トムの願い
理事長室に入ると、マリーとクロムがいた。クロムは、トムを見るとすぐに立ち上がり深くお辞儀する。
「た、助けて頂きありがとうございました!」
少し驚いたトムが頭を上げるように優しく言う。
「いや、良いよ、マリーの友達なんだって?これからも仲良くしてやってくれ。」
「は、ハイ!」
ライラは理事長席に座る。
「クロムさん、悪いけど席を外してくれる?」
「はい!失礼しました!」
クロムは理事長室を出た後、理事長はトムを見る。
「久しぶりねトム」
「ご無沙汰してます。ライラ叔母様」
「実家には行ったの?」
途端にトムは、自分を抱きしめ体をガタガタと震わせる。その反応をみてライラはクスクス笑った。マリーやナタリアも笑っている。
「その感じだと行ったみたいね」
「えぇ、母様にこっぴどく怒られました」
「当たり前です。三か月に一回しか便りをよこさないなんて、三年も家に帰ってきませんし」
マリーが少しすねたように言う。
「仕方ないだろ、ダンジョン入るとしばらく出てこれなかったり、ダンジョンがある場所から町まで結構かかったりするんだから」
トムがマリーを宥めていると、ライラが咳払いする。
「それで、私にお願いがあるって何なのかしら?」
「アカデミーに入学させてほしい。」
トムの発言にマリーを始め全員が目を丸くして驚いていた。
「な、なぜうちに入りたいの?」
ライラは困惑しながら訊く
「実は、踏破できないダンジョンに遭遇してしまって、そこを突破するにはこのアカデミーで勉強をする必要がある」
「トムが踏破できないダンジョン?上級ダンジョンすら踏破したトムが?冗談でしょ」
ナタリアが驚きを隠せない様子で聞く。
「名前を【知恵の塔】っていう、ダンジョンなんだけど、そこは力じゃなくて知恵を試すダンジョンなんだよ。俺、ダンジョンとか魔法とかの知識はあるんだけど勉学ってなるとちょっとなぁ」
ライラは顔を伏せながら考え込む。しばらくして、口を開く。
「わかったわ、あなたの入学を認めます。」
「ありがとう叔母様」
要望が通り、ホッとするトムに、ライラが続ける。
「ただし、あなたには、ダンジョン学の講師もしてもらいます」
「へ・・・?」
あまりにも突拍子もない条件に呆然とするトムにライラが続ける。
「ここ最近、アカデミーの卒業者で探索者になる子が多いのよ、そこで思い切って、探索者コースを作ろうと思っていてね。戦闘技術ならともかく、ダンジョンの潜り方とダンジョンの罠とかの基礎知識が不足しているの、それを教える人材を探していたのよ」
「えー、おれ人に教えるの嫌なんだ・・・・・・「トム?」やらせて頂きます!叔母様!」
断ろうとするトムにライラは笑顔を向ける。その威圧感の有る笑顔を見てトムは本能で理解した。
『断ったら、殺される』
「ありがとう、じゃあさっそく明日から宜しくね」
ライラは柔らかい笑顔を見せる。
「はぁ」
トムは大きくため息をついた。
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