精霊を殺すことに長けた者たちに依頼し、森そのものを壊してしまう。森に住まう魔物や動物などを相手にしながら、森を焼き、森精霊を殺すのは、簡単な事ではなく、【森殺し】には実力者が揃っている。
木漏れ日さす森の中、フードを被った一団が、手にしている松明で次々と火を放つ。その集団を率いる男女がいた。彼らの左胸には、【苦痛なき世界の会】に所属する事を示す。、水の雫に斜線が引かれたようなエンブレムが刺繍されていた。
「もうこれぐらい焼けばよくない?早くあのいけ好かない森精霊を殺しに行きたいんだけど~~」
ダルそうに言う女に対し、男はあきれ顔で女を見る。
「この前の戦いで、あの森精霊の力が分かっただろう。もっと森を焼き、力を削いでからだ」
「え~、もういけるって~」
そんな会話をして歩いていると、森の奥から突風が吹いた。風は燃え盛る木々と一団の持つ松明の火を消し、咄嗟の事で目を閉じていた男女が目を開けると、二つの影が現れた。すぐさま、男は剣を抜き、女も双剣を抜いた。
「誰だ!?」
そこには抜刀したトムと、その後ろに控えるメイリーがいた。
「何?あんたたち?」
二人を冷たく見下しながら、トムは刀をしまう。
「久しぶりだな【苦痛なき世界の会】」
「はぁ?私たちの事しってるわけぇ~」
「無駄だってのは分かってるけど、この森から手を引く気はないか?」
ウザい口調の女を無視して、トムは呼びかける。その様子に女は顔を真っ赤にしながら怒鳴り返そうとするのを、男が止めた。
「お前が何者か知らんが、この森は多くのひとを苦しめている。わが主はこの森を焼くことで、苦痛を一つ取り除けるとおしゃった。我々は人を救うために森を焼いているのだ。やめるわけにはいかない」
男の主張に、トムは眉一つ動かさずメイリーに命令する。
「メイリー、お前は手を出すな。後処理だけ頼む」
「承知致しました」
メイリーの返事を聞いた瞬間、トムが消える。男女の間に、風が吹き抜けたかと思うと後ろにいた、団員たちから悲鳴が起こる。振り返ると地獄絵図だった。一人は、上半身と下半身が離れ、一人は、のどを切り裂かれ、大量の血を流しながら倒れこむ。
「ヒッ」
あまりの惨状に女が思わず悲鳴を漏らす。しかし、さすが【森殺し】らしくすぐに、トムに向けて剣を構える。しかし、トムは二人に見向きもせず、神聖さすら感じさせる、純白の刀身をに納めた。その様子に舐められてると思った女が、舌打ちしながら、トムに向かって行こうとしたとき、隣にいた男が倒れる。
「へ?」
男の片足があるべき場所にない、そして、自分の首から、熱い物が流れ落ちるのを感じると、視界が歪み、意識を失った。
「相変わらず、見事な手際でございます」
いつの間にか、トムの隣に移動していたメイリーが頭を下げる。
「ほめられてもなぁ・・・・・・そこの二人はまだ生きてるから、騎士団に連行してくれ。こいつらが今回の首謀者だろ」
「承知いたしました。お任せください」
「頼んだ」
そういうと、メイリーを残しマリーの元へ戻っていく。残されたメイリーは二人をかつぐと、かすかに息のある男が呟く。
「な・・・・・・何なのだ・・・・・・あいつは・・・・・・」
その呟きが耳に入っていたメイリーはいつもよりもさらに無表情に、周囲をこりつかせるような冷たい声音で言う。
「あの方は、ダンジョン王。いずれ、この国の偉人となられるお方です。実力の差も分からない馬鹿なあなた達とは、生きていらっしゃる次元が違う。トム様の慈悲に感謝しながら、全てお話ください」
それだけ答えると町の方へと向かって行く。
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