49/77
48章 カラー
当時は学ランの襟に内側に白いプラスチックの板がついていた。それが「カラー」だ。
(むしろ今なくなっていることに驚いた)
用途は知らないが、おそらく襟が崩れないように支えるものだったと思う。
穴が開いており、学ランの突起にはめ込んで固定する。
外すときにプチプチと言って気持ちいい。
ただし外したままだと生徒指導の対象になる(ボタンを開けているようなものか)ため
原則つけたままである。
―それを奴らに奪われた。
学ランを着たまま俺の首元に手を突っ込み
「ぶちぶちぶちっ!」と外していく。
高速でプラスチックが擦れる為血が出た。
俺はとりあえず「はは…」と笑う。
これは無くなってはいけない。盗んでもいけない。奴らも知っているはずだ。
なので奴らはすぐに返してきた。
―俺ではなく、通りの用水路に。
無くなって困るのは俺である。
なので俺は用水路に手を伸ばす。
―届かない。
俺の手をカラーが掠めるたび、水流ですこしずつ流されていく。
このままでは取り返しがつかない。
俺は、制服のまま用水路に入り走るしかなかった…
当時は大したことはない日常で、まだマシなほうだったが
今思い出すとそれも悔しくて頭にくる。
毎日毎日おもちゃにされていたことを思い出してしまう…




