3.りんかーねーしょん
「…ん…ん……」
ヒトミは瞼を開けた。
そのままゆっくりと身体を起こす。
周りには灰色の大地が広がっていた。
癖で髪を掻き上げると、その髪は銀色であった。
……あれ…私の身体…
そう思い、ヒトミが自分の身体の方を向くと、裸の白い素肌が見えた
本当に転生したんだ。
…仕事…どうなったのかな。
「貴女、まだ仕事のこと気にしてるの?」
そんな声が神界から飛んできた。
…もしかして心を読まれてる?
「…貴女独り言とかほとんど喋らないタイプでしょ。だから仕方なくよ」
「その…ごめんなさい」
「はぁ…謝るのマジでやめて。めんどくさいから」
女神は心底嫌そうな声でそう言った。
とりあえずヒトミは灰色の大地を探索してみることにした。
周りを軽く見渡してみると…枯れ木や廃屋、井戸や…大きな廃墟など、割と色々なものがあることに気がついた。
周りに人間はいない。
…気配もない。
ビューッ
冷たい風がヒトミの肌を直接撫でた。
…ちょっぴり寒い。
「不老不死と言っても、寒いものは寒いわよ」
女神がそう補足する。
ヒトミはとりあえず、暖まれる手段を探そうと考えた。
彼女が暖を取るために考えた最初の手段は服である。
そのため、服がありそうな近くの大きな廃墟へと歩いた。
ペタペタと裸足で草も生えない大地を進む。
大きな廃墟は西洋の城っぽく…しかしどこか蠱惑的で禍々しい印象を持ってしまうような場所だった。
…敢えて最適な表現を探すなら、魔王城…というべきだろうか。
やはり人…いや、そもそも生物がいない。
ヒトミは入口となる大きな扉を押して開け、魔王城の中に入った。
中は真っ暗だった。
…当然ながら明かりの類いはない。
日光もカーテンで遮られているようである。
見た目の割に隙間がないようで、風が入ってこないため、外にいるより幾分か暖かい。
「…服、探すんでしょ?」
女神にそう言われ、ヒトミは自分の目的を再確認した。
魔王城は居館と主塔で構成されていて、ヒトミはカーテンを開け、視界を確保しつつ、居館を歩き回った。
計20部屋ほどあるようで、まずは端っこから順番に開けることにした。
「…なんか…知ってたけど、几帳面なタイプなのね」
一部屋一部屋、隅々まで調べる。
布張りの朽ちた椅子や、ベッドなど、色々と見つかった。
…もし服がなくとも、布を集めて着れば良いかもしれない。
そんな懸念も必要なかったようで、6部屋目でヒトミはクローゼットを見つけ…中には大量の服があった。
…鏡もある。
せっかくなので、簡単にコーデを楽しんでみることにした。




